『2012年4月号 Vol.60』 P75に掲載
今ロックンロールで歌いたいことって2個しかなくて。
「音楽があったら大丈夫さ」っていうことと、「気に食わねぇもんは気にくわねぇ」ってちゃんと中指立てること。それだけあったらいいと思ってる
■『マーチングバンド』の時から感じてることなんですが、今のアジカンは非常にいい形でロックバンドの青春性が戻ってきている感じがあって。今回の曲も、アップテンポのロックナンバーではないんですけど、どうしようもなく蒼いエモーションを掻き立てられる楽曲なんですよね。まずはこの曲がいつ頃生まれたもので、どういうモードの中でここに向かってきたのかから伺えますか?
後藤正文(Vo&G)「今日はね、潔が語るらしいです」
喜多建介(G&Vo)「そうそう、今日は任せてくれって言ってたんですよ」
■おっ、じゃあ潔さんお願いします。
伊地知潔(Dr)「……そう思ってさっき制作メモを見たんだけど、俺のことしか書いてなくて」
後藤「なんだよそれ!」
伊地知「ドラムのことしか書いてなかった(笑)。……できたのは、12月にやったプリプロの時で。喜多くんが持ってきたギターリフをみんなで広げてセッションして、そこからできた曲なんですよ。というわけで、喜多くんの曲です」
喜多「正確にはギターリフというよりは、コードなんですけど。この曲、基本的にコード進行ずっと一緒なんですけど。自分の好きな和音があって、その和音の感じを持ってきたんです。それであとはみんながいい感じに広げてくれたっていう」
後藤「だから建さんが持ってきた時は、メロディもなんもない状態だったんですけど」
喜多「みんなで『誰かネタない?』みたいな、いつもみたいな感じになって、『ほんとにこれぐらいしかないけど』って出して。自分達のスタジオに、自分のギターフレーズをいくつか入れてるやつがあって。それをたまに聴き返したりするんですけど、その中にあったひとつのネタだったんですけど……まぁ曲にならねえだろうなと思って出して(笑)」
後藤「『どうせお前らできねえだろ』ぐらいに思ってたんだろ! できるよ、しかもシングルまでに!」
喜多「はははは。でも、こんなに凄くしっかりした曲になるとは最初は思わなくて」
山田貴洋(B&Vo)「いい加減な気分で出してたんだ(笑)」
後藤「そういうネタ、ほんとは出しちゃダメです」
喜多「いや、いい加減な気分ではなかったけど!」
■刹那の衝動やエモーションをどんどん重ねていきながら、それが最終的に大きなドラマ性と感動を呼び起こしていく曲だと思うんですけど。最初にその和音をイメージした時から、こういう曲のイメージみたいな感じはあったんですか?
喜多「いや、全然なかったです。だんだんドラマチックになっていくっていうのも、みんなでやっていく中でそうなっていった感じです。でも1回、俺の好きなそのコード進行も変えられたんですよ」
後藤「そうだっけ?」
喜多「なった。これなしにしよう、みたいになって。でもやっぱり最終的に1周して戻ってきて、この形にしてくれたんです……」(続く)
Text by 有泉智子
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