Posted on 2012.12.19 by MUSICA編集部

総意なきボカロシーンを牽引するryo、その本質に迫る

VOCALOIDクリエイターのパイオニアにして、
新しい音楽家の一つのロールモデルとなったryo。
本誌初登場にて、そのスタンスと本質を探る

『MUSICA 1月号 Vol.69』P60に掲載

■ryoさんはVOCALOIDシーンから出てきたクリエイターのパイオニアで。今日はそういう立場からシーンをどう捉えているかも含め、いろいろ伺いたいと思っています。

「よろしくお願いします」

■まず12月にsupercellとEGOIST、両名義でそれぞれ新しいシングルがリリースされますが。今のryoさんって、日本のポップスを更新していくような活動の広げ方や制作の方向に向かっているのかなと感じていて。ご自分ではsupercellというものの立ち位置や在り方をどう捉えてますか?

「やっぱり匿名性の高い音楽がずっと好きだったんですよ。BOOM BOOM SATELLITESが凄く好きで、昔いたSILICOMってユニットとか半野喜弘さんとか、エレクトロニカ系の音楽が凄い好きだったんです。名前がどうこうとか、その人の精神性がどうこうとかじゃない、音を聴いたら『あ、この人の曲だな』ってわかる、音色だけで差をつけていく音楽が好きだったんです。自分の場合は、そういう匿名性や記号性の高い音楽をしてると思うんですけど。実際、顔出しもしてないしライヴもしてないので。それはVOCALOIDシーンから出てきてる人特有の感じなのかなって思うんですけど」

■それって、音楽純粋主義みたいなもの?

「というか単純に、自分はそういうものしかできないと思うので。KING BROTHERSとかTHE BACK HORNとかも好きなんですよ。ロックバンドもカッコいいなと思うんですけど、でも、そこには音楽的にいろいろ積み立てて、コードがどうのっていうのとは全然違う観点も入っていて。自分はそこで音楽的な部分に目が行ってしまうタイプの人間なんですね。それがわかっているからこそ、ポップスをやってるんです。サウンドがロックっぽくても、確実に自分はポップスをやってると思ってますね。自分はそっちのシーンではない、と」

■要するに、精神性や生き様、その人間の在り方みたいなものも含めて、ひとつの音楽やエンターテイメントになっていくロックとは違う、純粋に楽曲や音を突き詰めていくタイプの音楽家だと。

「まぁ、よく言うとそうなんですけど、単純にそういうものになれなかったから、これをやってるとも言えると思います(笑)」

■2012年って初音ミクが出てから5年、ニコ動が本格的始動してから5年という年だったんですけど、ryoさんはミクを使って楽曲をニコ動にアップしていった一番最初の世代で。当時、そういうことをやろうと思ったのは何故だったんですか?

「あんまり特別な理由があったわけではなくて……ニコニコ動画が周りで流行ってたんですよね。先輩がβ版の頃に教えてくれて、ネタの場として楽しんでて。くだらない動画がいっぱいあって、自分はそれを観て笑う側だったんですけど、初音ミクが出たことによって、自分も音楽だったらその輪の中に混じれるかなって思って。で、最初はアニソンのカヴァーをやってたんですけど……だから何がしたいっていうよりは、当時はニコニコ動画に投稿して遊ぼうって思ってた感じですね」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

『MUSICA 1月号 Vol.69』のご購入はこちら

Posted on 2012.12.18 by MUSICA編集部

デビュー10年、遂に勝利への道を歩き始めたクリープハイプ、尾崎世界観の1年を聞く

+

時代が求めたのか、時代を引き寄せたのか。
今年、負けっぱなしで辛酸を舐め続けた日々からの大逆転劇を演じた
クリープハイプ・尾崎世界観の混乱と幸福に満ちた1年を紐解く

『MUSICA 1月号 Vol.69』P56に掲載

「やる気まんまんですよ、今日の取材。だって鹿野さんが褒めてくれるって聞いてますよ?」

■はは。今回は2012年のイヤーブックとなる号で。ロックバンドがロックバンドとしてあるべき姿でもっとも活躍した新進気鋭なバンドとしてクリープハイプに登場願いました。まあ、もう10年もやってるし、いまさら新人扱いされたくない感じだろうけど。

「そんなことないですよ、いつまで経っても褒められたいですから。ただ去年、12月発売号のMUSICAを隅々まで見たんですけど、クリープハイプの名前が一切出てこなかったのが許せなくて。写真とかはいらないからせめて……」

■もの凄く目が据わってるね、今。

「だって必死ですから。で、『さすがに今年名前が出てこなかったらおかしいですよね? 俺はMUSICAに殴りこみますよ』って話をしてて。そしたら次の日にこの取材の話がきて、『よし!』って思いましたけどね(笑)」

■お待たせしました。今年はいろんな意味で本当にバンドにとってのターニングポイントとなった1年だと思うんですが、まずざっくりと振り返ってみてどうですか?

「いろんなものを手にして、いろんな扉を開けて……とにかく開けっ放しにしてるなっていう感じがしますね。CDをリリースすることも、ライヴの規模とか、フェスに出たこと、あとはいろんな雑誌に出て発言したりとか……。で、来年は本当にいよいよ中に入っていく感じなのかなって思ってますね。変な話になりますけど、コンビニでバイトしてる時に冷凍庫が壊れて、アイスが全部溶けて、廃棄処分にすることになって、片っ端からひと口ずつ食って捨てていったことがあったんですけど……その感覚ですね。雑な言い方すると(笑)。そういうふうにいろんなものを食って、ひと口ずつ食べて、『あぁこれ美味い(までが今年)。次(来年)は買って全部食おう』っていうことです。まぁ……中にはまずいものもありましたけど。でも、やっぱり全部必要だなと思いましたね。そういうふうに扉が開くってことは凄いことだと思うし、そこで『これはよくないから』っていうわけにはやっぱりいかないですよね、責任として。その結果、これまではただ攻めて手に入れていけばよかったんですけど、これからは手にしたものを守っていかなくちゃいけないなって感覚になりましたね」

■尾崎の中でまずかったアイスっていうのは、たとえばたくさんプロモーションしなくちゃいけなくなったこととか、これまでよりもたくさんの人にクリープハイプの音楽が届いたことで逆に、世間が捉えている尾崎の表現やイメージと実際に自分自身が考えているものにギャップが生じたことでストレスを感じることもあったっていうこと?

「そういう部分もありますね。あとは、実際にスケジュールがきつくて」

■こんなに働く自分がいるとは思わなかった、と。

「びっくりしましたねぇ」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

『MUSICA 1月号 Vol.69』のご購入はこちら

Posted on 2012.12.17 by MUSICA編集部

これは「星野万博」だ! チャートの中心に踏み出した星野源の本質を聞く

『フィルム』、『夢の外へ』、『知らない』と3枚立て続けのヒットを生み、
ソロアーティストとしてマーケットの真ん中に入っていった2012年の星野 源。
唯我独尊のアーティスト像を生み出した、その本質を表す語録をどうぞ!

『MUSICA 1月号 Vol.69』P44に掲載

■『知らない』は、メディアの反響を見ても、CDショップに行っても、今まで以上の善戦、というか成功をおさめているように思えるんだけど。あれは『夢の外へ』より売れたんですか?

「そうなんです。ああいった感じの曲で、しかもノンタイアップで前より売れたってのは、凄く嬉しくて。iTunes Storeでやってたら、また違ったと思うんですけど」

■なるほど。源ちゃんは戦略的にiTunes Storeでの配信リリースはずっとやってないもんね、CDというものに向き合ってもらうために。

「iTunesやってたらやってたでそっちの数字は出たかもしれないですけどね。今回の『知らない』は、『夢の外へ』で掴んだ新しい人にもう一度来てもらうというのが目標だったんで、それがちゃんと成功してよかったです」

■あの曲、リスナーの評価も高いでしょう。

「シングル4曲全体で沸点が高い感じがするというか、“知らない”に関しては、意外とコアな人達が喜んでくれた感じがします。だから、『前のほうがよかったです』みたいな反応は全然ないですね。『今まで星野 源の曲は自分には関係ないと思ってたけど、この曲は自分にとって大事な曲になりました』ってメッセージをくれた人もいたし。鹿野さんから『知らない』を毎日5回以上聴いてるってメールが来たり(笑)。それも嬉しかった。ありがとうございます」

■こちらこそ名曲をどうも。非常に強いソウルナンバーなんだけど、でも、同時にずっとリピートして聴けるんだよね。いろいろな意味で、音楽の強さと普遍さのバランスがいい曲だと思うんだ。ある人がね、「実はこれって王道のロックバラードだ」って言ってて。なるほどなって思ったんだよね。要するにオアシスのアンセムのようなナンバーだっていうこと。今の時代さ、いかにもってロック面してる曲がチャートを昇るのってほんとに難しくて。今年を振り返っても、ロック然とした曲は完全にマイノリティなものになってしまったんだよね。

「確かに、見た目からしてこれぞロック!っていう人は少なくなりましたね」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

『MUSICA 1月号 Vol.69』のご購入はこちら

Posted on 2012.12.16 by MUSICA編集部

スガシカオ、新時代のミュージシャンの在り方を模索する

裸一貫からの再出発をお見事!な成果で飾ったスガシカオ、
新たな時代の新たなミュージシャンの在り方を模索し、
音楽シーンの重要なアイコンとなった激動の2012年を斬る

『MUSICA 1月号 Vol.69』P38に掲載

■この前のZEPP DiverCityのライヴを観させてもらって感じたのは、お客さんが凄く新陳代謝しているなってことで。それはノリから2階席から見た景色からいろんなものを含めて変わっていて、スガさんにとって、ひとつのいい結果に繋がっているんじゃないかなと思いました。この2012年はかなり激動の年だったと思うんですけど、振り返ってみていかがですか?

「確かに激動っちゃあ、激動ですよね。もう何もかもが初めてでイチから立ち上げなきゃいけなかったし、その中でライヴも進行しなきゃならなかったので、その準備含めて、休む暇が全然なかったですね。リリースが不安定なので、ある程度ベースをライヴに置かないと、生活もできないし。リリースもライヴもないっていうんじゃ、活動してるように見えないしね(笑)」

■ひたすらブログの中だけで自分の意思表示、ってなっちゃうからね(笑)。そんな1年を通して、スガさんがこだわったのはファンクってものだったと思うんです。でも、半年前のインタヴューでも話したように、ファンクなんて今この国のどこにもないし、化石のような音楽になっているとも言えるわけで。ただ、それを地道にやったことで、自分のマーケットがこうして代謝できたのは何故だったと思いますか?

「結構――批判にならないように言うのは難しいんですけど――利益を生もうと思うと、これまで聴いていてくれていたお客さんを相手にするのが一番いいんですよね。なんだけど、たとえばフェスに出たとして、そこで俺のことをいいと思ってくれたお客さんにまた来てもらおうと思ったら、安定したものを全部捨てなきゃならないっていうのが当然出てくるんですよね。組織の中にいるとそういうことがなかなか難しかったけど、ひとりになった時に、1回それをちゃんとやりたかったんです。今、僕のところに来てる客って、もちろん最初からのお客さんもいますけど、ライヴの景色が変わった理由は、『ROCKS TOKYO』もそうだけど、フェスで観て面白いじゃんって思ってくれた人達が増えたからだと思うんです。だから僕から見ても凄く景色が変わった感じはしてて。でも、そうなるためには安定したものを全部捨てないといけなくて。まあ、今はファンクラブもないので、安定しようにも安定しようがないんだけど(笑)」

■それは逆に言うとね、フェス客とか若い人に受け入れられるためには、自分が裸一貫でやっている、その姿勢を見せなくちゃいけなかったということですよね。それともうひとつ。音楽を、世代を飛び越えて楽しんでいる、仕事ではなくて楽しんでいるっていうアティテュードを生々しく見せなくちゃいけないということも今年のスガさんは考えたのかなと思ってたんだけど。

「まさにそう。たぶん、この1年は、そのふたつのことが自然にできた気がするんだよね。そして、それが実を結び始めたんじゃないかと思いますね。なんていうか……音楽を耳とか頭で聴いて欲しくないんですよね。だからスタンディングのライヴにもこだわったし。とにかく体で聴く、体でビートを感じる、そういうところに焦点を当てたかったんです。だから、自分が若返るというよりは、肉体的な音楽をお客さんと一緒にやりたいっていう気持ちで進んできて」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

『MUSICA 1月号 Vol.69』のご購入はこちら

Posted on 2012.12.15 by 有泉智子

2012年最後のMUSICA、発売しました。

2012年最後の号となるMUSICA1月号、本日発売になりました。

表紙巻頭はTHE BAWDIES!
じっくりと長い期間を費やして作り上げられたニューアルバム
『1-2-3』の第一声インタヴューです。 
完成を祝したシャンパンファイトの写真と共にお楽しみください。
なお上の写真は、シャンパンファイトを終えた直後の4人。ちょっとおつかれ(笑)。 

さらに、表紙の彼らに「LOOK BACK 2012」というカードを持ってもらってますが、
MUSICA年末恒例となった年間総括特集を、
全40Pというボリュームで気合い入れて作りました。
特集タイトルはシンプルに「ザ・イヤー・2012」 
2012年という1年が音楽シーンにとってどんな1年間だったのか?
それが指し示す音楽カルチャーの現在地はどこにあるのか?について
小野島大さんと宇野維正さん、鹿野と私の4人で鼎談を行い、
ロックシーンに限らず、広い観点から総括&考察。
さらに、スガシカオ、星野源、クリープハイプ、supercellのインタヴュー、
総勢18人のアーティストによるアンケート企画など、渾身の特集です。
今年の音楽トピックスを綴った月表やチャートデータなどもあります。
文字が多いと言われるMUSICAの中でも、
特にすっごく文字量が多い特集なんだけど(笑)、ぜひじっくりと読んでください。
そしてあなたの感想や意見が、とても聞きたいです。待ってます。

他にもandymoriの騒動後初ツアーへの密着、[Champagne]のシングル第一声、
サカナクションの新曲最速レヴュー&困難を極めた制作ドキュメントなどなどなど、
詳細はこちらを参照していただきつつ、ぜひお買い求めくださいませ。 

あ、あと、鹿野のdiscordでMUSICAを語るニコ生、今月も近々やる予定です。
日程決まったら急に告知してやるので、チェックよろしくお願いします!(有泉智子) 

Posted on 2012.12.15 by MUSICA編集部

特集:ザ・イヤー・2012 年末恒例企画!2012年の音楽シーンを一挙総括大特集!

インタヴュー:スガシカオ、星野 源、クリープハイプ、supercell
各アーティストからのアンケート回答
さらに小野島大×宇野維正×有泉智子×鹿野 淳特別鼎談一挙掲載

『MUSICA 1月号 Vol.69』P30に掲載

2012年という1年から読み解く
日本の音楽カルチャーの現在、そして未来とは?

鹿野(以下■)2012年特集、今回はそれぞれ5つずつ今年を象徴するトピックを出し合い、それを基に話をしていきたいと思います。まずは、小野島さんのトピックから行きましょう。
小野島「ひとつ目は、ソニー邦楽がiTunes Storeでの配信を開始したことですね。iTunes Storeが日本でローンチしてから7年くらい経って、ようやく全部が出揃ってスタートラインに立ったわけです。それはつまり、Spotifyなどのクラウドサービスを除いて、プラットフォームが出揃ったということで。ネットが中心になってから、ユーザーとレコード会社とアーティストの関係性が歪んだ感じで進行していたのが、ようやくスタートラインに立てたんじゃないかなと。もちろん遅過ぎたわけですが、ここからいろんなものがフラットになっていけばいいかなと思っています。聞くところによると、iTunesでのソニーの邦楽の売れ行きも好調だそうで――」
しかも、ソニーが参入したことで他のレーベルのiTunes売り上げも上がっているそうです。要するに、iTunes Storeがやっとこの国の音楽のデパートらしくなったということだよね。
小野島「ここからいろんなものが始まっていけばいいなと、ある種、希望を込めて思います。アーティストもみんな歓迎しているし、よかったんじゃないかと」
宇野「面白いなと思ったのが、今年、ブルース・ウィルスがiTunesを訴えたんですよ。彼は子供が3人いるんですけど、自分がiTunesで膨大に買ってきた音楽ライブラリーを死後に子供に譲ることができないってわかったからで。要はiTunesって、いわば生涯レンタルなんですよ。音を所有しているわけではない」
有泉「その音楽を所有するという権利を買ってるに過ぎないってことですか?」
宇野「そう。だから死んだ後は誰にも譲れない。CDの場合は、子供にでも友達にも譲ることはできるけど、iTunesの場合は、その曲のライセンスを合法的に他人に譲ることはできない」
物じゃないから、貸し借りが成立しない。
宇野「ソニーが何故iTunesを始めたのか明らかにはしてないですけど、僕が予測するに、iTunes一色にならないことがある程度わかったからだと思っていて。CDはあり続けるし、他の形もあり続けるし、そのOne Of Themでしかないという見極めがついたからなんじゃないかと思うんです。日本はiTunesが成功していないほとんど唯一の先進国で。さっき鹿野さんがおっしゃったように、これをきっかけに活性化しているという事実はあるんでしょうけど、ソニー的にはiTunesに完全敗北することはないという判断がついたということだと理解してます」
僕は単純にソニーがこれ以上iTunesと戦っても消耗戦になるだけだと賢い選択をしただけだと思ってるけど。意地を張っても、マーケットをすり減らすだけだっていう判断なんじゃないかな。
有泉「私もそう思うんですよね。クラブミュージック系のBeatportを始め配信サイトはありますけど、ポップミュージックにおいてはiTunesがほぼ独占という状態はしばらく続くと思いますし。逆に、その状態が見えたからこそ、解放せざるを得なかったんじゃないかな、と」

 

(続きは本誌をチェック!)


『MUSICA 1月号 Vol.69』のご購入はこちら

 

Posted on 2012.12.14 by MUSICA編集部

これが僕らのロックンロールだ! THE BAWDIES、1年7ヵ月ぶりとなるニューアルバム『1-2-3』、第一声インタヴュー!

祝撃!
ロックンロールの未来を約束するアルバム『1-2-3』、第一声インタヴュー

 『MUSICA 1月号 Vol.69』P14に掲載

■遂にアルバム『1-2-3』が完成しまして、久しぶりの表紙巻頭です。

4人「ありがとうございます!」

■前作『LIVE THE LIFE I LOVE』からなんと1年7ヵ月ぶりということで―――

JIM(G)「そうですね、今回のアルバムはかなり時間をかけましたね」

■その時間のかけ方も、ひとつの目標だった武道館ライヴを終え、次なるステージに向かって明確な意識の下で取り組んできた結果だと思うんですが、その辺りも含め、じっくりと伺っていきたいと思います。

4人「よろしくお願いします!」

■まず、アルバムを聴いて強く思ったのは、腹を括ったなということで。周囲の声や自分達の置かれてる状況なんか抜きにして、とにかく自分達のやりたいこと、やるべきこと――つまり自分達が愛するロックンロールを迷いなく堂々とやり切ったんだなというふうに感じました。

ROY(Vo&B)「ありがとうございます」

■このアルバムを言い表すならば、どういう作品だと言えるのか? そこから訊かせてください。

ROY「僕としては、こういうアルバムを作りたいと考えていたものがその通り形にできたなと思って満足してますね」

■作りたかったアルバムというのは具体的にはどういうものだったんですか?

ROY「『LEMONADE』が出た時点で、次のアルバムは、大人っぽいというか、ちょっと落ち着いた洗練されたアルバムを作るんじゃないかとみんなに予想されるかなと感じていたんです。でもその頃には、自分自身の中ではまったく違うイメージが生まれていて。今までのアルバム以上にドーン!という若いアルバムを作りたかったんですね。ただ、これがデビューアルバムだったらその勢いだけかもしれないけど、実は、蓋を開けてみたら、『こいつら新人じゃねえな』っていうしっかり作り込まれてる部分もあるっていう。だけど、まず聴いた時には、勢いが凄いなって感じてもらえるアルバムを作りたいなと思ったんですね」

■なるほどね。JIMさんはどうですか?

JIM「僕も、一聴して驚くアルバムというか――」
ROY「(小声で)爆発的でしょ?」
JIM「あっ……僕はこのアルバムのことを爆発的アルバムって呼んでるんですけど(笑)」
ROY&TAXMAN&MARCY「はははははははは」

(続きは本誌をチェック!)

text by 板子淳一郎

『MUSICA 1月号 Vol.69』のご購入はこちら