BUMP OF CHICKEN、
初モノ尽くしの1年と新曲を語る
運動会を見守る母親のような、
「うちの子、頑張ってるわ」みたいな感じ(笑)。
その延長上にBUMP OF CHICKENもあって、
それがちゃんと歩いてきたんだなって感じなんです。
そこは僕らも認めてあげたいし、褒め讃えてあげたいんです(藤原)
『MUSICA 1月号 Vol.81』P.24より掲載
■2013年の最後の号、1年を総括する特集になるんですが、BUMP OF CHICKENも今年は非常に素敵な1年を送ったことと思います。まずはそれを振り返りましょう、よろしくお願いします。
一同「お願いしますっ!!」
■リリースものとかライヴの時系列で言うと、まずは3月6日。これ、何があったか覚えてる?
直井由文(B)「なんだっけ?」
藤原基央(Vo&G)「『firefly』かな?」
■いや、それは去年でしょ(笑)。
増川弘明(G)「え、マジで!? あれが去年?」
■そうそう。初モノ尽くしの年の始まりのようなものだよ。
藤原「………あ、もしかしてブルーレイ?」
■そう(笑)。ブルーレイとDVDで『BUMP OF CHICKEN GOLD GLIDER TOUR 2012』として、代々木第一体育館でのライヴ盤を出しました。バンドとしても初めてのライヴ映像集だったね。
升秀夫(Dr)「凄い嬉しかったですね。手に取ってもらった人はわかると思いますけど、ブックレットだったり箱だったり、いろいろ手に取って嬉しいものができたっていうのと、中身も今まで記録に残してこなかったものなんで。ある種、メモリアルなものを世に出すことができて凄い嬉しかったですね」
■ライヴ大好きな秀ちゃんとしては、自分達の演奏の結晶が、こうやってちゃんとひとつの作品になったということもよかったよね。
升「もちろんそう。内容も番場(秀一)さんの編集で、あの中にその日実際に来ていた人だったり、来たかった人だったり、僕達だったりっていうものの1日っていうのが、凄く綺麗に表現されてて。単純に『ライヴを映像化しました』っていうだけではないものになったかなって思いましたね」
増川「鹿っぺも言ってくれたけど、このビデオのリリースから、今年出したベストだったり、スタジアム(ライヴ)だったり、僕らにとって新しいことが始まって。だからその先駆け的なものだったなと思っていて。昔なら断ってた話を現実的なラインまで考えてみることが、その辺からどんどんできるようになってきたのかなって気はしてますね。単純に、もっといろんな人に聴いてもらうためのことを貪欲に考えたり――それは昔から考えてたんですけど、そのために何ができるかってところまで踏み込めたのが今年で」
■気持ちに対して身体が条件反射するというか、心に対して邪魔が入らなくなった感じね。
増川「そうそう。あと、ライヴの手応えをちゃんと自分の中で持って、納得できるライヴを――もちろん課題はあるけど、その時その時の満足感を得たライヴをしてきたのかなっていう。昔からそうですけど、さらにその先にライヴを持っていけるようなものになってきたのかなっていう気が今はしてるので」
藤原「このライヴ・ブルーレイを出せたっていうのは、バンドがそういう時期に突入したっていう感じなのかなぁ。僕らは基本的にライヴが現場以外のところで観られることに非常に強い不安感を持っていて。で、こういうアイテムが出るっていうことは、それを促すような行為じゃないですか?」
■そうだね。
藤原「当然世の中にいっぱいライヴ映像が商品化されてますし、僕らにも昔からそういう話がありましたけど、そういうことはやらないで来ました。やっぱり『ライヴは、現場で共有し合ってこそのライヴでしょ?』っていう考え方っていうのはずっと変わらずあって。同じ質量で、同じ強さでライヴに来て欲しいわけだから、来て欲しいと思えば思うほど……ね?」
■同じ想いで会いたいんだよね。
藤原「でも、バンドの規模とかを考えると、言ってるだけじゃダメで。『こういうことをやってます』って提示しなきゃいけないところまでバンドが来てるし、さっき増川くんが言ってたように、いいツアーを回ってきたっていう実感もあるから、どうしても来られなかったっていう人にちょっとでもそれを家で体感して欲しい。その気持ちも前述の気持ちと同様にずっと心の中にあって、それが押しくらまんじゅうし合ってるような感じなんだよね(笑)」
(続きは本誌をチェック!)
text by 鹿野 淳
『MUSICA1月号 Vol.81』