Posted on 2017.01.14 by MUSICA編集部

Mr.Children、
デビュー25周年とシングル『ヒカリノアトリエ』を軸に、
今と未来をメンバー全員で語る

自分達に足りないと思ったものを見つけて、
それをホールツアーでちゃんと身につけられたな
という実感もあると同時に、その反対にある、
それとはまた違ったMr.Childrenのよさも改めて実感していて。
今はその両方を手に入れられていると感じているからこそ、
凄いワクワクしてるんじゃないかと思う(桜井)

『MUSICA 2月号 Vol.118』P.12より掲載

 

■この新年号の発売日が1月14日なので、『ヒカリノアトリエ』が発売された3日後という状況なんですが。まずは、この“ヒカリノアトリエ”という曲はいつ頃にできた曲なんですか?

桜井和寿(Vo&G)「曲のデモは結構前からあったんですよ」

鈴木英哉(Dr)「今年の頭ぐらいからあったよね?」

スタッフ「2015年の末に最初のデモが届いてます」

桜井「ただアレンジを今みたいなものにしようとは思っていなくて。もうちょっとロック色の強いものにしようかなと思ってたし、実際にそういうアレンジでデモは仕上げているんですよね。でも、NHKから(連続テレビ小説『べっぴんさん』主題歌の)お話をいただいた時が、ちょうどヒカリノアトリエっていう8人のバンドメンバーでホールツアーをやっていた時期だったこともあって、『あ、この曲をアコースティックな感じでアレンジするのは朝のドラマにも合いそうだな』と思って」

■ちなみにこの曲、1月11日にリリースで、BPMも111で仕上がってるというお話ですが。

鈴木「おおっ、そうだったっけ?」

桜井「そう(笑)」

鈴木「偶然?」

桜井「いや、偶然じゃない(笑)。ほんとつまんない話ですけど、NHKさんだからですよ」

全員「おぉぉぉぉぉーー!」

鈴木「それで1並びなんだ! そうか、それで レコーディングの時、頑としてテンポ変えなかったんだ(笑)。珍しく速さにこだわってたから、面白いなあって思ってたんだけど」

■今までもそういう遊びって結構やってるの?

桜井「してないです(笑)。今回はちょうど110ぐらいがいいかなと思ったんだけど、どうせならNHKだから111にしようと。ゲン担ぎ的な(笑)」

鈴木「でも結果、BPM111でよかったもんな。下げてみようとかいろいろ言ったりしたけど、しっくりこなかったもんな」

■“ヒカリノアトリエ”の原曲ができた頃って、またたくさん曲を作っていた頃だったんですか?

桜井「そうですね」

■『REFLECTION』のツアーが終わってからの曲作りがどういうふうに進んでいったのかを含めて教えてください。

桜井「どういう感じだったっけなあ………何曲か自分の中から曲が生まれてきていて。それは断片だったり、ある程度サビの構成まできっちり決まってるものだったりといろいろなんですけど、何曲か生まれていたので、そろそろ整理しないと自分の中でどの曲がどの曲でっていうのがわかんなくなっちゃうなと思って。それで整理しようと思ってデモを作っていったのが始まりですかね」

■そのデモは4人で?

桜井「いや、僕がひとりで家で例の如く」

鈴木「で、『できました』と、俺らのところにメールで次々に届いてきて」

田原健一(G)「一度に何曲か来たんじゃなかったよね」

鈴木「同じ時期に5曲ぐらいボーンと来たんだよね」

田原「ちょうど『REFLECTION』のライヴがようやく終わってお休みしてる時期だったんですけど、そういう時に毎日毎日送られてくるんですよ(笑)。だから、これはどういう意志の表れなんだろう?と思ったりするわけですけど、今の話を聞いてなるほどなと思いましたね。『そろそろ整理しないとわからなくなってしまう』っていうのは今初めて聞いたんで、そういうことか、みたいな(笑)」

鈴木「そうそう、妙に腑に落ちたね(笑)。こうやってインタヴューすると、いろいろなことが確認できたり知れるからいいね(笑)」

■逆に言えば、今の言葉を聞くまでは、貴重な休みなのに何故こうプレッシャーをかけてくるんだろう……っていうような想いもあったの?(笑)。

田原「そりゃプレッシャーはありますよ!」

鈴木「うん、休みのはずなのに、桜井全然休んでないじゃん!とも思ったし(笑)。ただ、『レコーディングしたいの?』って訊いたら『いやいや、そういうことではない……』って感じだったから、てことはどういうつもりなんだろう?と思ってて。で、今の話を聞いてなるほどねと思ったっていう」

■ナカケーはデモが届いた時どうでした?

中川敬輔(B)「JENも言った通り、最初は『これはすぐにでも手をつけたいのかな?レコーディングしたいっていうことなのかな?』って思って。でもツアーも始まるところだったし、そんな時間ないよな、これは一体どういうことなんだろう?って俺もちょっと考えましたね(笑)。……とにかくね、それぞれの曲の振り幅が広かったんですよ」

■その振り幅の広さは田原くんも感じました?

田原「そうですね。すぐ対処しようと思うにはあまりにも振り幅が広過ぎるので、もっと時間が欲しいなと思って。だから新しい行動に早く移したいのかなっていう慄きがありましたね(笑)」

鈴木「なかなかヴァラエティに富んだ曲達だったもんね。それこそ、これ完全アルバムモードじゃん!ぐらいの感じだったから。だから俺もみんなと一緒で『え? でもこれからホールツアーやるよね? これいつ録るつもりなの?』って思って。その感じはたぶん、みんな同じだったはず(笑)。ツアー前で時間がないとは言え、曲は生ものだったりもするから、すぐやったほうがいいのかなってみんな思ったんだと思うし。でも桜井は、『いや、これはこれでいいんで』って感じだったから」

桜井「ふふふ、僕としてはすぐ録りたいみたいなつもりは全然なく、ただただ、たくさんできて来てるから整理しないとっていう、本当にそれだけで。だからその振り幅っていうのも、いっぱいある曲達を『これとこれは似てるな』っていうふうにはしたくないし、はっきりした大きなテーマがあったわけじゃないから、アルバム云々というわけでもなく、敢えて振り幅をつけるというか、1曲ごとに個性的に作っていったという感じなんです」

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text by鹿野 淳

『MUSICA2月号 Vol.118』