Posted on 2012.08.16 by MUSICA編集部

編集の現場から その2 ~「色」にこだわる、職人の目~

長らく更新が滞ってしまってすみません。

誌面デザインもリニューアルしたMUSICA9月号は、8月16日より絶賛発売中です! 書店でお見かけの際は、ぜひご一読ください。

 今回も雑誌の編集部に入って「これは面白いな」と思ったことを書いていきます。

 少し前のことになりますが、MUSICAを印刷・製本していただいている大日本印刷の工場に見学に行ってきました。

巨大な機械から次々と出てくる印刷物、インクだらけの作業着を身にまとった従業員の方々…一冊の本ができるまでに、これほど複雑な工程があるのかと驚くことしきりでした。

 中でも印象的だったのが、発色の具合を確かめる従業員の方のするどい眼差し。

編集者の指定した色のイメージと突き合わせながら一枚一枚丁寧にチェックをしていくその様は、まさに「職人」と呼ぶにふさわしいオーラを発散していました。

 日常の会話では「赤」「青」「黄色」と大ざっぱに表現している色ですが、実際にはとても複雑なグラデーションがあります。(Wikipediaで「色」と検索してみましょう!)

さらに、すべての色はシアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、黒の4色の掛け合わせで表現しているので、それぞれの色を何%で掛け合わせるか、その微妙な調整で仕上がりの色が大きく変わってきます。

 ミュージシャンのイメージに合わせた写真を撮ったり、レイアウトの色を考えるのはアートディレクター&カメラマン&編集者の仕事ですが、実際にインクの調整をしながら印刷をしてくださるのは印刷工場の工員さんたち。

印刷所には「プリンティング・ディレクター」という、カメラマンが撮った写真やレイアウトの色味を実際の印刷で再現するべく監督してくださる方がいて、

仕上がったページの色が「イメージと違った!」なんてことにならないよう、その方と編集部&AD(アート・ディレクター)とで細かくコミュニケーションをとりながら、実際の印刷へと持っていきます。

具体的には、本印刷の前に「試し刷り」を出してもらい、色味の確認や調整作業をしていくのです。

(この試し刷りのことを、「色の校正紙」、略して「色校」と言います)

ちなみに、シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、黒の4原色の組み合わせ(家庭用プリンタと同じです)では表現しづらい、さらに微妙な色合いを出したい時に用いるのが、「特色」と言われる特別に配合された色インク。

上の写真のような見本となるカラーチップがあって、この中からイメージに近い色を選定し、使用しています。

(MUSICAでも表紙の文字色や、はがきの色などに使っています)

 

最新号を手に取っていただいた際には、このような「色」にかけるこだわりにも思いを馳せていただけたならうれしいです!

text by 関取 大