中村一義、約10年ぶりのソロ再始動! 独占インタヴュー!!
僕は1回、中村一義っていうものに冷凍睡眠をかけたんです。 でも、いろんな呪縛から解放されて、 それをもう一度蘇生するのなら今だろ!っていう気持ちがありました
■こういう形(ソロ)でのインタヴューは本当に久しぶりになるし、遡ってみると、実は11年半ぶりぐらいになるんですけど――。
「そうですね(笑)、中村一義名義ということではね。久しぶりなもので興奮してますよ、ビビりながら」
■MUSICAとしては、去年の4月号のラヴソング特集で曽我部(恵一)くんとの対談をしてもらって。そういう意味では、そこまで時間も経ってないんだけど。でも、遂にやってくれましたね!
「曽我部さんとの対談の時、鹿野さんがまためちゃくちゃプレッシャーをかけたわけじゃないですか。別れ際も、じっと目を見て『本当に期待してるから!』みたいな(笑)」
■あはははは、そうだったね。でも俺、別に記事のために言ったんじゃなくて、本当に「早く新しい音源を聴かせてよ!」っていうのを伝えたくてさ。
「だからプレッシャーなんじゃないですか!!! この人本気だ!って思うから(笑)。でもやっぱりそれは凄く嬉しかったし、逆に言ったら、あの時ぐらいから今のプロジェクトの構想を現実化させようっていう動きになってきたんで。ぶっちゃけ、あの取材がきっかけみたいな部分もあるんですよ。もちろん準備はしてたんですけど、プロジェクト作業としてゴーしたのはあの直後だったんですよね」
■そうなんだ。この“運命”っていう素晴らしい曲を聴いて、何しろ話をしたいと思って実はゴリ押しで取材もさせてもらってるんですけど――。
「はい。鹿野さんのご感想を聞いたんで、『やったね! これは酒盛りしかないだろう』と(笑)」
■あ、この居酒屋での取材形態は、そういうことなんすか(笑)。
「そうなんですよ。こういう取材形態も初じゃないですか。本当にひとりで作ってるんで、作った!っていうのを誰かと共有したいんですよ。悲しいんですよ、基本的にひとりは(笑)。なので、『おめでとう!』っていうのを共有するために――鹿野さん、今日は生け贄です」
■オッケー。では乾杯!
「乾杯! 本当に一緒に作ったようなもんなんで、嬉しいです。ありがとうございます!!」
■ありがとう(笑)。そもそもソロでやろうと思ったのは、どういう心境から始まってるんですか?
「心境もあるけど、状況も状況ですからね。普通に音源が作れない現状があるわけじゃないですか」
■あぁ、音楽業界の現実的な話と、マネージメントとして完全独立して、一からやり始めたことですね。
「ぶっちゃけて言えば、実際には金がないから100sもやらないわけであって(笑)。もちろん、それだけじゃないですけどね。この“運命”だの、今やってるプロジェクトだのは、『世界のフラワーロード』直後にどうしようかなって思ってたんですけど、こういう現状だしなっていうのがあったし、自分達も会社として独立したばっかりでほんと金もなくて」
■ならばまずはスモールサイズから始めよう、と。
「そう。着の身着のままで出てきたんで。まず自分達の地固めをやらないとねっていう話になって。で、音楽業界もこういう昨今だし、求められないもの作ってもしょうがねぇかっていうのもちょっとありつつ……」(続く)
Text by 鹿野 淳
続きは本誌をチェック! 『2012年3月号 Vol.59』のご購入はこちら