Posted on 2012.02.22 by MUSICA編集部

GRAPEVINE、さらに研ぎ澄まされたそのロックの真髄

『2012年3月号 Vol.59』 P97に掲載

実際に考え方がシンプルにはなっていってます。 それはバンドっていうもの自体がそういうものだからだと思うんですけど。 バンドが必然として鳴らしてるものなのかどうか。そこに意識が向かっている

■なんと1年と1ヵ月ぶりのインタヴューです。こんなに空いたの初めてなんですけど。

「本当ですよ。あまりに空いたんで、何故かもう俺はインタヴューを受けることはないんじゃないか、そういう人生になるんじゃないかと信じてましたね。まさかまたインタヴューする日が来るとは」

■ははははは。まぁでも、それくらい久しぶりですよね。どういう日々でしたか、この1年と1ヵ月は。

「いろんなことがあった1年でしたけどね。でもバンドとしては、ずっと普通に動いてましたから。シングル出したりはしなかったですけど、ライヴはコンスタントにやっていましたし。まずアルバムが出てツアーがあったでしょ。そのツアーが、震災の影響で振替があったんで7月ぐらいまで続いて、そのあとは夏のイヴェントがあって……ってごっつ普通のこと言ってるな(笑)。でも、つまり新曲のリリースはなくとも、バンドとして健全な活動を続けてきた1年でしたね。で、その後、この作品を作ったわけなんですけど」

■本格的にレコーディングに入る前も、ライヴ以外に、プリプロ的なセッションみたいなものは断続的にやってたんですか?

「いや全然。ツアーの頃に、ぼんやりとではあるけれども次はマイケルさん(河合誠一マイケル/今作のプロデューサーにして、過去ユニコーン等を手がけてきた名物プロデューサー)と一緒にやって、形としてはミニアルバムぐらいのものを出したいなっていう話まではしてたんですけど、実際それに着手したのは秋でしたね。ツアー終わりぐらいからそれぞれに曲作りを始めつつ、月に1回それを持ち寄ってマイケルさんも一緒にミーティングをしてたんですけど、毎回『やってみないとわからないね』っていう話で終わってた(笑)。常に『とりあえず音出さないと話になんないよね』っていう結論で終わる」

■全然建設的じゃないミーティングですね(笑)。

「まぁ、そうとも言う(笑)。ただ、そこで曲出しはやっていたので、それによってプリプロ以降の作業が早かったというのはありますね。要するに、今回はもうこの6曲で行こうっていうのをあらかじめ決めた上で、プリプロに入ったから。そういう形で実際にプリプロに入ったのが秋くらい……10月とかそれぐらいかな」

■完パケは12月頭でしたから、ということは割と短期間でババッと作った感じなんですね。

「そうですね。スムーズでしたよ、凄く」

■楽曲的にバラエティには富んでるんですが、でも全編通して非常に痛快な、輪郭のはっきりしたストレートなアルバムになりましたよね。こういうモードは最近なかったですね。

「そうかもしれないね。ミニアルバムなだけに何かしら統一感みたいなものが欲しいなっていうのと、最近しばらくやってなかったであろうテイストのものにはしたいなという漠然と思ってましたけど。特に達成感というわけではないんですが、『真昼のストレンジランド』というアルバムは、長田さん(長田進/『déraciné』の一部から参加、『From a smalltown』〜『真昼のストレンジランド』までのプロデューサー)と一緒にやってきた集大成のような作品になったと思うんですよ。だから、ここらでちょっと新しい空気を取り入れたいという感覚は、メンバーの中にも、バンドの周りの人達にもありましたから……」(続く)

Text by 有泉智子

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