Posted on 2012.08.16 by MUSICA編集部

The SALOVERS、満を持してカオスを鳴らす

『MUSICA9月号』P.106に掲載

生の実感を掴み取るため、僕らは巨大な流れに抗い、足掻く。
メジャーデビューアルバム『珍聞完文』、
その本当の始まりを、古舘佑太郎、大いに語る

■前作の『バンドを始めた頃』は、何故バンドでロックを鳴らすのか?という、ロックバンドとしての最初の衝動と必然が詰まった作品だったと思うんですけど、今作は古舘君の表現としての始まりを告げるアルバムだなと思って。

「その通りですね。実際、もうあの時とはまったく違う考え方になってます。セカンドはまさにロックをやる意味みたいなものが詰まってると思うんですけど、簡単に言っちゃうと、今はそれでも足りないんだなっていうか。ああいう衝動とかだけではできないっていうか…………正直言っちゃうと、セカンドは自分ではもっといけると思ってたんですよ。でも、自分が思ったほどは評価がなくて。それもあって、『バンドを始めた頃』を出した後は、かなり沈み込んでたんですよね」

■今年頭に『ディタラトゥエンティ』の取材をした時に話してくれましたよね。音楽って難しいなとか、そもそも生きること/死ぬことってなんだろうみたいなところまで考え始めて収拾がつかなくなって、ひたすら『クレヨンしんちゃん』を読んで逃避してたっていう(笑)。

「そう(笑)。あの頃はだいぶ落ち込んでて、次のアルバムの完成なんてま――ったく見えなかったんですよね。見えなさ過ぎて、もう完成しないんじゃないかと思ってたぐらい。ドラムの雄太に『これでアルバムできたら俺、マジで成長して別人になってるわ』って話してたんですけど、それはもう完全に架空の話としてしていて」

■できるわけないっていうたとえ話として、そういう話をしてたと。

「マジで無理だと思ってました。で、実際にこのアルバムが完成したら、ほんと別モノになってて……圧倒的に違うのは、今回のアルバムって枠にハマってないというか、型がないんですよね。こだわりが一切ないというか。変にこだわってきたものを捨てて、いろんなことやってみたっていうのが今回のアルバムです」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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