Posted on 2012.10.14 by MUSICA編集部

特集:ボーカロイドが変えた音楽の「リアル」

ボーカロイドが変えた音楽の「リアル」!!
現在進行形の
ポップミュージック革命に迫る

『MUSICA 11月号 Vol.67』P28に掲載

 MUSICA初のボカロ特集である。正確に言えば、初音ミクに代表される音声合成ソフト:VOCALOID(ボーカロイド)を用いて音楽を作り、ニコニコ動画に代表されるインターネット上の動画サイトで作品発表を続ける中で大きな支持を得ることで活動の幅を広げている次世代型アーティスト達と、そのシーンを位置づけるための特集だ。ボカロPの雑誌はあれど、音楽雑誌でこういう形でちゃんとVOCALOIDクリエイターと向かい合うのは初めてだと思う。でも、声を大にして言いたい。若い世代が主体となって進んでいるこのムーヴメントは、この国の音楽シーンの構造を劇的に変えていくものだ。タイトルに打った通り、明らかにひとつのポップミュージック革命であり、そして、この国で初めて生まれた独自のオルタナティヴ・ミュージックと言っていい。
 こういう形でこの特集を組もうと思ったきっかけは、やはり米津玄師だった。今年5月にアルバム『diorama』をリリースした際、MUSICAでも異例の巻頭10Pというヴォリュームでインタヴュー記事を掲載したアーティストだ。才能が迸るような音楽性はもちろん、孤独の果てから生きるということの本質を掘り下げ、世界と時代に対する鋭い洞察をも持った米津の作品は、2012年のロックとして非常にラジカルかつ批評性の高いものだった。若干21歳の新しい才能が、ロックシーンとはまったく関係のないところで輩出されている――彼は、かねてから「ハチ」という名前でVOCALOIDクリエイターとしてネット上で活躍、600万再生を超える代表曲“マトリョシカ”をはじめ、ミリオン再生を超える楽曲を何曲も生み出す人気アーティストだ――という現実。そして、そこに10代~20代前半の多くのキッズが集まり、高い熱量で彼らの音楽を支持しているという事実。ライヴやCDよりも先に動画サイトで音楽に出会うことがスタンダードになった今、この動きは今後も加速するだろうし、そういう形での音楽体験が原風景になった世代が増えていけば、数年後のポップミュージックの構造を根本から変えることになるのは間違いない。

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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