Posted on 2012.11.25 by MUSICA編集部

OverTheDogs、ちくっと胸に刺さる恒吉からの贈り物

どこにでも、どこまでも飛ぶための翼を手に入れるため、
丸裸になりながらポップを突き進んだ『プレゼント』。
キラキラと軽快な音像の裏にある、真摯なる意志と覚悟を紐解く

『MUSICA 12月号 Vol.68』P108に掲載

■今年のホワイトデーにプレゼントされた『トイウ、モノガ、アルナラ』以来、約8ヵ月ぶりの贈り物がバンドから届きまして。

「あ、あれってホワイトデーだったんだ!」

■なんだ、狙ったのかと思ったのに(笑)。

「気づいてなかったです(笑)」

■というわけで、アルバム『プレゼント』について久しぶりのインタヴューです。

「よろしくお願いします」

■フルアルバムとしてはほぼ1年ぶりになる作品でが、特にサウンド面の変化が大きいんだけど、より聴き手を選ばないポップネスを追究するというところに腹を括った作品だと思いました。自分ではどんなものを目指してきたの?

「そんなに意識はしてないんですけど、ただ、たとえば無人島に行くってなった時に選ばれるCDにしたかったというか。だから、夜でも聴けるし朝でも聴けるし、疲れてる時にも元気な時にも聴けるアルバムにしたいっていうのは思ってて。それで、あんまり尖った音にしないっていうのは意識しました。サウンドにしてもアレンジにしても、尖り過ぎない、凝り過ぎないものにすることで、どんな人でもどんな場面でも聴けるようなものにしたいなって」

■だから非常にシンプルだし、ある意味、素朴なサウンドが鳴ってますよね。それもあって歌が凄く前に出てきてるんだけど。どうして、どんな人でもどんな場面でもってことを強く思うようになったんですか?

「たまに取材とかで『どこの年代に聴いて欲しいですか?』とか、『誰に聴いて欲しいですか?』とか訊かれるんですけど、それって僕にとっては凄く違和感のある質問で。そんなの60億人いたら60億人に聴いて欲しいに決まってるじゃん!っていう。そう考えた時に、60億人の中には疲れてる人もいれば楽しい人もいるわけで。そのみんなに聴いてもらうために、凄くスタンダードなというか、ある意味フラットな、でも逃げ腰じゃないアルバムを作りたいなと思って。前からそういう気持ちはあったんですけど、そこをさらに突き進んだっていう感じですね。だから自分の中では結構攻めてるんですけど。……凄いことを言ってしまえば、自分らの音楽的なアイデンティティなんて捨ててしまえっていうのが、結局、僕の中では思ったことなんですよね」

■それはどういう意味で?

「音楽的なアイデンティティにこだわるよりも、自分達の人間性がちゃんと音楽に表れたほうがOverTheDogsの場合はいいなと思って。結局、音楽性って日々変化していくものだと思うし。そこに固執するよりも、その時その時に自分が『これカッコよくない?』って思ったものをちゃんと大事にしたほうがいい。それは、僕は歌詞とメロディには自信があるっていうのも大きいんですけど。歌詞とメロディさえ変わらなければ、どんな音楽性になっても絶対にOverTheDogsになるっていう自信があるんで。だから今回入ってる“愛”のアルバムバージョンって、プロデューサーの江口(亮)さんにアレンジ全部任せて好きにやってもらったんですけど――」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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