Posted on 2013.01.20 by MUSICA編集部

吉井和哉、5つのターニングポイントから紐解くソロ10年

喪失と再生、辿り着いた場所と新たな始まり――
ソロ10周年、5つのターニングポイントから
その軌跡を追う

『MUSICA 2月号 Vol.70』P44に掲載

■今日は5つのターニングポイントからソロキャリアを振り返っていこうと思うんですが、その前にひとつ。タバコ、完全にやめられたんですね。

「そうなんだよ、だから今日も禁煙席でしょ? 悔しいだろ! 吸いたいだろ!」

■はい(笑)。あれだけヘヴィスモーカーだったのに、よくスムースにやめられましたね。

「全然スムースじゃなかったよ!(笑)。最初の頃は太るわ、挙動不審になるわで。イライラしてるつもりはないんだけどイラついてるし、詞もできないし。集中力が全然出なくてボーッとしちゃうの。だから2012年の春とか初夏とかは結構大変だったね。今思えば、凄い変だったと思う。すぐ刹那的になったり、かと思えばハイになったりを繰り返して……ま、それは昔からそうか」

■(笑)。

「でも、そういう状態はある程度したら治まるってネットに書いてあったから(笑)、ここは絶対に頑張ろうと思って乗り切ったんだけど。……やっぱり大きかったのは、やめてる間に声が変わったんだよね。タバコ吸ってると、タバコを吸うなりの歌い方ができてくるものなんだけど、でもどうしても肉体は衰えていくし、そこにタバコが入ってくると若い時とは勝手が違うんだろうね……と、やめた今は思うけどね。まぁでも、吸ってる人にやめろやめろ言うのも変な話だから、そこは自分のスタイルでいくしかないと思うけど。一応、言うけどね。『勃起力がアップしたよ』とか」

■……………そこ?

「みんなそっちに反応するんだよ! 声がよくなったって言っても『へぇー』って感じだけど、勃起力が上がるっていうと『マジっすか!?』って」

■(笑)。でも、確かに声は艶やかになりましたよね。昨日、久々にライヴを拝見したんですけど、以前とは明らかに違う、清々しい晴れやかさみたいなものを感じて。声だけじゃなく、何かひとつ抜けた感じがしたんですけど。

「ああ、そうかもね。危なさとか妖婉さはなくなったって言われますけど(笑)。でも、それも含めて――ほら、タバコって『こんなものを吸ってる俺』みたいな感覚ってあるじゃない? 酒にしても『酒飲んで酔っ払っちゃってる俺』とか」

■そういう自分に酔ってる的な?

「そう。ジャズなんかはタバコやドラッグが密接してたりするし。そういう昔のカッコよさの価値観みたいなのが俺は大好きだったし、その日本を代表するひとりと言っても過言じゃないアーティストになったと思うんだけど(笑)。ただ………2012年はイエローモンキーの20周年ということでいろんな企画もやっていただいて、ファンも昔の映像を観る機会があったと思うですけど、でも、それを観て俺のソロのライヴに来ても、やっぱり今はもう違うじゃない?」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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