Posted on 2013.02.16 by MUSICA編集部

ASIAN KUNG-FU GENERATION、軽やかに生を祝福する名曲『今を生きて』誕生

今、僕らはこの日々を、この世界を生きている
その小さな奇跡に、
どうか愛と歓びと、祝福を――
『ランドマーク』後、初のシングル『今を生きて』。
音楽に託された想い、そしてアジカンの現在地とは

『MUSICA 3月号 Vol.71』P70に掲載

■まずは、昨年末にファイナルを迎えたツアーの話から訊いていこうと思うんですが。レヴューでも書いたんですけど、明確にライヴバンドとしてのアジカンを更新する素晴らしいステージで。7人体制になったことが大きかったと思うんですが、ここ数年作品の中で目指してきた音楽的な世界観がライヴという場でもきっちり果たされた手応えがありました。ご自分達ではどうでしたか?

喜多建介(G)「最新アルバムの曲は全部やったし、曲順も基本的には作品に近い形でやったんですけども、間に入れていった過去の曲も含めて一貫性があって、ひとつのショーとして凄くやりがいがあるツアーでしたね。毎回終わるたびにミーティングをしたりして、サポートの方々もどんどん自由になっていった感じがあったし」
山田貴洋(B)「本当に楽しく回れたツアーだったんですけど、ただツアー中はそこまでの実感はなくて。もちろん観に来てくれた人のリアクションでよい感じだったことはわかるんですけど、でも最近やっと映像を観て、思っていたよりも見応えがあるライヴをやってたんだなと思いましたね。たぶん今までのツアーで一番よかったんじゃないかな」
伊地知潔(Dr)「僕も凄く楽しかったですね。サポートの方々のおかげでよくなったところが結構大きいんですけど、ただ、そのおかげでいろいろわかっちゃった悔しい反面もあって」

■それって具体的には?

伊地知「やっぱり音楽的にバンドがスキルアップすると、こういう表現したいからこうやってくれ!みたいなことで言い合ってたことがなくなるというか、いろんなことが自然と解決するんですよ。それを今までできなかったのが悔しいなと思って。だからこれを踏まえた上で4人でやれるようになりたいなと思うんですけど」

■全体がスキルアップしたことで、プレイヤーとしても自由度が上がった感じはあったんですか?

伊地知「そうですね。あと隣に僕の師匠(三原重夫/長年アジカンのRECでドラムテックを務めている)がいたんで、迷うことなくできて。三原さんはパーカッションというより、バンドをまとめるような立ち位置でやってくれてたんですよ」
後藤正文(Vo&G)「たとえば、僕がリズム隊に要求したいことを、潔とか山ちゃんにわかるように言語化するのって凄い難しくて。だけど三原さんは僕の意図を汲み取って、具体的な叩き方として潔達に示してくれるんですよね。それは凄く大きかった。俺は『馬に乗ってるような感じでパッカパッカやって欲しいんだよね』とか言うわけですよ。そうすると『ゴッチがまたワケわかんないこと言い出した。この話、早く終わんないかな』みたいな空気になることが多くて」
喜多「なるね(笑)」
後藤「それが三原さんを通すと、『こうだよ、潔くん』と具体的な叩き方を示してくれる。で、潔達も『なるほど、やっとゴッチの言ってることわかった!』ってなる。もちろん、そういう役割も期待して(ツアー)に呼んだんですけどね」

■あ、そうだったんだ。

後藤「はい。三原さんはレコーディングの現場で僕の抽象的な表現をわかってくれる人だったので。だから今回はライヴにおいても潔との間に通訳として立ってもらった。で、上田さんはまた違う役割で、全体的なサウンドにもうひと味つけてもらう役割。本来だと僕が重ねるべきギターのノイズやフレーズがあるんだけど、歌いながらだとそこまで手が回らないので、そこは上田さんに担ってもらって。上田さんも三原さんも音楽の理解力が凄く高いので、僕がやりたいと思ったことをすぐ理解して鳴らしてくれたんで、凄い助かりましたね。僕は自分をヴォーカリストとして解放したかったので、そういう意味でも手応えがあったし」

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text by 有泉智子

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