Posted on 2013.02.18 by MUSICA編集部

Base Ball Bear、6つのキーワードからBase Ball Bearの核を成す世界観を炙り出す

ベースボールベアーの10年
ベースボールベアーの今までの22曲と新しい3曲
ベースボールベアーの「青」「檸檬」「黒い長い髪の少女」etc…
「永遠なる衝動と憂鬱」ベースボールベアーの
ターニングポイントを今、語る

『MUSICA 3月号 Vol.71』P84に掲載

■今回のベスト盤リリースは、小出くん自らが言い出したことなんだってね。

「そうなんですよ。『新呼吸』出した後に、レコード会社の人とか、誰か言い出すんじゃねえかと思って待ってたんだけど、いくら待っても誰も言ってこなくて(笑)。で、これは『初恋』出した後かなと思ってたら、やっぱり誰も言ってこなかったから、自分から『ベスト盤どうっすか?』って言った(笑)」

■アーティストから言い出すのって凄く珍しいよね。もしかして引退っすか?

「いやいやいやいや! 全然違うんですけど(笑)。でもいい区切りかなとは思っていて」

■それは、メジャーデビューしてからひと区切りついたなって思ってるのか、もしくは、ここでベスト盤を1回出すことで創作に余裕が欲しいみたいなアーティストとしての本音もあったのか?

「休憩したかったっていうのはないです。シングルも同発だし、曲も変わらず作ってるしね。だから今回、(レコード会社の)ディレクターには『景気づけ』っていう言い方で言ったんですけど(笑)。うちのディレクターはまったく考えてなかったらしくて。『マジで? ベスト盤、出したいの!?』みたいな。『アーティスト側から言われると思わなかった。ちょっと待って、1回揉ませて』って。それで結局、レーベル側も後づけで『出しましょうよ』みたいな感じになったという」

■今回2枚組で合計22曲と、大量に入っているわけで。このタイミングで自分達の活動をきっちり見せたいっていう意志を強く感じるんだけど。

「それはありますね。でも、順番的にはシングルのほうを先に出したいっていう話が先でした。で、シングル出すのにもう1個ニュースが欲しいなって思ったから、『じゃあニュース作ればいいじゃん。ベスト盤出しましょうよ』って言って。それで最終的にシングルと同時リリースになったんです。シングルについては他にも何曲か候補があったんですけど、ベスト盤と一緒に出す意味があるものがいいなと思ったので、“PERFECT BLUE”を選んだんですけど」

■ “PERFECT BLUE”の音楽性も歌詞も、ここまでのBase Ball Bearの世界をひとつ総括している曲ですよね。こうやってベスト2枚にまとめたところで、何を感じましたか?

「ベスト盤っていろんな作り方があると思うんですけど、僕達は初めてのベスト盤だし、ここからBase Ball Bearの第2章が本格的に始まると思っているから、第1章のあらすじ的な機能を持ったものにしたかったし、これからBase Ball Bearを知る人に向けたアイテムにしたくて。だから『シングルとアルバムの推し曲を並べてみようよ』って作ってみたら、結果こうなったという。割と自動的に並べたんですけど、凄く客観的に年表を見るような選曲になりましたね」

■Base Ball Bearのこれまでの流れがよくわかるようになってると思う。こうやって眺めてみて、改めて感じたことってありますか?

「うーん………もっと評価されていいんじゃねえの?っていう」

■目力強いよ、今もの凄く(笑)。

「(笑)。いや、俺、強い曲作ってると思うんですよねぇ。こうやって並べると、そう思いません?」

■常に当てに行ってるよね、シングルははっきりと。ロックのマナーでポップに当てに行くという、明快なルールがすべての曲にある。僕がひとつ思ったのは、とても早熟なバンドだったなということで。明らかに、古い曲であればあるほど渋い。

「はははははは、そうですね」

■で、年を追うごとにだんだん解放されていってるっていうか、無邪気になっていってるよね。

「ざっくり言うと、このベストアルバムは自分が心を開いていく歴史だなぁとは思いますね。曲そのものもそうだし、歌詞もそうだし、歌単体でもそうだし、あとはバンドの成長もそうなんですけど。僕の心のシャッターがだんだん開いていく様子が綴られてるなっていう感じがします」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

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