Posted on 2013.02.19 by MUSICA編集部

The Mirraz、遂に放たれるメジャーファーストアルバム、全曲解説

自分達が闘う場所も、鳴らすべき音楽も、
全ては自らの意志の下に。
溢れんばかりの遊び心と鋭いメッセージを刻んだ
『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』。
全曲解説で、The Mirrazメジャー攻勢に賭す!

『MUSICA 3月号 Vol.71』P92に掲載

■メジャーファーストアルバムが完成しましたが、『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』というタイトルからして、バンドのこの1枚に賭ける決意が凄く伝わってきました。

「自分達がやってきた音楽の集大成的なものでもあるし、メジャーという場所に来て、それを一番わかりやすい形で出したかったんです。結果的に、作詞作曲の仕方やアレンジ、そして音質という部分でも、聴いてくれる人に対してすべての要素を濁らずに届けることができるクオリティのアルバムを作れたなという手ごたえが今はありますね」

■アルバムを聴いて凄く感じたのは音が格段によくなってるということで。特にヴォーカルに関しては、ひとつひとつの言葉が凄くクリアに耳に入ってきて。このアルバムを作る上でポイントになったことは何かありますか?

「 “僕らは”という曲ができたことが大きくて。この曲がアルバムの中心になるという意識は明確にあったので、そのイメージをいかに広げていくのかを制作中は常に考えていましたね。“僕らは”ってどういう曲なんだろうってことをメンバーで話した時に、なんか宇宙っぽい雰囲気があるよねって話になったんです。だから、今回のアルバムは今までのように洋楽のアーティストの特徴を取り入れて作るというやり方ではなくて、『宇宙』という抽象的なイメージを音にしていくというやり方でした」

■これまでのミイラズって音に関しても、歌詞に関しても、攻撃的だってことを言われていたじゃないですか。でも、今回ってその攻撃的な部分はなくなっているわけじゃないけど、その表現の仕方が凄く変容してきていると思うんです。

「ああ。確かにそこは意識しましたね。今回のテーマのひとつとしてあったのが、曲のイメージを壊さないように言葉を選んで乗せていくということで。歌詞によって曲のイメージが限定されてしまうのが嫌だったんです。だからわざと曖昧な言葉を使ったりもしましたし」

■じゃあその辺も含めて、1曲ずつ伺っていければと思います。

<気持ち悪りぃ>

■この曲の歌詞は不倫がモチーフになっていて、以前インタヴューした時には、たとえば若いリスナーの子達が親の不倫で苦しんでいたとしたら、この曲を聴いて少しでもストレスを吐き出して欲しいという気持ちも込めているということをおっしゃっていて。この曲を1曲目に持ってきたのはどういう意図があったんですか?

「ミイラズというバンドの特徴を一番わかりやすく表現している曲だと思って。歌詞については今話してくれたようなメッセージもあるんですけど、この曲の一番の狙いは、<気持ち悪りぃ>って言葉をいかにキャッチーな歌にして楽しめるものにするかということで」

■確かにこの曲はミイラズの真骨頂的なもので、<気持ち悪りぃ>という棘のある言葉をユーモアを効かせて、ポップなものとして鳴らしていて。でも、こういう曲を作るのってシンプルなようでいて、実は難しいことでもありますよね。

「そうですね。単純に怒りをぶつけて叫んでるみたいになっちゃうと、聴いてる人からすれば、ただ不快なだけなので、メロディやアレンジを上手く使って、面白く聴かせるためにギリギリのバランスで成立させることができたということは、自分の中でも凄く自信になりましたね。そういう意味でも1曲目にぴったりだと思います。あと、実は去年の年末に桑田佳祐さんがラジオ番組の2012年に印象に残った曲という企画の中で、“気持ち悪りぃ”を6位に選んでくれたんですよ。こういうわかりやすい歌をこの時代にやれてるってところがいいよねってことを言ってくれて。そのことで自信にもなりましたね」

(続きは本誌をチェック!)

text by 板子淳一郎

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