Posted on 2013.04.17 by MUSICA編集部

クリープハイプ、初のREC独占潜入&決定打『憂、燦々』インタヴュー奪取

初の試み、レコーディングに2日間潜入して来ました。
ずっと笑ってるし、いい曲どんどん生まれちゃってるし、
でもカツ丼にネギ入ってないし、何なんだこのレコーディングは。
シングル『憂、燦々』のインタヴューも、ちゃんとしてきましたよ。
変化期を迎え、なおも盛んなクリープ節を、どうかお楽しみください。

『MUSICA 5月号 Vol.73』P48に掲載

 今回、初めてクリープハイプのレコーディングに密着する機会を設けてもらった。読み進めてもらえばわかるが、このレコーディングは来たるべきアルバムへの過程となるもので、まだ具体的なことは何も伝えられないが、バンドは淡々とその時へ向けて歩を進めていることがわかるドキュメンタリーとなっている。
 もちろん、シングル“憂、燦々”のことを忘れたわけじゃない。メジャーになって初のシングル“おやすみ泣き声、さよなら歌姫”でオリコン7位となり(ホップ)、そのことから生まれたフラストレーションと疑問と興味を全部圧縮爆弾に詰め込んでぶつけた“社会の窓”がさらに突破口を開いた今(ステップ)、資生堂アネッサのCMタイアップ――去年の星野源が“夢の外へ”で跳んだ、あのタイアップだ――で、一気に大ジャンプを決める、そのことに一点集中したことがはち切れんばかりに伝わってくるこの曲と、これからについて、MUSICAでは初めての4人全員インタヴューをした。
 スタジオ内でのゆったりしている時間、しかし外では確実にとんでもない早さで状況ができ上がりつつあるクリープハイプの現在のおかしなカオスを、きっとこの特集で楽しんでもらえると思う。

 3月11日、都内某スタジオにて

 周辺で随分と迷ってしまうほど、住宅地のど真ん中に不思議と存在しているスタジオに、16時半に入る。すると、めんたいロックの伝説的なバンド、ルースターズの後期のドラマーであり、最近ではアジカンのツアーでパーカッションを叩いている三原重夫さんがいて、びっくりする。今回からドラムのテックさんとして(ドラムのいいセッティングや、いいマイクの置き方や、曲に合う絶妙のチューニングなどを施す人)入ってもらっているそうだ。
 ブースの中を見ると、俯いているので目が見えないキノコ頭の方がギターを抱えながら弾いている。そうです、尾崎世界観のギターダビングの時間でした。下から覗き込むと、軽やかな表情で順調にギターのテイクを重ねているが、どうにも1ヵ所だけ上手く音が決まらない。それをミックスルームから指摘されると、尾崎は――。
「……あー、わかる。これ、(コードが)Fだから上手くいかないんだ……」と、力なく笑いながら話をする。もちろん、一同大爆笑。
 ちなみに何故Fのコードだから上手くいかず、何故Fだからみんな爆笑したのか? ギターを演奏したことのある人ならわかるだろうが、Fのコードというのは人差し指で6弦全部を押さえねばならず、それが案外指の力や長さなどを必要とするほど難しくて、このFを押さえられずにギターを断念する「Fギター難民」が多いのだ。
 ブース内の尾崎は笑いながら取り乱し、「Fの音だけがダメなんて一番ダサい!! 俺はギタリスト初心者か!」などと自分突っ込みを入れて盛り上がっている。

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

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