Posted on 2013.05.17 by MUSICA編集部

星野源、シングル『ギャグ』で早くも新たなる扉を開く

『Stranger』に続いて早くも発売されたシングル『ギャグ』にて、
新しい実験期へ突入!

『MUSICA 6月号 Vol.74』P46に掲載

■今日は5月1日、アルバム『Stranger』の発売日です。おめでとうございます!

「ありがとうございます。やっぱり感慨深いですね。本当に、やっと出たっていう感じがあって。評判も今のところいい感じなので……ふふ、なんか黄昏れますね(笑)」

■前号の表紙巻頭特集のインタヴューをしたのがちょうど1ヵ月ほど前のことなんですけど。あの後にいろいろ取材を受けたり、反響もあったと思います。病を乗り越えて無事にリリースできたっていうことはもちろん、1年の間にたくさんの挑戦をしながら、必死の想いで取り組んでいった作品が世の中に出ていくということは、いろいろと思うところも多いのではないかと思うんですけど、改めて今、どんなことを感じていますか?

「そうですね………最近わかったことがあって。前の取材で話した通り、ずっと自分の殻を破ろう破ろうと思いながらやってきたんですけど。そうなったのはやっぱり、『自分はこのコースしか行けない』みたいな息苦しさがあったからで。ちょっと違うことをやった時に周りから『らしくない』って言われてしまうようになっていたストレスも凄くあったし、自分自身も違うところに行けないフラストレーションも凄くあったし………だから自分を壊したいなと思ってやってたんですけど。ただね、何にそんなに悩んでたのかな?とも思うんですよね」

■それはどういうこと?

「本当に自分を壊したかったんなら、全然違うことをしちゃってもよかったわけだから。たとえばヘヴィメタみたいなことをやってみるとか――安易な例ですけど(笑)」

■なるほど、それくらい違うものにするっていう選択肢もあったはずだと。

「そうそう、そのほうが簡単だったと思うんですよ。でも、それをしなかった。で、何故それをしなかったのかな?って考えてみると、やっぱり最大限、今まで聴いてくれていた人達も連れて行きたかったんですよね。その上で、知らない人達にも聴いて欲しかったんです。だから変わりたい、殻を破りたいっていう気持ちだけじゃなかったんだなって………そういうことに最近気づきました。ずっとそれ(変わりたい、殻を破りたい)だけだと思ってたんだけど」

■大切にしたい「これまでの自分」というものもあったんだ、と。

「というか、これまでの星野 源を好きだった人達も一緒にアップデートさせるような変化、その人達も『一緒に殻を破れる』ような変化を目指してたんだなって。中にはガラッと音楽性を変えるアーティストもいるじゃないですか。それはそれで本当に凄いことだと思うんだけど、それってある意味、半分を捨てる行為だとも思うから………自分はそれはやりたくなかったんだろうなって。だからこそ大変だったんだなって………そういうことが最近わかりました」

■それは、これまで聴いてきた人達を大切にしたいっていうのももちろんあるだろうけど、星野さん自身にとっても、今までの表現の中にちゃんと大切にしたい自分っていうものがあったからなんだと思うんです。

「うん、そうかもしれない」

■前号のインタヴューで「自分が思っていたよりも魂的なものが色濃く残ってしまった」っておっしゃってましたけど、『Stranger』はやっぱり、凄く新しい星野 源を切り開いた側面を持っているのと同時に、これまでの星野 源の核を成していたものがより強く出ている側面もあって、そこが素晴らしいんですよね。あの表紙巻頭特集のコピーに「新しい星野 源、本当の星野 源」っていう文言を入れたんですけど、今までの自分をひっくるめて進化させたからこそ『Stranger』は星野 源の金字塔になったんだと思うし。

「ありがとうございます」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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