Posted on 2013.06.20 by MUSICA編集部

高橋 優、新作『BREAK MY SILENCE』で
己の殻をぶち破る

これが魂のプロテストソングだ
これがマイノリティの壁を砕く
石のような意志だ
これが私小説という名のもの言うポップだ
そしてこれが、高橋 優だ
『BREAK MY SILENCE』
今、ここに沈黙を破れ――

『MUSICA 7月号 Vol.75』P76に掲載

■メジャー3枚目のアルバムが完成しました。このタイミングは節目であり、勝負でもあり、相当な気合いや覚悟が入ったアルバムになったと思うんですけど。そういう想いはやっぱり強かった?

「とても強かったですよ。今までで一番、自分がやりたいことを、実際にやらせてもらったアルバムになったと思います。3枚目だからってことは考えてはいなかったですけど、去年2回ホールツアーを回らせてもらったことや、当初のシングルを出そうかという話から一転して、『僕らの平成ロックンロール②』というミニアルバムを出したということ。そういう中で自分自身の変化は凄くあったと思うんです。そして、その変化というものを濃縮して、真空パックしたものを今作りたいと考えて、生まれたのがこのアルバムなんです」

■間違いなく、去年の秋以降、高橋優は脱皮をしたと思うし、脱皮した後でどこに着地するのかという意味でも、今回のアルバムは重要なものだったと思うんです。そういう大事な作品を聴いて感じたのは、今まで以上の私小説集であり、魂のプロテストソング集だなということで。

「おお! プロテストソング集ですか」

■そして、そういう歌達をロックンロールで鳴らす。つまりは、限りなくパンクアルバムに近いイデオロギーがあるアルバムになっていると思う。

「……音楽的なカテゴライズは自分の中ではまったく考えていないです。今年に入ってずっと考えていたのが、自分はギターを弾いて歌いたいだけなんだということで。だから最初は弾き語りのアルバムになってもいいんじゃないかと思いながら作り始めました。要は、バンドサウンドはバンドがやればいいんじゃないかって思ったんです」

■その気持ちは、BRAHMANと一緒にやってみて芽生えたものなの?

「それは間違いなくあります。やっぱり、バンドの人達は人生を賭けてバンドサウンドを作り上げているわけじゃないですか。だから、僕がすべきことは、ギター1本抱えて、どこにでも行って歌うということに尽きると思ったんです。もちろんひとりだとサウンドは薄くなるし、見栄え的にもバンドより劣るかもしれないですけど、でもそれこそが高橋優なんだと改めて思ったんですね」

■今の話は、ここまで積み重ねてきたものを全部振りほどいて原点回帰するんだ、というふうに聞こえるんだけど、実際そういう意識だったの? 

「いや、新しいところに向かったんだと思います。『~ロックンロール②』には原点回帰というテーマもありましたけど、あの頃と今では僕自身がフィジカル面でもメンタル面でも変わったんです。以前よりも何十倍も、研究するという意味で音楽を聴くようになりましたし、友達と会うことも少なくなって、友達の数も減りましたし(苦笑)」

■去年の秋以降の激減現象ね。

「だから、弾き語りでどこまでできるのかってことにもう一度チャレンジしたいという気持ちが強くなっているんです。……札幌で路上ライヴを衝動的にやっていた時はもうちょっと薄っぺらい意識だったと思うんですよ」

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text by 鹿野 淳

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