赤い公園、待望の1stフル・アルバム『公園デビュー』リリース。
キーマン、津野米咲の音楽の源泉とは
私にとって音楽は、
わかりやすい希望ではないんですよね。
でも、音楽は自分にとって、
裏切られないって知っている唯一のもの。
ま、それが人間じゃないのが寂しいですけど(笑)
『MUSICA 9月号 Vol.77』P.70より掲載
■ひとりでインタヴューするのは初めてなので、今日はいろんなことを訊きたいと思ってるんですけど。まずはアルバム、本当に名盤だね。
「やったー! ありがとうございます!」
■そもそも曲を書く才能もセンスも凄くあるし、ポテンシャルも高いバンドだったけど、ここにきて一気に殻を破った印象があって。アレンジも音作りも凄く洗練されましたね。
「うわ、嬉しいです!」
■何故こんなふうになれたんですか?
「心持ちとかはあんまり変わってないんですけど、今回はエンジニアリング的な部分を結構変えて。音をすっきりさせたのと、あと歌の力が変わったのが大きいんじゃないかと思います。アレンジはできた当初からほとんど変えてないんですけど」
■曲はいつぐらいに作ったものなんですか?
「デビューしてから作ったものが“つぶ”と“交信”で、活休中に作ったのが“カウンター”と“贅沢”。その他は全部デビュー前の曲です」
■そうなんだ。ということは、頭の中に想い描いていた音楽をやっと鳴らせた感じなんですか?
「そうですね。というか、鳴らすことには割と成功していたものを、ようやくCDとしてパッケージできることができたなっていう感じです。今までのミニアルバムでは自分のコアな部分に近づけることに重点を置いたというか、違和感の部分に重点を置いてやってきたんですけど、今回はとにかく耳触りをよくしたくて。聴く機器を選ばないスタンダードな音作りをしたいというか……たとえば“のぞき穴”はもっと治安の悪い音にすることもできたし、“交信”はもっとゴージャスにすることも、“体温計”はもっと質素にすることも、“カウンター”をもっとパンクにすることもできたんです。でも、それはやらなかった。だから今までに比べたらリヴァーブ、ディレイの量が圧倒的に少ないんです(笑)。音の質感をめちゃくちゃドライにしたし、クリアに聴こえるようにしたし、音数も増やし過ぎないようにしたし」
(続きは本誌をチェック!)
text by 有泉 智子
『MUSICA 9月号 Vol.77』