くるり、15周年。
デビューからの軌跡と新曲“Remember me”を語る。
『坩堝の電圧』は、一番時代に寄せた
アルバムやったんですけど。
ただ、僕らがずっと作ってきたものって
大体5年後、ないし10年後に起こることが
描かれてるような気がしていて。
今はまた、そういうものを作っていきたい
『MUSICA 11月号 Vol.79』P.201(バックカバー特集)より掲載
■この15年を振り返ってみてどうですか?
「うーん……時代は変わったなということですかね。前のアルバムで韓国にレコーディングに行った時、ソウル市内を歩いていたら日本の15年前の感じがしたんですよ。それは向こうが遅れてるってことではなくて」
■はい、人や街の活気が15年前の日本のようだと話してましたよね。
「そうですね。僕らはビクターでやらせてもらってますけど、昔、ビクターが原宿にあった頃の東京に近いものを感じたというか。下北にしても、もちろん今でも活気のある街ですけど、その頃はまだインディーのギターバンドがいい意味で今よりもチャラチャラしてた、浮かれ気分があった時代ですから」
■当時と比べると、時代的にだんだん重くなっていった15年間だったと思うんですが。そのムードは自分達の音楽に跳ね返ってきていると思いますか?
「前の『坩堝の電圧』は、そういう意味では一番時代に寄せたアルバムやったんですけど。ただ、僕らがずっと作ってきたものって大体5年後、ないし10年後に起こることが描かれてるような気がしていて。今は、そういうものをまた作っていきたいなっていう気がしてるんですよね」
■今回リリースされる『Remember me』は、そもそも去年の夏、『坩堝の電圧』から時間を置かずに作られた楽曲で(最初のバンドヴァージョンは昨年の秋に配信リリースされた)。あれからここまでの間に吉田省念さんの脱退がありました。そのことを岸田さんはどう捉えているか、伺えますか。
「うーん……なんで辞めたのかは僕は知りません。慰留はしましたけど。ただ、そもそも自分の音楽をやることに主眼を置いてた人なんで。ソングライターですし、自分で歌いたい人やしね。そんな中でバンドに参加してくれて、メンバーとして一緒にやって……まぁだから、いつかは辞めていくんだろうなとは思ってたんです。だから結果、よかったんじゃないかな。ファンの人には申し訳ないですけど、僕らは自分達の音楽にフォーカスできるようになりましたし、彼もたぶんそうなんじゃないでしょうか」
(続きは本誌をチェック!)
text by 有泉 智子
『MUSICA11月号 Vol.79』