Posted on 2013.10.14 by MUSICA編集部

草野マサムネ、『小さな生き物』に込めた
想いを細やかに語る。

『小さな生き物』が脳内を歩き出す、
秘蔵エピソード満載の全曲解説インタヴュー

『MUSICA 11月号 Vol.79』P.52より掲載

1、未来コオロギ

 

■まず、この曲を1曲目にした理由を伺うところから全曲解説を始めていきたいな、と。

 

「実はね、“オパビニア”(M5)を1曲目用として作っていたんですよ。それはたとえば『Crispy!』とか『ハチミツ』と同じイメージというか、コンパクトで軽快な曲が1曲目にくるロックアルバムが好きだからっていう理由なんですけど(笑)」

 

■それはテンポよくガツッと耳を掴むような曲から始まるアルバムっていうイメージかな。

 

「そうですね。でも、みんなで曲順を話し合っている時に『“未来コオロギ”もアリだね』ってなって。ちょっと哀愁のある雰囲気だけど、リズム自体は軽快だし、ありそうでなかった1曲目かなと。歌詞の内容も、<未来コオロギ>っていうのはミュージシャン、そしてスピッツのメンバーのメタファーでもあるし………昔使った『ミカン』(“ミカンズのテーマ”)もそうだったんですけど、『未来コオロギ』もスピッツを象徴する言葉かなと思ったんです。そういうの含めて、『これからスピッツのアルバム始まりますよ』っていう曲として聴いてもらえるかなとも思いましたし」

 

■この曲から始まるというのは、非常にストレートな入り方だと感じたんですよね。“小さな生き物”に繋げるためにも、かわすようなタイプの曲でアルバムの世界観を示すのではなく、この曲で始めていきたいという意識が強かったんじゃないかと。

 

「“小さな生き物”が1曲目でもよかったんですけど、ここ最近ミディアムテンポで始まるアルバムが多かったじゃないですか。“ビギナー”(前作『とげまる』の1曲目)も、“僕のギター”(前々作『さざなみCD』の1曲目)にしても。それもあって、ちょっと変えたいなっていう気持ちがあったんですよね」

 

■曲自体は、いつ頃作ったものなんですか?

 

「アルバム制作の後半かな……大体曲作りの時は、サビのメロディから膨らませていくことが多いんです。これもサビが最初にあって、そこから膨らませたもので。『未来コオロギ』って言葉自体は、ずっとネタ帳に温めてたものなんですけどね」

(続きは本誌をチェック!

 

text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.79』