Posted on 2013.11.14 by MUSICA編集部

[Champagne]、次のステージへ――
彼らのツアー密着取材にて目撃したものとは?

より広く大きな景色を手に入れるため。
さらに強く、さらにアグレッシヴに、
ロックバンドの確たる衝動と獰猛なエネルギーを迸らせる
[Champagne]、今その目が見据える「世界」に迫る

『MUSICA 12月号 Vol.80』P.44より掲載

 

10月19日(土)高松MONSTER

 

 12時10分頃にMONSTERに到着。ライヴハウスの楽屋口に近いところに人だかりができているのでもしやと思ったら、バンが停まっていて、ちょうどメンバーが会場へ入っていくところだった。私もそのまま楽屋に向かう。

 9月13日に千葉LOOKでのツアー初日を観に行った時以来で会った4人は、穏やかなテンションで、それぞれに今回のツアーが順調である旨を伝えてくれる。ただ、洋平が何を話すのもウィスパーヴォイスなので「もしかして喉を痛めたのか?」と心配すると、「いや全然、むしろ調子よいです。念のため温存してるだけ(笑)」という返答が。なるほど、無闇に声帯を震わせないようにしてるんですね。なお、洋平と言えば、ツアーが始まる1週間前に自転車事故によってケガを負い、出演予定だったフェスを2本キャンセルしてしまった。一瞬ツアーは大丈夫か?とヒヤリとしたけれど、幸いにも初日までには演奏に支障のないレヴェルまで回復。これまで以上にアグレッシヴなパフォーマンスを披露している今回のツアーの中でも悪化することなく、元気に全国を回っている。

 ツアーが順調に進んでいればいるほど、楽屋というものは落ち着いているもので。変な緊張感もなく、みんなリラックスした雰囲気で、穏やかな時間が流れている。洋平がアメリカやイギリスの最新チャートトップ100をジャンル別に紹介するwebサイトを開き、総合チャートやロックチャートをチェックしているのを、磯部と一緒に覗き込む。総合チャートだとやっぱりあまりロックが入ってこないなとか、USのチャートはハードロックとカントリーっぽいのが多々ランクインしててこれはお国柄だよねとか、そんな話でひとしきり盛り上がる。

 磯部にここまでのツアーの手応えを訊く。

「千葉LOOKの初日からセットリスト自体はほとんど変わってないんですけど、1曲ごとの演奏はもちろん、曲と曲の間とか流れが凄くよくなってきていて。今回のツアー、どの曲も完成度は割と最初から高かったんですけど、どんどん自然になってきてる感じがあって」

 

■ちゃんと自分達のモノにできているって感じ?

 

「そうですね、まさに。ただ、やっぱりツアーだから、いろいろありますよ。特に機材のトラブルは結構あって(苦笑)。俺のアンプが1台飛んじゃったり、洋平のギターがハウりまくったり、上手く音が出なかったり。1回“This Is Teenage”と“Starrrrrrr”でシーケンサーが鳴らなくなったこともあって、その時は打ち込みなしで演奏するという、逆にスペシャルな展開になったんですけど(笑)。……でも、逆にそういうことがあって[Champagne]の強さを再認識できたというか」

 

■それはどういう意味で?

 

「たとえ機材がトラブっても、ちゃんとライヴできるバンドなんだなっていうことが確認できて、それが嬉しかったんですよね。シーケンスだったりいろんな機材も、俺らにとっては『鬼に金棒』で言うところの『金棒』的なもので、勝負しているのはあくまで生身のバンドだってところは変わってないから。ほら、シーケンスや機材が増えていくと、それがないとライヴが成立しないというか、できないバンドも出てくるじゃないですか。でも、[Champagne]は違う。たとえ金棒を取られちゃっても、俺達4人で十分に勝負できる。俺達はちゃんとロックバンドとしてライヴできてるんだなって改めて実感できたんですよね。………それが嬉しかった」

 

 (続きは本誌をチェック!))

 

text by 有泉 智子

『MUSICA12月号 Vol.80』