Posted on 2014.01.17 by MUSICA編集部

天邪鬼に、そして純粋に邁進するSAKANAMON
セカンドアルバムに秘められた世界に深く迫る

 

卑屈なことを書いていくことって、
僕の中で凄くカッコいいことなんです。
みんなが全然笑えない歌詞なのに、
笑顔でそれを見て笑ってるっていうのが好きなんですよ。
それが音楽の力だなっていう気がします

『MUSICA 2月号 Vol.82』P.82より掲載

 

■『INSUROCK』を聴かせてもらったんですが、これまでのSAKANAMONらしいメロディのセンスや衝動性みたいな部分が半分で。もう半分は、いい意味でやりたい放題というか、このバンドが持っているアクとか掴みどころのなさっていうのが際立った作品だなっていう印象を持ったんですけど。

 

「狙い通りですね(笑)」

 

■狙い通りっていうことは、最初からそういう作品を作ろうと思ってたっていうこと?

 

「そうですね。前の『na』を出してからすぐ、次のアルバムはどうしようか?っていうことを考えてたんですけど。『na』って、僕達にとっても初めてのアルバムで、名刺代わりというか、SAKANAMONがどういうバンドか?っていうことをわかりやすく出そうと思って作ったアルバムだったんで。そこでやっぱ『この曲はまだ早い』とか『この曲は初対面ではキツ過ぎるな』って思って、次のアルバムに入れたいなと思ってた曲がたくさんあったんですよ。だから、いわゆるキツいヤツらっていうか(笑)」

 

■独特のクセやアクの強い曲達っていうことですね。

 

「うん。個性豊かな人達をそこに集結させたっていう感じですよね。だから、今回は奇抜めのアルバムになってると思ってます」

 

■じゃあ、割と楽曲もファーストを出してからこの1年で作り溜めてった新しい曲達っていうよりは、比較的前からあったような曲が集約されてる感じなんだ?

 

「あ、でも、そう言われるとちょっと難しくて……『na』はほとんどが昔からやってる曲達ばっかりが入ってたんですけど、リード曲だけ、新しく作って。その時に、1番とサビだけの原型みたいなものをたくさん作って、それ以降はあんまり作ってなかったんです」

 

■候補というか、まだ曲とも呼べないような、本当のデモ段階のラフな素材をいっぱい作ったっていうことね。

 

「はい。で、今回のアルバムのためにそれを肉づけしていったっていう感じですね。だから、昔からあったと言えばあったんですけど、曲としては完成してなかったものが半分というか。で、あとの4分の1はそれよりもっと昔からあるやつで、さらにもう4分の1は、もっと新しい曲っていう感じなんですけど」

 

■じゃあ、『na』を出した直後に次はもっとクセのある部分やドギツイ部分を出そうっていう構想があったこともあるけど、このタイミングでちゃんとそれができるなって思ったのは、やっぱりこの1年間の中でしっかり基本となるSAKANAMONの音楽を提示できたっていう実感もあったからなんですか。

 

「あぁ、それはありますね。提示できたと思います。だからこそ、もっと遊びたいなっていう気持ちもあって、それを今回、頑張って作ったっていう感じです」

 

■ある意味、この1年間の中で、イマイチ遊び切れてないっていう自分達にフラストレーションみたいなものも感じながら?

 

「まぁ、そう言ってしまうとアレなんですけど(笑)。でも、たとえば“エロス”って『na』を作った時に一緒に録った曲なんですよ。それで、アルバムの選曲からは落ちてったんですけど、強い曲っていうよりは歌詞的にもちょっと違うのかなって思って。ほら、なんかあるじゃないですか? ちょっと初対面の合コンでいきなり下ネタ言ったらヤバいな、みたいな」

 

■仲よくなる前に引かれちゃうよね(笑)。

 

「そうそう、もうちょっと仲よくなってから下ネタを振ったほうがいいなっていう(笑)。そういう気遣いですかね」

 

■親しくなって、気持ちを掴んでから、ずいっと攻めるっていうね。

 

「うん。やっぱり最初なんで、ちょっといいとこを結構見せていったっていう感じですよね」

 

■表向きというか、余所行きの自分を。

 

「そうですね。だから、前回は凄く下からいってて、今回は上からいってる感じですかね。聴いてくれる人に対して『こんなバンドなんですよ、聴いてみてください』っていう感じだったのが、『俺達の音楽はこうなんだよ』って提示してる感じというか」

 

(続きは本誌をチェック!

 

text by 寺田 宏幸

『MUSICA2月号 Vol.82』