Posted on 2014.01.17 by MUSICA編集部

OKAMOTO’Sが解き放ったポップと反骨心
『Let It V』の真意に、メンバー全員ソロインタヴューで迫る

 

ほんとに自分でこの曲いいなって思える曲をやっと書けるようになった。
懐古主義なだけじゃない、今の日本だったり2014年だったりにぴったりきてるものをようやく作れた感じがする(オカモトショウ)

『MUSICA 2月号 Vol.82』P.94より掲載

 

Interview with SHO

 

■自分達の音楽性とこの国のロック/ポップソングを融合させることに成功した、OKAMOTO’Sの答えを示す素晴らしいアルバムだと思いました。あと、とにかく曲がいい。ソングライティグの腕を凄まじく上げたね。

 

「嬉しいです、凄く。自分では新しい挑戦のあるアルバムになったなと思ってて。自分の中で決めてたルールを1回壊した部分もあったし、もの凄い手応えを感じてるし。2013年の頭に『OKAMOTO’S』を出して。自分達的には本当に自信作だったし、ツアーでも今までで一番伝わってるなって思えたんですよ。でも、だからってチケットが爆発的に売れるわけでも、CDの売上が大きく上がったわけでもない。ここまでやってもまだ届かないんだっていう思いがあって。だからもっとたくさんの人に自分達の音楽を投げかける挑戦をしたかったんですよね。それで、前作はまだ自分の中にルールがあったんだけど――たとえば、メロディはブルースマナーに則って書くんだっていうことだったり、ビートもロックンロール・バンドらしいビートにこだわる――簡単に言うと4つ打ちはやらないとか、そういうのがあって。けど、ツアー中にみんなで『ここからどうする?』って話し合って、そこで4つ打ちに挑戦してみようっていうことになったんです」

 

■それで生まれたのが“JOY JOY JOY”か。

 

「そう。ロックフェスに行くと一番みんなが踊るヤツをやってみようって。で、“JOY JOY JOY”を作ってツアーの最後にやったら、まだ音源にもしてないのに一番盛り上がるぐらい盛り上がったんです。そこに対して、凄く狙い通りだなっていう冷静な自分の目と、こんな景色が見れるんだっていう歓びと、結局これなんだっていう残念な気持ちがあって……」

 

■「結局4つ打ちなら盛り上がるのか」っていう、一種の無力感。

 

「そう。『俺らじゃなくてもいいのかも』っていう感じがあって。そういうのも感じながら今回のアルバムに向かったんですけど。……前回のアルバムって、俺の中では、自分がバンドの中で力を持てた1枚だと思ってるんですよ。つまりサウンド面をちゃんと握るっていうことができた」

 

■事実、前作で作曲クレジットもショウくんの比重が格段に増えたしね。

 

「そう。……バンドの中で、一番先に俺が危機感を覚えたんですよ。メジャーデビューして3枚アルバム出したけど、このまま好き勝手やるだけだと楽しいけど未来がないなと思って。誰かがそれを警告しなきゃいけないと思ったから、決意を持って曲を作って、みんなにそれを伝えて」

 

■その危機感ってつまり、OKAMOTO’Sはロックンロールやブルースっていうルーツを自分達なりに解釈してやっていて、それを10代がやってる面白さも含めて評価されてデビューしたけれども、その勢いと盛り上がりの中で3枚作ったところで、自分達が思ったほどには状況が爆発してないってことを冷静に見 つめた。それ故の危機感だよね?

 

「ほんとそうなんですよ。俺達が憧れてる60~70年代のミュージシャンって、日本もイギリスもアメリカも関係なく、文化として、アイドルとして、ヒーローとして、もの凄い憧れられてたじゃないですか。そういうバンドを好きだった俺達がそこから学んでやったらみんな喜ぶだろうし、他にそんなことやってるヤツらいないから俺達がいかに特異な感じなのかわかるでしょっていうのが言わなくても伝わると思ってたら、大間違いで」

 

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 text by 有泉 智子

『MUSICA2月号 Vol.82』