Posted on 2014.05.17 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN、ツアー『WILLPOLIS 2014』
名古屋・日本ガイシホールでのライヴに完全密着!

「WILLPOLIS 2014」KICK OFF!
アルバム『RAY』を抱えながら再び始まった巨大ツアー。
4月18日の名古屋・日本ガイシホールに完全密着。
より楽しく、よりフィジカルに疾駆する4人のドキュメンタリーを、
光射す場所からあなたへ――

『MUSICA 6月号 Vol.86』P.70-81より掲載

外は肌寒かった。深夜には地震があり、韓国では船が沈没する悲劇が起こり、天気も雨が降ったり止んだり。何しろとても肌寒い1日だった。

 だけどWILLPOLIS 2014、ここだけはたとえようのないほど、とてもあたたかかった―――――。

 幕張メッセから始まったツアー「WILLPOLIS 2014」は、2カ所目の名古屋に移動した。その名古屋・日本ガイシホールでのライヴの2日目の、今にも雨が降りそうな12時18分。すでに長蛇の列ができているグッズ売り場の横を抜けてアリーナの中に入ると、スタッフが「まさに今、メンバーがやって来ますよ、早くこっちへこっちへ!」と誘ってくれる。その直後21分、メンバーが1台の車に乗ってやってきた。

 いつものように穏やかな表情で4人一列で入ってきて、いつものように楽屋にかばんを置き、いつものように今日のセットリストの確認を舞台監督とし、そしていつものように「じゃ、ご飯食べようかな」と、フジと増川がご飯を食べ出し、すでに喰ってきたチャマはギター片手に早くも発声練習。そして升は、これまたいつものようにいなくなった。今までの例でいくと、彼はきっとアリーナの客席内をひとりで散歩したり、軽くジョギングして、ライヴのイメージトレーニングをしているはずだ。

 ちなみに、メンバーが楽屋に入ってすぐに舞台監督とセットリストの確認をしている時から、ずっと飛ばしていたのはチャマ。「“○○”を今日はやりてー」だの、「でも“★★”はフジくんの喉にどうかな?」とか、3人の前でアッパーな提案をし続ける。時に「“◆◆”の出だし、勢い出し過ぎないで、しっかりと叩こう!」と瞬きすらしない視線で升を見据えながら話したり、完全にチャマワールドを楽屋全体で形成している。その空間に「まだついて行けねーよ、俺らはチャマに」と笑いながら話すのはフジ。このバンドなりの奇妙にして鉄壁のグルーヴは、今日も健在だ。

「昨日(のライヴ)も楽しかったよ」と言いながら、着替えるフジの後ろで、今度はチャマがベースをビッコンビッコン叩きながら弾いている(チョッパー奏法と言います)。何かここ最近のチャマと比べて随分とアクティヴかつハードだ。

 その後もメンバー4人みんなでブルーノ・マーズを観に行って本当によかったという話で盛り上がったり、僕がグラミー賞を観に行って、アメリカの音楽はどうだったのか?という話をしたり、とりとめもない話をしながら、やがて誰かが吹いた口笛に心地よさを感じ、徐々に楽屋は静かな世界に戻っていった。

(続きは本誌をチェック!

text by 鹿野 淳

『MUSICA6月号 Vol.86』