Posted on 2014.05.19 by MUSICA編集部

新シングル『Crazy Crazy/桜の森』で才気大爆発!
星野源、衝動とともに新たな王道を突き進む

何か気をてらおうっていうのは全然ないです
自分がこれ面白そうだなって思いついたことをなるべく忠実に、
思いっ切りストレートにやる、みたいな。
いろんな人に無茶苦茶なことを届けるっていうのが、J-POPだとも思うし

『MUSICA 6月号 Vol.86』P.82-89より掲載

■ツアーもNHKホールで無事にファイナルを迎えたわけですが、まずは久しぶりのツアーをやり切った感想から伺えますか?

「楽しかった! やっぱり日に日に疲れていったので心配度は増していったんですけど(笑)、無事に終われてホッとしました」

■武道館からツアーまで終わった――つまり、ひと通り復活の流れはやり切ったわけですけど、今はどんなお気持ちですか。

「実はまだあんまり、そこに関しての感想がなくて。ほんと、ホッとしたっていうぐらい(笑)。すぐそのままシングルの作業に行っちゃってるんで、あんまり思うことがないかも」

■逆に言うと、それぐらいすんなり活動再開できていると。

「そうかも。でも、むしろ結構必死というか(笑)。いろんなことが押せ押せになちゃってて、前ほどではないけど忙しいんですよね」

■シングル作りつつ、コントもやりつつ、『蘇る変態』(単行本)の作業もありつつ――。

「そう、だから余裕ないです。ほんとに休みたい……」

■(笑)。でも凄く幸福なことですよね。音楽家としても役者としても文筆家としても、みんなに求められているってことだから。

「そうなんです。でも、やっぱり休みたい!(笑)。本当はツアーの最後に沖縄入れようって言ってたんだけど、結局なかったな……」

■というわけで、復活後初となる両A面シングル『Crazy Crazy/桜の森』が出ます。作業はツアー前から始めてたと思うんですけど。

「はい。作曲に関しては、ずいぶん前からやってました」

■“桜の森”は3月下旬からOAされていたし、“Crazy Crazy”も福岡に行った時(3月15日)にはオケはすでに録れていて、これから歌詞を書くっておっしゃってましたね。

「そうでしたね。実は、“Crazy Crazy”を作曲したのは去年の7月なんです。手術前に作ってた曲で」

■あ、そうなんだ。それは病院で書いてたってことですか?

「いや、まだ家にいて、手術を待ってる時期に書いたんです。最初はもの凄い悲しい曲だったんですよ」

■そうなんだ。でき上がりは快活な曲だから、そういうイメージはなかったんですけど。その時は、歌メロを作ってたんですか?

「普通に弾き語りでいつものように作曲をしてて。最初は“知らない”みたいな曲だったんですよ。浪々としたというか、悲壮感漂う曲だったの。……その時が一番辛かったので、そのままの感じで曲ができたんですよね。で、それはそれで、そのままメモとして残しておいたんです。発表する予定もなかったし、ただただ残しておいたんですけど。それで、去年の年末辺りにそろそろやり始めようと思った時に、“桜の森”の作業と同時にこの曲に手をつけて。元々、メンバーのアイディアが先にあったんですよ。この曲はピーちゃん(ピエール中野/凛として時雨)とハマくん(ハマ・オカモト/OKAMOTO’S)と、あとジャズピアニストの小林創さんっていう方のトリオで演奏してるんですけど――」

■というかこのピアノの方、もの凄いプレイヤーですね。演奏聴いてびっくりしちゃいました。

「もの凄いです。“桜の森”もやってもらってるんですよ。で、ジャズピアノ、つまり黒いピアノとヘビメタの白いドラム、そしてその間を繋ぐ日本人的な黄色いベースっていうトリオでやったら面白いんじゃないかっていうアイディアが入院中に思い浮かんで、このメンバーでやりたいなと思ったんです。それで、いろいろ自分の作曲メモを聴き直していった時に、どうせだったらこの曲を凄く明るくしてやりたいなと思って。それでやってみたらすぐ明るくなったので、これはイケる!と(笑)。で、年末にメンバーと合わせて、最初のリハーサルをしたんですけど」

■それは、辛かった時期に生まれた悲しい歌を明るくすることで、自分的にもひとつ昇華させたい、みたいな想いもあったんですか。

「そこはあんまり意識的に思ってたわけじゃないですけど、でも、無意識ではたぶんあったと思います。辛かったあの時を上書きするっていうか。……やっぱり長い休養生活があったから、しんみりしたのはもう飽き飽きって感じだったんですよね。とにかく明るいこととか、楽しいこと、面白いことがやりたいって凄く思うようになったので。だから、自然とそういうアレンジになっていったんだと思います」

 

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text by 有泉 智子

『MUSICA6月号 Vol.86』