Posted on 2014.05.19 by MUSICA編集部

the telephones、音楽の自由と心の躍動を鮮やかに刻む――
本領発揮の『SUPER HIGH TENSION!!!』、完成!

 

俺はそもそも、ライヴで騒ぐための道具というよりは、
日々それぞれの日常の中でちゃんと聴いてもらう音楽を作りたいし、
the telephonesはそういうバンドでありたい。
だから、ハイテンションを押しつけたいわけじゃなくて、
もっと音楽聴いて自然に昂って欲しいなっていう。
で、今回はそういうアルバムができたと思うんだよね

『MUSICA 6月号 Vol.86』P.90-97より掲載

■今回の『SUPER HIGH TENSION!!!』。これは本当に素晴らしいね。過去最高のアルバムができたんじゃないかと思うんですが。

「ありがとう! 自分でもよいアルバムができたと思います。抜けはいい気がしますよね」

■そうですね。変に気負うことなく、telephonesのニューウェイヴ&オルタナティヴな音楽性が十二分に発揮されてるし、ソングライティングも、アレンジのアイディアや音色のセンスにしても、純粋に今までの中で最もいいものが生まれたなと思いました。

「確かに今回、曲は凄くいいのが書けたなと思いますね。ちゃんと今まで経験してきたことを活かした上で、初期衝動に忠実に作れた気もするし。まぁ初期衝動っていう時期でもないんですけど――」

■そうね(笑)。

「でも、基本的に今回、まずバンドで勢いでバーッと作ってから音楽的な詰めとか音色選びをやっていったから、そういうバンドのフレッシュさはちゃんと出た作品になってるはず」

■あ、バンドでセッションして作ったんだ?

「そう。曲に関しては、もう俺が家で作って持っていくのはワンコーラスぐらいで、スタジオで全員で作るっていう方法を取ったから。前もって作るのはなるべくメインのリフとかメロディのアイディアぐらいに留めて、あとは実際にスタジオで、4人で音を出しながら作ったんだよね。今回はバンド4人がガチャーッてやってるイメージというか、肉体的なものを作りたかったから」

■そういうものを作りたかったのはどうして?

「前作の『Laugh, Cry, Sing… And Dance!!!』は普通のポップスみたいな曲も何曲かあったから、今回はそういう曲はあんまり入れないようにしようと思って。凄いストロングな、バンドらしさが出るアルバムにしたいなっていうテーマだったんです」

■でも、ストロングと言っても『Rock Kindom』的なソリッドなバンドサウンドではないし、『SUPER HIGH TENSION!!!』というタイトルだけど、メジャー初期みたいにアゲアゲハイテンションで圧倒していく作品でもないじゃない? もっと柔軟で奔放な音楽性が鳴ってる作品だし、感情的にも楽しさだけじゃない、悲しみとかやるせなさとか、いろんな感情の動きが入ってると思うんだけど。

「そうだね。感情を大切にしたいっていうのはあったな。あと、前作の曲って同期データを使わないと表現できない曲が多かったから、今作はなるべくオーヴァーダビングしないようにしようっていうテーマもあって。その代わり、ダビングする曲はめっちゃしよう、みたいな。それが8曲目の“Starship Romance”とかなんだけど」

■これはシンセや打ち込みをたくさん重ねてるもんね。その直前の“Space Communication”とか、“Night Parade”とかも、シンセや打ち込み、サンプルの使い方が凄く秀逸だなと思った。

「そこは、これまでの勉強の成果もちゃんと出てる気がするよね(笑)。波形の編集も自分でできるようになってきたし、音色の細かい部分のセンスとかは気をつけて作ったつもり。ただやっぱり………いっぱい曲を作っていくと知らないうちに過去の自分の作品から影響受けちゃいそうで怖いから、なるべく今までと違った作り方をしようっていうのは思ってたんだよね。だからこそ、スタジオでみんなで作るってやり方をしたんだけど。そういう意味では、作り方としては、むしろインディーズ時代に戻した感じかな」

■ソロのアルバムの取材をした時も、「もういっぱい曲を作ってきてるからある程度作り方もわかるし、こうなったらこう、みたいな展開も見える。だから、そこから外れるためにいろんな方法を取ってる」って話をしてましたけど。テレフォンズの場合は、その一番いい方法がスタジオで4人で音を出すっていうところなの?

「というか、やっぱりひとりで作ってるものと4人で作ってるものって、なんか違うんだよね。4人でやるとメンバーに任せられるところも結構多いから、あんまり俺がカチッと指定しなくても『こんな感じで』って言えば済むというか」

■いい意味で、自分がガイドラインを全部作らないことで生まれる面白さとか、遊びみたいなものが出てくるみたいなこと?

「というか、もっと根本的なところで、ちゃんとバンドやってる感じがするんだよね。変な言い方だけど(笑)。もしかしたら作業としては家で作るのと変わらないかもしれないけど、みんなでスタジオで音出しながら作ってると楽しい。仕事感がなくなる。で、そういう楽しさって凄い重要だと思ってて。それに、今回は、バンド4人の人間性みたいなものが出たらいいなって思ってたから。だから初期段階からみんなに曲に触れて欲しかったのもある。そういう作り方をしようっていう話をした気がする」

■それは石毛くん発信で?

「いや、涼平発信だった気がするな。次のアルバムどうしようかって話をした時に、『昔みたいにスタジオで1から作ってみない?』って話になって、『それいいかも!』みたいな」

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text by 有泉 智子

『MUSICA6月号 Vol.86』