Posted on 2014.05.22 by MUSICA編集部

5年半の月日を経て、辿り着いた確かな覚悟
flumpool、山村隆太が葛藤と闘いの日々を激白

今までのツケが一気に回ってきた気がして………一瞬バンドから逃げました。
「3人でやっておいたらいいんじゃないか」みたいな感じで……
情けない話ですけど、あの時は不安定だったし、危なかった

『MUSICA 6月号 Vol.86』P.112-119より掲載

■凄く久しぶりだね。半年以上振りかな。

「そう言われてみれば、最近鹿野さんを見ないなぁと思って、寂しかったですよ(笑)」

■前はあんなに席を離してインタヴューしようとしてた人が、会えないと寂しくなるなんて(笑)。これが、つき合って5年という月日だよね。まあベストアルバムも出るよねって話で。

「そうですね(笑)。会えなくなると、あれ?っていう感じで。ずっと、新しい曲や今の自分の気持ちについて話したいなって思ってはいたんですけど」

■がっつり行こうね、今日は。まずは、先週から久しぶりのツアー(5th Anniversary tour 2014「MOMENT」)が始まりましたけど、どうですか?

「いやぁ…………大変っすね(笑)」

■そうか(苦笑)。

「(笑)でも設定した目標が凄く高いところにあるなっていうのを、やってみて改めて感じたんです。自分で言うのも変ですけど、昨年10月の武道館から、徹底的に努力してきたんですよね。で、あのライヴ(武道館)は確実に超えられてはいるんだけど……ここから先を見据えると、まだまだダメだなと思って。もうひと皮もふた皮も剥けなきゃいけないと思えたツアー初日(この時点で終えていた福岡公演)だったので、嬉しい反面、今は複雑ですね」

■今回のツアーって、何か具体的なテーマがあったり、自分に課しているものがあるの?

「バンドとしては、『解散ツアーになってもいい』っていう気持ちで迎えなきゃいけないっていうことは話してましたね」

■縁起が悪い言い方だけど、要はバンドをやってる意味がないツアーやるぐらいなら、辞めたほうがマシだという話?

「そうですね。flumpoolって、“花になれ”で知った人からしたら、『順風満帆なバンドだ』っていうイメージだったと思うんです。で、今もそういうイメージがあるかもしれないんですけど、僕らの中ではもう崖っぷちだと思っていて。だったらこのツアーのライヴでちゃんと説得できなければ――来てくれた人すべてを掴んで、『flumpoolから離さない』っていう気持ちでいかなければ、次のホールツアーは回れないと思ってるんです。だからこそ……『目にもの見せてやるぞ!』っていう気持ちで臨んだ分、大変なんですよね」

■でも、まだ2days公演(4/19、20の福岡公演)を1回しかやってないでしょ? そういった意味では、まだここから育っていけるノリシロはあると思うんだけど。

「いやあ、実はそれがまだ見えないんですよね。『この先どうなるんやろう?』っていう感じなんですよ。何か難しいことをやっているわけではないんですよ。セットリストはベストアルバムからのチョイスなので、今までにやったことのある曲達ばかりだし――」

■集大成的なライヴなんだよね。

「そうですね。だから、来た人は楽しみやすいと思うし、一体感も生まれやすいとは思うんです。だけどその分、僕らもこだわらなきゃいけないから、曲のアレンジを結構変えたりもしているんです。そういう意味では新しいことに挑戦してますけどね。……だけど、今当たっている壁って、そういうことではない気もするんですよ。バンドとしてもっと周りと向き合わなきゃいけないのと同時に、flumpoolの4人が、もっと内面で『もうこれ以上離れない』っていうところまで結束するような姿を見せていかなきゃいけない。そういう部分が、まだ全然まとまらんっていうか」

■難しいよね。「オリャー! 行くぞ!」が「オリャー!」のまま出てくるのが必ず素晴らしいバンドっていうわけじゃないし、そこにはバンドの持っている音楽性も関係するし。だけど、単純に「オリャー!」ではない音楽をやっているからこそ、自分達のソウルをどこまで見せられるかっていうことが、flumpoolにとっては大事で。

「いやー、そうですね。でも、この5年間を振り返ってみると、それがなかったなぁと思うんですよ。特に最近はね。変な言葉かもしれないけど、インディーズ感というか……あの頃って、失うものも得るものもなくて、ただその場に何かを刻まないと生きていられない感じだったんですよね。いつもいつも『次はない』と思ってライヴをやっていたことで、そこに懸ける想いがバンドとしてのモチベーションになっていたので、凄くやりやすかったんですね。だけど最近は、結局は『次がある』と思ってしまっていた自分達がいたし、そんなことをやっていたから、今になって次がなくなってきてるんです。そう考えたら、反省点だらけなんですよ。初日の福岡はこれまでのベストではあったけど、『これからのベスト』には程遠くて。……2日目に、初めて“花になれ”が歌えなくなっちゃいまして」

■それは何故?

「感極まってしまったんですよ。あの曲って、『散ることを恐れずに、花のように精一杯一瞬を刻もうぜ!』っていう歌なのに――“花になれ”をやる前のMCで、昔のインディーズの頃の話とか、解散もしょうがないと思っていた時のこととか、どん底の時の話をしたんです。それであの曲をやったら、『5年間よかったな』っていう想いとともに、なんか煮え切らない……『このままじゃいけない、もっと、もっと!』っていう想いが波のように襲ってきて」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA6月号 Vol.86』