誠果の正式加入後初となるニューアルバム『Ø CHOIR』完成!
REC直後のTAKUYA∞が語る、UVERworldの本当のスタート地点
原点回帰というよりも、その原点が今まさにここなんです。
今までは長い助走だと、ずっとそう思ってここまで過ごして来たけど、
過去にあったものと新しく得たもの、両方の武器を持ってここからスタートする
ここが自分達のゼロ地点なんです
『MUSICA 7月号 Vol.87』P.16-33より掲載
■まだ完成してないんだよね? アルバム。
「いや、完成しました!」
■おっ。
「今朝ミックスが終わって、今テッド・ジェンセン(NYのマスタリング・エンジニア)のところにすべての曲が行きました」
■おめでとう。
「なんとか間に合いそうです。だから今はもう、解放感だらけです」
■でもいきなりこうやって取材ラッシュになってくると、社会に戻された気持ちになるでしょ。
「いや、凄い楽しみなんですよ、このインタヴューが。だって、ずいぶん前に作った作品のことを訊かれるより、今のほうがはっきり覚えてるじゃないですか」
■そうだね(笑)、では遠慮なくいかせてもらいます。まずアルバムタイトルは『クワイア』って読むのでいいですか?
「いや、『ゼロクワイア』にしようかなと思って」
■失礼しました。アルバムの最終曲が“Ø choir”っていう曲なんですけど、これは聖歌隊とか合唱隊という意味だと思うんです。
「そうですね。で、ゼロがスタート地点みたいな。合わせると、ここから始まる合唱みたいな意味合いなんですけど。聖歌隊の聖歌とサックスの誠果とダブルミーニングもあるから面白いなって思って」
■あー、そこか!
「はははは、そうなんですよ、実は。ここ重要なんですよね」
■そうなんだ。正式メンバーになった誠果さんへの想いが含まれているんだ。じゃあ、この英語の意味も「合唱隊」ではなく、完全に「聖歌隊」のほうだ。
「そうなんです。曲のほうの“Ø choir”も、Aメロはちょっと合唱っぽく、7声ぐらい混ぜたりしてて」
■面白いよね、露骨な合唱じゃないんだけど、でもただコーラスを重ねただけとは違うシンフォニックな雰囲気があって。
「詞の意味合いもメンバー全員気に入って。だったらこの曲にアルバムと同じタイトルを授けようっていうのをみんなで相談して。だから結局、アルバムタイトルを最後に置いたこの曲につけたんです」
■この“Ø choir”のゼロ地点って、素直に受け止めると原点回帰とかそういう意味合いに聞こえて。原点回帰を聖歌合唱で例えるなら、リスナーも全部引き連れた上での大きな原点回帰っていうタイトルなんじゃないかなと感じたんですけど。実際にそういうニュアンスをアルバム全体から具体的に感じるんですよね。詳細は細かく聞いていきますが。
「自分達としては原点回帰というよりも、その原点がここだという感じなんですよ」
■じゃあ今までは――。
「今までは長い助走があったっていう感じです。これ、今だから思えるとかじゃなくて、ずっとそう思ってここまで過ごしてきたんです。ここから始まってる、ここがゼロ地点。過去は過去としてしっかりあって、過去にもう一度戻るというよりも、過去にあったもの、新しく得たものと両方の武器を持ってここからスタートっていう気持ちのアルバムなんです」
■何故今の自分らの位置をそう思えたんですか?
「誠果が正式メンバーとして戻ってきて、6人で活動してライヴをするっていうことに対して、あいつはずっとインディーズの頃からいたから、そんなに大きな変化はないと思ってたんですよ。でも思った以上に精神的にいろんなものが影響してきて。振り返ってみれば、何か胸につっかえがあったんかなって思わされるぐらい、あいつが入ってきたことによってスッと風通しがよくなって、メンバーの空気がさらによくなったんですよね。俺のUVERworldに対する想いがさらに強くなったと同時に、残りの5人もそれぞれ同じようにUVERworldに対しての想いがさらに強くなったっていう気がするんですよ。そういう空気が漂ってるんです、今。こんな気持ち、初めてなんですよ(笑)。そういった意味で、ここからやっと正しいあり方で、俺達の在るべき形で夢を追っかけていける、やっとスタート地点に立てたかなっていうのを感じてます」
■“誰が言った”という曲の歌詞を見ても、誠果さんが入ってバンドがこの状態になったということが凄く大きなことのように聴こえます。とは言っても、彼はずっとバンドの傍らにいたわけだよね? 何が大きく変わったんですか?
「誠果を戻したいっていうのは、4年前からあった話なんです」
■ほう、長い話ですね。
「元を正せば8年前にデビューする時に誰かが言ったんですよ、誠果をメンバーにするのはどうなんだって――」
(続きは本誌をチェック!)
text by 鹿野 淳
『MUSICA7月号 Vol.87』