Posted on 2014.06.17 by MUSICA編集部

サッカーと音楽で繋がったウカスカジー(桜井和寿+GAKU-MC)、
初のアルバム『AMIGO』で壮大なエールを歌う

アーティストのコンサートっていくらでも虚像を演出できるんだけど、
MIFA CUPではサッカーをしてカッコよくない姿を晒さなくてはいけないんです。
だからこそ、ここではダメな自分や弱さも曝け出せる。
凄くお客さんの近くに行ける気がするんです

『MUSICA 7月号 Vol.87』P.34-41より掲載

 

 

■まずは“勝利の笑みを 君と”のビデオ、あれはサッカー好きにはたまらなかった。偏見もあるけど、清水エスパルスの日本平のスタジアムが撮影場所というところがいい。

桜井和寿「ははははははは! 単に好きなだけでしょ」

■いや、スタジアムマニアとしてはあそこは最高よ。ザッツ街のサッカースタジアムって感じがして。

GAKU-MC「はははははは、確かに。あれはキャプテンがたしか、いつだっけ――」

■ちょっと待って。(桜井に向かって)キャプテンなの?

桜井「(笑)一応そういうことになってて」

■(GAKU-MCに向かって)ということは?

GAKU「僕はね、立場的にはGM(ゼネラルマネージャー)なんですよ」

桜井「『GAKU-MC』だからね」

■あーーーっ、それでGM(笑)。

GAKU「一応名刺にGMという肩書はあるんですけどね。でも、誰も呼んでくれないっていう(笑)」

■根本的に、この曲は日本代表をワールドカップで応援するっていうのがあって、そして応援しているサポーターのみんなと音楽と自分達は同じなんだよっていう気持ちを表したいっていうところがあるんですか?

桜井「あ、そうなんですよ。まさに今、それを頭の中で思い出して言おうかなと思ってて」

■あ、じゃあ言ってください。

桜井「ははははははは」

■お願いだから言って、久しぶりにインタヴューするんだから。

桜井「(笑)僕らふたりがメインで歌ってっていうものよりも、ウカスカジーはただの音頭取りでありたいなと思ったし。この曲を誰に観て欲しいかと思った時、『これだけ多くの人が関わって、日本代表を応援してるんだ』っていうことが見えるといいなと思ったので、いろんな人にリードヴォーカルを取ってもらいながら、回っていくっていうビデオにしました」

■このユニットの始まりは、そもそもは8年前(2006年ドイツW杯)に遡るわけですが。何故4年前(2010年南アフリカW杯)はなかったんですか?

GAKU「確かに4年前はなかったですね。何してましたっけ?」

桜井「うーん、別にそんなに忙しくなかった気もするけど。きっとアルバム(Mr.Childrenのアルバム『SENSE』)を作ってましたね」

■忙しいでしょ、それ。

桜井「いやいやいや(笑)」

GAKU「アルバム作るのは我々にとっては通常業務ですから(笑)。なんでやらなかったんでしょうね? この8年間毎週ずっと一緒に蹴ったりしていたわけですからね」

桜井「きっと、『こないだやったし』みたいなところがあったんだと思う、うん」

■で、今回に至るきっかけはなんだったの?

桜井「きっかけはね、閃いたんですよね(笑)。GAKUくんと組んで、代表の応援ソングをやるべきだ!っていう。あと、♪オーオーっていう“勝利の笑みを 君と”の合唱するフレーズが浮かんできて」

■この曲ありきの話なんだ。音楽始まりだったんだね。

桜井「そうですね。……あ、違うか?」

GAKU「いや、『そういうのが浮かんできたからやろう』って連絡来たよ。でも、まずは“でも、手を出すな!”を最初にやって。その“~手を出すな!”を作った後にすぐ“勝利の笑み~”を作り始めてたから、そのイメージはあったんでしょうね。代表応援ソングを作りたいっていう想いがキャプテンの中に凄いあって。でも、あれってきっと協会側とかから頼まれて作るものだと思うんですよ。そういうことをまったく無視して、2年かけてオフサイドラインを飛び越えて作り始めて、ここに至りました(笑)」

■ビジネスからではなく、サッカー好きという場所と、その姿勢から攻めていきたかったということね。

桜井「そうそう。タイアップが欲しかったんじゃなくて、日本代表とか、とにかくスタジアムでみんなが応援する時に歌ってくれる曲をふたりで提供したくて」

■その順序ってとても大事だけど、実際には難しいよね、ビジネス主体で話が進んでいくから。でもこのふたりがそういう動きをすると、こういう幸福な結果が生まれるってことだよね。誰でもできることなわけじゃないし。

GAKU「そうそう、そういうことだと思うんです。よく話するのは、どこかテレビ局のテーマソングとか、ああいうところに入ったほうがたくさんエアプレイされて商売的にはいいのかもしれないけど、そもそもそうではなくて、とにかくサポーターが歌うためのいい音楽が作りたいって。今回はたまたまブラジル大会の年ですけど、その次の年も歌ってもらえるようなクラシックなサッカー応援歌になったらいいよねっていう想いは凄くありました」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA7月号 Vol.87』