Posted on 2014.07.16 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN、
「WILLPOLIS 2014」大阪&台湾公演独占密着!

バンド史上最大級にメモリアルなツアーも、いよいよ後半戦。
大阪から初の台湾ライヴへ、海を跨いで完全密着。
ここに来ての、新たな歓喜と表情と覚悟を観た、感じた!

『MUSICA 8月号 Vol.88』P.56より掲載

 

6月28日(土)台北 Legacy Taipei

 

 11時半にホテルのロビーに全員集合し、その後移動しながら、途中で、地元民が食べる美味しいと評判の店で台湾料理を食べる。本当に無茶苦茶美味しいし、「海外でこんなにもご飯が美味しいと食の感触が変わる」だの、「やっぱりご飯って大切だよなぁ」と妙にほのぼのしたりするが、全員ライヴに身体も心も向かってるので、15分でお腹が一杯になる。

 30分ほどして、そのままライヴ会場であるLegacy Taipeiへ。4人は台北に到着してすぐに散歩に出て、偶然このホールの前に辿り着いたらしく、周りにどんな店があるのかなど、こと細かに解説してくれる。

 12時半に会場に到着。周りにはセレクトショップやいろいろな店が建ち並んでいて、中にはLINEがやっているショップなどもあり、若者で賑わっている。ライヴ会場の前にある展示ホールでは、もうすぐONE PIECE展が始まるようで、それも結構な話題になっているとのこと。台湾と日本のいろいろな「近さ」にダイレクトに触れる。そう、たとえば沖縄と台湾は本当に近いし、気象条件や食の文化もとても似ている。沖縄に行っていろいろ散歩した人なら気づくだろうが、沖縄の「お墓」は根本的に本土のそれとは異なっていて、実は台湾と同じお墓である。一見小さな石作りの家に見えるお墓は、よく見ると亀の甲羅状になっており、女性の胎内を意味しているという。つまりは「生まれ落ちた場所に再び帰る」という意味なのだ。余談でした。

 賑わいを見せる道を横切って会場へ。楽屋に入ると、最近の彼らの会場のスケール感の中では、破格に楽屋が狭いことに気づく。

「まぁ、そういうことだよな」

「これ以上求めるほうがおかしいよな」

「久しぶりにライヴハウスに来たって感じがして楽しいな」

 みんな笑顔で口々に言葉を出しながら、それでも自分の荷物を何処に置いたらいいかで、軽くカオスに陥っている。実際には4人の身体のみならず、いろいろ持ってきた機材や衣装も収められ、多くのスタッフも打ち合わせなどに訪れる、約8畳の楽屋。窓のカーテンを開けると、すぐに表の通りが見えたので、慌ててカーテンを閉めるフジ。「いい体験になりそうだね、ふふふふ」と言いながら、同時にみんなが「こりゃ無理だな、どうすっか?」と心配しているのは、何年か前から本番までの時間の中で一番大事な作業となっている、「ストレッチタイム」をどうするか?だ。

 試しにやってみようと、増川が屈伸運動から始めるが、それだけで他のメンバーの楽屋の行き来を妨げてしまう有り様。みんなで話し合った結果、ストレッチに関しては、開場してお客さんが入って来るまでは、約1300人が入場するフロアでやることになった。

次の心配は暑さだ。

「ステージ行ってきたけど、みんなが盛り上がってくれれば、間違いなくステージに熱気はこもる。まぁ、ライヴハウスなんだから当たり前なんだけど」とチャマが報告すると、頷きながら、「この衣装着るの怖いな」といつものジャケットを見詰めながらフジが言う。「怖いというより、正直、死への恐怖を感じる」とチャマ。そこに「台湾まで来て死にたくないな」と合いの手を入れることだけを考えた増川の言葉が絡み、「でも、1300人も入るんでしょ、ここに」とさらに不安を煽る升の言葉に、「そう、そのみんなが一瞬でここで放出するんだぜ」とフジがイメージを喚起させるひと言を放つ。

(続きは本誌をチェック!

text by 鹿野 淳

『MUSICA8月号 Vol.88』