Posted on 2014.09.17 by MUSICA編集部

andymori、長い夏の終わりの一日――
最後となるはずだったライヴ密着と
大どんでん返し、そのすべて

まさかのラストライヴ再び!
10/15日本武道館公演、急遽決定!!
最後の夏の記憶&急展開の真相をレポート!

『MUSICA 10月号 Vol.90』P.10より掲載

 

 前号で密着記事を掲載した7月21日&27日の2本のワンマンライヴ「ひこうき雲と夏の音」に続く形で8月に4本のイベントに参加する形で行われたandymoriのライヴ。ライヴ開催の告知と同時にはっきりと発表されていた通り、当初の予定では、その計6本のライヴをもって、andymoriは解散するはずだった。つまり、8月29日(金)に山中湖で行われたSWEET LOVE SHOWER 2014のトリのステージが、彼らのラストライヴとなるはずだったのだが………。

 9月2日に発表された通り、andymoriは10月15日(水)に日本武道館でラストライヴを行うことになった。そう、「ラストライヴをもう一回」行うという展開になったのだ。前代未聞というか、メンバーも含めて誰ひとりとして想定していなかった大どんでん返し。この記事は8月29日のSWEET LOVE SHOWERの当日、というかまさにあのライヴの終盤までは「andymoriの最後の一日」を綴る予定でいたのだけど、この急展開を受け、andymoriの最後の夏の記憶となる3本のライヴと、そしてラストライヴを覆して武道館公演が決定するまでの真相を綴ります。詳細は後述するけれど、この展開は非常にアンディらしいというか、andymoriというバンドの本質が最後に予期せぬ形で露になった出来事だと思う。

 

 それではまずは、8月12日の話から――。

 

8月12日 ファンファーレと電話

at LIQUIDROOM ebisu

 

 実は、公に発表はされていなかったけれど、この「ファンファーレと電話」は壮平のケガがなければ昨年の夏に開催するはずだったイベントで、1年以上越しの約束を果たす形で今回開催に至ったライヴだった。

 13時35分、リハの関係でthe telephonesよりも先に会場に到着した3人。ライヴとしては8月7日の「Talking Rock! FES.」(大阪Zepp Namba)以来、個人的には7月27日のZepp Tokyoの楽屋で別れた以来で会う彼らは至っていつも通りの調子で、「リキッドでライヴやるの久しぶりだな」(そりゃそうだ。ちなみに休止前最後のワンマンは2013年4月5日、ここリキッドで行われた「FUN!FUN!FUN!」のツアーファイナルだった)とか言いながらくつろぎつつ、開演前&終演後に流す会場BGMを考え始めた。せっかくだからみんなが流したい曲を1曲ずつ入れようという壮平の提案で、寛、健二、そしてマネージャー氏や私も1曲ずつ挙げていく。テレフォンズのメンバーにもそれぞれ1曲ずつ挙げてもらおうと、傍らで壮平がノブに電話をかける。

 14時30分にはテレフォンズのメンバーも楽屋に到着、久しぶりの再会をお互いに喜び合う。ちょっと照れくさそうに笑うアンディ・メンバーに対し、壮平の回復と共にライヴをできる喜びを全身で表現していくテレフォンズのみんなの笑顔は、本当にもの凄く嬉しそうだったな。

 ワンマンも含め、アンディは最後のライヴ・シリーズを基本的に3人きりで回っていたのだが、この日はセットリストのうち“Sunrise&Sunset”、“投げKISSをあげるよ”、“ベンガルトラとウィスキー”の3曲でVeni Vidi Viciousの入江良介がギター&マンドリンでバンドに加わり、共に演奏した。実は壮平のケガでキャンセルしたツアーは、良介をサポートに迎える形でのライヴを考えていたのだ。この日の楽屋は、そんな良介がポロンポロンと爪弾くマンドリンの音色と壮平のギター、そしてアンディ&テレフォンズみんなで思い思いに談笑する声で終始満ち溢れ、賑やかでフレンドリーな雰囲気に満たされていた。別に思い出話を語り合うわけでもなく、くだらない話題で笑い合いながら、放課後の教室のような時間が穏やかに過ぎていって、それはなんだかとても温かで幸せな光景だった。

(続きは本誌をチェック!

 

text by 有泉智子

『MUSICA10月号 Vol.90』