Posted on 2014.09.17 by MUSICA編集部

KANA-BOON、夢を叶えた野外ワンマン
「ヨイサヨイサのただいまつり! in 泉大津フェニックス」密着!!

「僕らがあなたの夢になります」――
デビューからたった1年にして
1万6320人熱狂の初野外ワンマン大成功!
4人の夢、ロックバンドの夢を実現させた
KANA-BOON、その1日に完全密着!

『MUSICA 10月号 Vol.90』P.18より掲載

 

 雨が多く心配されていたお天気も見事に晴れ、抜けるような青空から夏の強い陽射しが降り注ぐ快晴に恵まれた8月30日(土)。KANA-BOON初の野外ワンマン「ヨイサヨイサのただいまつり!」の会場である大阪は泉大津フェニックスにメンバーが到着したのは、10時55分のことだった。車から気合い十分、元気よく降りてきたメンバーは………嘘です。いや、気合いは十分にあっただろうけれども、車から降りてきたメンバーは、古賀以外、みんな明らかに眠たそうだったのである。

谷口「なんかワクワクしてしまって、全然眠れなかったんです………」

飯田「僕もほとんど眠れへんかった………」

小泉「僕は2時間おきに起きちゃって………」

 と、鮪・飯田・こいちゃんが若干目をしょぼしょぼさせながら異口同音に眠れなかったと告白する中、古賀だけはシャッキリとした明るい表情で「俺はばっちり眠れました。というか12時間も寝ちゃいましたよ! 昨日リハが終わった後でスタッフもみんなでバーベキューをしたんですけど、それでお腹いっぱいになったんでそのままスッと眠って、朝までぐっすり。暑いけど気持ちいいっすね! 晴れてよかったわぁ」とテンション高く話してくれる。ほんと、性格が出るにもほどがある、という展開(笑)。

 この日の開場は14時だったので、その前にサウンドチェックとリハを完了させなければならない。とはいえ、まずは何はともあれ腹ごしらえということで、こいちゃん、飯田はケータリングブースへ。ズラッと並んだ美味しそうなブランチメニューを前に、意外にもかなり小食なセレクトをしたこいちゃん。どうやら去年のフェスでケータリングブースに浮かれてライヴ前に食べ過ぎてしまった経験を活かし、今年は各地のフェスでも少なめのチョイスに押さえているらしい。対して、ケータリングのお姉さんに乗せられてかなり大量のおかずを手に楽屋へと戻っていく飯田。その後の楽屋では、いつまで経ってもなかなか食べ終わらない飯田を、鮪と古賀が「休み時間が終わっても給食を食べ切れずにひとり食べている友達をからかう小学生」のようにいじるというコント的光景が、別に誰に見せるわけでもなく展開。このバンド、ふとした瞬間にこういう根っからの大阪人っぷりをよく発揮するのです。

 ただいまつりの会場は翌日に行われるRUSH BALLの会場と同じで、ステージもバックエリアも装飾だけ替えるとそのままRUSH BALL仕様になる。つまり、翌日のフェスではたくさんの出演アーティストが集う、気持ちよく育った緑の芝生の上にいくつものパラソルやテーブルが置かれ、たくさんのプレハブ楽屋が並ぶバックエリアを、この日はKANA-BOONが独り占め。「なんか今日はここが全部独占できるって、気持ちいいですね」とこいちゃんがにっこりと笑う。

 11時30分くらいから、楽屋では鮪がなんとなく発声練習をやり始める。♪ウ~~(低音)~~ウォア~~(高音)~~♪と高低差の激しい声を繰り返し発声し、喉を開いていく。……と思ったら、そのまま何か歌い始めた。大瀧詠一による作詞作曲のポップソング“夢で逢えたら”だ。数時間後には1万6000人のオーディエンスを自らの夢の舞台に迎えようとしている鮪が、<夢でもし逢えたら 素敵なことね>と歌っている。なかなかにいい光景だ。

 フィールドを一通り回ってみる。ただいまつりは彼らの初野外ワンマンであると同時に、その名の通りメンバーがプロデュースする「お祭り」でもあって、会場の後方にはKANA-BOONにまつわる様々なブースや「わ・わ・わなげたいな」(輪投げ)、「スーパーブーンすくい」(スーパーボール掬い)といった縁日的アトラクションなどが用意されている。その一角に、飯田画伯による絵の展示ブースやご当地グルメワンマンツアーでメンバーが書いていたグルメ絵日記を飾るブースと並んで、KANA-BOONが育ったライヴハウス「三国ヶ丘FUZZ」のブースが。覗いてみると、デビュー前の様々なフライヤーと共に、2011年8月にFUZZで行った初ワンマンの時のライヴ写真が飾られていた。この時はまだ飯田は加入していなかったのだけど、鮪も古賀もこいちゃんも今よりもとても若いというか、本当にまだ少年で、ちょっとびっくりした。もちろん今も若いけど、3年前とは思えないほど面構えが違う。ちなみに、そのライヴ写真は遠くのステージとちょうど向かい合うようにして飾られていた。この時の彼らが今のKANA-BOONを見たら、なんて言うのだろう。

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA10月号 Vol.90』