Posted on 2014.09.18 by MUSICA編集部

クリープハイプ、初のホールツアー埼玉公演密着&
来たるべきアルバムを語る!!

フェスシーズン真っ盛りの8月から9月にかけて、
敢えて孤独なるホールツアーに打って出たクリープハイプ。
8月19日大宮完全密着、
さらに、来たるニューアルバムの中から6曲を聴いた! 話した!!

『MUSICA 10月号 Vol.90』P.28より掲載

 

 基本、密着というのはメンバーが楽屋に入るところから始めるものであり、今回も同じように楽屋入りの時間を訊くと、「15時頃になると思います」とのこと。

 これ、相当遅い時間なんです。もちろん、それぞれの違いはありますが、18時~19時にかけてライヴを始める場合、大抵の場合は13時までには楽屋に入るもので、15時と言われて2度、時間の確認をしました。しかし何度訊いても15時。よって15時10分前に楽屋に入りました――。

 大宮周辺で迷ったらしく、少々遅れて楽屋入り。入ってくるなり、ヴォーカルの尾崎世界観が「後で聴かせたいものがあるんですよ」と笑顔で言ってきた。もしかしてと思い、「新曲? だったら、実はここに来る前に6曲聴かせてもらった」と話すと、「えぇぇぇーーーー! なんだ。感想もらいたい曲が具体的にあったから、目の前で聴いてもらおうと思ったのに」と、残念がる。この件は後述するが、何しろ素晴らしい曲ばかりだった。ユニバーサルに移籍してから、シングル曲だけでも随分と曲のクオリティが上がってるが、来るべきアルバムに入るであろう新曲達も、それぞれ面白い表情の曲ばかりで、インディーズ時代、そしてメジャーデビュー時に勝るとも劣らないスリリングさを感じたというニュアンスを話すと、今度は「どの曲が強かったか?」という具体的な話を訊いてきた。

 しばしそんな話をしていたら15時25分、スタッフを含めた全体ミーティングが、彼ら4人の楽屋で始まった。

 スタッフが進行するが、要約すると――「ツアー5本目にして初めて晴れた」と。そして「関東はあと4本ライヴがある」と。さらに「ツアーも進んできたので、この辺りからセットリストをいじくろう」と。そこで具体的に「尾崎がアコギを持ったコーナー辺りのセットを変えてみよう」と。

 変化を起こすのはセットリストだけではなく、演出面も同じで、メンバーも「大丈夫?」と心配するほど、かなり大胆にステージセットの動きなどで変化を試すと。その結果、リハーサルで試す曲が増えると。ではさあ急ごう!ということでミーティングが終了。

 よって、サウンドチェックが一番初めのドラマー小泉は、ご飯を食べれずにステージへ向かうことになった。

 楽屋で尾崎と雑談をしながら、楽屋入りがとても遅いという話をすると、「あー、そう言われればそうかもしれないけど、そう、無駄な時間が嫌なんですよ、ライヴの前なのに。だからギリギリに入らせてくださいってお願いはしてます」と言う。とても尾崎の本質を物語る動きだ。

 雑談をしながら、隣でご飯を食べているギターの小川に「味噌汁すする音が、今日もうるさいよ」とサディスティック全開に文句言ったりしながら、様々な話をする。今のシーンの話、若いキッズの音楽に対する思い、ダウンロードミュージックについて。一貫して尾崎が思うのは、いい音楽がいい音楽として聴かれる環境、そして個性的な音楽が個性的に聴かれる環境を、もっと確かなものにしたいということ。均一的な音楽が生まれやすい理由が、シーンや音楽流通や音楽の聴き方の中にあり過ぎるということ。そして今年はいっさい参加しなかった夏フェスがどうなっているのか?を僕にいろいろと訊ねてきた。どう見ても1年で一番のフェスシーズンに、敢えて単独ツアーを行っているのは、尾崎の意志が強いのだろうが、しかし、やはりフェスシーンがどうなっているのかがとても気になっているようだ。「そういえば、今日、NICO(Touches the Walls)の武道館ですよね。ソールドしたみたいでよかった。みっちゃん(光村)、頑張って欲しいな」と話しながら、がらんとした楽屋を見渡している。

(続きは本誌をチェック!

text by 鹿野 淳

『MUSICA10月号 Vol.90』