Posted on 2014.10.15 by MUSICA編集部

ONE OK ROCK、過渡期の横浜スタジアム2days
そこに賭けたバンドの意志を紐解くクロストーク

海外進出という過渡期真っ直中に行われた
久しぶりの「ホーム」ライヴにして、初の野外スタジアムライブ2days。
そこに賭けたバンドの意志とは何だったのか。
ONE OK ROCKの今と進化を徹底クロストーク!

『MUSICA 11月号 Vol.91』P.48より掲載

 

有泉「1年と3ヵ月ぶりですよ。年末もこの夏もいくつかフェスに出ているからライヴは観ていましたけど、でも日本でのワンマンは2013年5~6月の『人生×君=』ツアー以来、(正確には2013年10月に『東北ライブハウス大作戦 ACOUSTIC TOUR』を行っていますが、通常のライヴセットでは)1年と3ヵ月ぶりで」

鹿野「そうだよね、長いセットのONE OK ROCKを観たのは久しぶりだなって、中盤のアコースティックコーナー辺りで感じたもん」

有泉「彼らは基本的に現場で大きくなってきたバンドだし、これだけ長い間、国内でワンマンやらなかったのはデビュー以来初めてなんじゃないですかね。もちろん、その間にヨーロッパ&アジアツアーをやったり、今年の6月にはWARPEDツアーに参加してアメリカを回ったり、バンドとしては変わらないペースでライヴをやっていたわけですけど。ただ、日本のファンにとっては本当に待望のワンマンでしたよね」

鹿野「これ、関東圏内だと横浜アリーナでやって以来のワンマンになるんだよね?」

有泉「そうですね。あの3デイズ以来」

鹿野「別に横浜出身でもないのに、なんで横浜にこだわるんだろうね?」

有泉「……鹿野さん、自分が横浜出身だから縄張り意識を持ってるんですか? 横浜という地にこだわっているわけではないような気もしますけど」

鹿野「いや、思ったのは、横浜スタジアムって関東圏でいうと東京ドームに行く前のひとつの布石の場所になりつつあるんじゃないかなぁと思って。実際、今ONE OK ROCKが東京ドームでワンマンを開いたら興行的にも成功すると思うんだけど、まだバンドとして過渡期であるということを位置づけた上での横浜スタジアムライヴだったと思うんだよね、今回のは。実際にレコーディング含めて海外進出を長期にわたって果たしている中での、新しいところへ向かう挑戦の季節のライヴだったわけだし」

有泉「この後も10~12月には南米&ヨーロッパツアーが控えていますし、バンドとしては非常に挑戦的な時期を過ごしている最中ですからね。だから今回の横浜スタジアムでのライヴは、もちろんスタジアムバンドという次のステップへの布石という意味もあったでしょうけれど、そういう『次のONE OK ROCKはこれだ!』という感じを打ち出すというよりも、久しぶりに日本で行うワンマンだからこそ、ファンがなるべくチケットを買える場所でライヴをしたいという意味合いが強かったんじゃないかなと。ライヴの内容的にもMCで放たれるファンへの言葉にしても、そういう印象があったんですけど」

鹿野「そうだよね。で、有泉は初日を観たんだよね? 僕は2日目なので、まずは初日の感想を」

有泉「まずひとつには、『ここがホームである』ということを確認&宣言するライヴだったと思いました。言い方を替えれば、バンドが次へと進むための――実際はもう進み始めていますけど――盤石な基盤をもう一度きっちりと固めるためのライヴというか。去年から精力的に始めている海外でのライヴや今年に入ってからのアメリカでのレコーディングなど、ONE OK ROCKはワールドワイドで活躍するバンドへのキャリアを、試行錯誤しながらも歩み始めているじゃないですか。そうやってより大きな視野で挑戦的な活動を展開し始めたバンドが、自分達のホームを確認することのできたライヴだったんじゃないかと思う。Takaのオーディエンスに対するMCも、グラウンド真ん中のステージで、割とユルいMCを交えながらのアコースティックセット含めたライヴの運び方も、そういう印象が強かったですけどね」

鹿野「なるほど。2日目は、お客さんが若かった」

有泉「それは初日だってそうですよ!」

鹿野「いや、そうじゃなくて。僕が言いたいのは、今ロックバンドがスタジアムでライヴをするにあたってこれだけ世代の幅が少ない観客、つまり、ほぼ10代から20代前半の観客で2日間6万人の規模のライヴをやり切ったというのが凄いなと思ったんだよね」

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text by 鹿野 淳×有泉智子

『MUSICA11月号 Vol.91』