Posted on 2014.11.16 by MUSICA編集部

THE BAWDIES、ニューアルバム『Boys!』
本質と深化を語り尽くす全曲解説!

かつてないほど無邪気に、いつもより図抜けてハッピーに。
大いなる確信と小さな反骨を抱えながら
圧倒的に自由な音楽の遊び場で自らを解放させた4人が
ニューアルバム『Boys!』を語り尽くす全曲解説!!

『MUSICA 12月号 Vol.92』P.56より掲載

 

■非常にTHE BAWDIESらしいアルバムというか、コンセプトがどうとか全体的に大きな流れがどうとかいうことよりも真っ先に無邪気で楽しんでるバンドの空気感がそのままパッケージされた印象を受けたんですけど。

ROY(Vo&B)「そうですね。以前、シングルの時にも少しお話させていただいてる通り、ロックンロールバンドとして進化していくのか、変わらずに転がり続けるかっていうターニングポイントというか、選択肢が選べるところにいった1曲が“THE SEVEN SEAS”だったんですよ。その時に、俺らは変わらずに転がり続けるほうがカッコいいと思う、と。だからこそ、次のアルバムは逆にルーツ感が強いものをやろうと思ったんですよ」

■そうだよね。で、カヴァーアルバムの『GOING BACK HOME』を作ったことで、ある意味、原点回帰というか、バンドとして手放しでロックンロールの楽しさや憧れを再確認する作業があって。

ROY「うん、凄く雰囲気がよくなっていって、バンドの一体感が出たシングルの“NICE AND SLOW”と“COME ON”ができました。その後、立て続けに“RECORD PLAYER”とか“TWISTIN’ ANNIE”のような、このアルバムの中で言うとロックンロール色の強いものをバーッと書いていって。その後もあんまりアルバムのことは意識してなくて、バンドの肩の力が抜けてたというか、凄くリラックスしてたんで、視野が広く、流れの中でいろんなアプローチをしながら曲を書いていったというか」

■じゃあ、アルバムとしての作品性とかトータリティみたいなものの意識もあんまりなく、“THE SEVEN SEAS”後の1年ちょっとの時間の中で自分達の気持ちに沿った1曲1曲ができ上がっていったんだ。

ROY「そうですね。前の『1-2-3』って真っ直ぐなアルバムだったと思うんですけど、そういう使命感みたいなものから少し解放されたような感じがあるというか。音楽をやってることが凄く楽しかったし、一緒にいることが楽しかったから、何かを伝えたいって言って真っ直ぐに伝えるよりも、『音楽ってこんなに楽しいね』って笑顔でやってる音を鳴らしたほうが伝わるんじゃないかって思ったんですよね」

 

01.“NO WAY”

 

■では、1曲1曲についてうかがっていきたいんですが。まず冒頭の“NO WAY”はドラマ「玉川区役所OF THE DEAD」の主題歌にもなってる曲で、非常にアグレッシヴなナンバーです。

ROY「そうですね。この曲は、さっきの時系列的な流れで言うと――“RECORD PLAYER”とか“HOLD ON”、“TWISTIN’ANNIE”っていうロックンロール色の強いものをバーッと衝動に駆られて書いて、ある程度やり切った時に、夏前ぐらいにシングルっぽい曲を書こうかなっていう気持ちになってきて。ルーツ色の強いものはもう書いたから、“JUST BE COOL”を作った時のように現代っぽいアプローチのものを書いてみようと思って“ANYTHING YOU WANT”とか“KICKS!”を作って」

■どっちかって言うと新機軸というか、新しいことに挑戦してる2曲ですね。

ROY「そうですね。『こういうものがTHE BAWDIESっぽいって思われてるんだろうな』っていうものを意識して、そのど真ん中を突かずに少し斜めから曲を作って――いつもそういうとこがあるんですよね、僕らって」

TAXMAN「捻くれてますからね(笑)」

ROY「実際、かなりドギツく捻くれてるので(笑)。ただ、『このタイミングで出すシングルなら、もっとド直球でもいいんじゃないか?』って話し合いがあって――答えは最初からわかってたんですけどね。俺らが思う『THE BAWDIESっぽい』っていうのは、それこそ“TWISTIN’ ANNIE”みたいなほうなんですけど、世間一般で言われる『THE BAWDIESっぽい』っていうのは、たぶんこの“NO WAY”みたいなことだろうなって。俺らからしたら、もうこっ恥ずかしいくらいに――ストレートに表現してみるとこうなるっていう。それが絶妙なバランスで成り立ってるっていうか」

■要するに、本当にド直球過ぎて、自分達にとってはむしろ面白みが感じられなかったりしちゃうっていうことですね。

JIM「そうそう。思えば“HOT DOG”の時もそうで。あれも『B級映画のBGMみたいなものを作ろう』っていうところから始まって」

ROY「“(IT’S)TOO LATE”もそうだよ。攻撃的でロックにありがちなコード進行がムズ痒くなってくるもん(笑)。だから、一歩間違えると危ない、その絶妙なバランスで成り立った曲。久々にそういう曲をど真ん中で作ろうと思って作りましたね」

TAXMAN「でも、俺達の好きなガレージバンドとかのよさって、『ダサカッコいい』みたいな部分があるじゃないですか? 『このバンド、よくこんなこと真面目にやってるな』みたいな(笑)。そういうよさが“NO WAY”にはあると思いますね」

MARCY「俺らだからアリっていうのもあると思うんですよね。実際、イントロの部分も、やってるうちにみんな恥ずかしくなってきちゃって(笑)。あまりに自分のスタイルにないドラムプレイだったので。結果、当初の半分にしようっていうことで今の状態になってるんですけど、そうやってスタジオでみんながワイワイやりながら作ってったイメージがありますね」

(続きは本誌をチェック!

text by 寺田宏幸

『MUSICA12月号 Vol.92』