Posted on 2014.11.18 by MUSICA編集部

THE ORAL CIGARETTES、
華麗なる反逆と一撃必殺の番狂わせ劇場、開幕

自分達の名前が出ていくにつれて、
悪い意味でシーンに溶け込んでしまうような危機感があって。
だからアルバムは絶対、俺らの幅の広さみたいなところを見てもらいたかった。
長いものに巻かれるんじゃなく、
なんならそういうものに中指立てていくようなバンドやからね

『MUSICA 12月号 Vol.92』P.86より掲載

 

■前号ではレコーディング佳境のスタジオにお邪魔させてもらって、大まかなアルバムの空気感とかモードを聴かせてもらったんだけど、実際にヴォーカルが入ってミックスされた音源を聴かせてもらうと、実は割と印象が変わったんですよね。

山中拓也(Vo&G)「おぉ、そうですか?」

■はい。音の緩急とかメリハリが粒だってきた分、拓也のヴォーカルの艶めかしさみたいなものとか、このバンドが持っているハードな側面の裏側にある歌謡性がしっかり出た作品になったなと思って。

山中「あぁ、そうかもしれないですね。去年の7月ぐらいから作り始めた曲もあれば自分達がインディーズ時代に作った曲も入っていて、割といい流れで長いスパンの中で作っていったなっていう感じの曲がいっぱい入っていて。その時その時の心境を上手いこと残せていってるなっていうか、バンドの成長と共に変わってきた想いが表れている気がして」

■具体的に順を追っていくと、シングルの『起死回生STORY』をリリースした時は、早く出したいっていう気持ちが強かった一方で、来たるべき時が来るまでちゃんと待とうっていう、ある種の我慢の時期でもあったっていうことを話してくれました。だから、あの曲はあれだけ攻撃的になっていった、と。そういう中で、次に放つこのアルバムはどういうものになればいいと思って作っていった感じだったんですか?

山中「どういう作品にしようっていうか、去年『オレンジ(の抜け殻、私が生きたアイの証)』を出してから、『次に出すのはアルバムなんかな? シングルを出すべきなんかな?』っていう自分達の迷いがその時にはあって」

■どのタイミングでメジャーデビューするのか、どういう作品が次の自分達にとっていい結果へと繋がるのか。まぁ、バンドを取り巻く状況もまだ流動的だったし、そういう意味で自分達の狙いも定まり切らなかったっていうことですよね。

山中「そうですね。でも、どちらでも対応できるようにしとこうっていう感じで、ライヴしながら新曲をいっぱい作っとこうぜ!みたいな感じで。だから、曲自体は『起死回生~』を出すタイミングで、アルバム出せるくらいの曲数はあったんですよ。その中からメジャー1発目のシングルとして役割を果たせる4曲を選んだのが『起死回生~』で、残りの曲から今度はアルバムのために4人で話し合って10曲を選んで――」

鈴木重伸(G)「『起死回生~』の段階でアルバムができるだけの曲を貯めてたのもあったけど、その後、8月ぐらいに制作期間として奈良に1回帰って、スタジオに入らせてもらったんですよ。その時は、アルバムを出すっていうのは大方決まってたんですけど、何曲入るかとかまでは決まり切ってなくて。で、『あと、こういうのが欲しいよね』って言ってできたのが2曲目の“モンスターエフェクト”で。アルバムっていうものを一番意識して作った曲っていうか」

■“モンスターエフェクト”が一番最後のピースだったってこと?

鈴木「そうですね。あと、“リメイクセンス”とかも、結構昔から激しい曲で作ろうとしてたんですけど、歌詞の内容に合わせてミドルテンポぐらいがいいなって言って、この1年の中で大幅に曲が変わっていったりして。そういう曲の変わり具合の中に、この1年でいろいろ僕達が試したこととか成長できてるなっていう実感があるというか」

あきらかにあきら(B)「次のCDがどういう形になるか全然想像つかない中でいっぱい曲を作っていったんですけど、この間のシングルから零れた曲というよりは、敢えて入れなかった曲が今回のアルバムには入ってると思うんですよ」

中西雅哉(Dr)「前のミニアルバム出してから上京してメジャーデビュー決まるまでは、まず僕らTHE ORAL CIGARETTESを知ってもらうっていうことに力を注いでたんですよね。だから僕らのライヴとか、前のミニアルバムでも『THE ORAL CIGARETTESはこういうバンドやで!』っていう表の部分を知ってもらうために闘ってたイメージがあって。それにお客さんがどんどんついてきてくれて、認めてくれる人や応援してくれる人が増えて、そういう僕らが今までやってきたライヴのフィジカルさをシングルの“起死回生~”では『メジャーの舞台でも、こういうことをやれるバンドだぜ』っていう形でできたなと思うんです。そういう中で、夏フェスで去年以上にライヴバンドであるところを見せられたし、もう1個フィールドが上がったなっていう感覚があったからこそ、今回のこのアルバムの内容になってるのかなっていうのがあって」

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text by 寺田宏幸

『MUSICA12月号 Vol.92』