Posted on 2014.11.18 by MUSICA編集部

MY FIRST STORY、3枚目のフルアルバム
『虚言NEUROSE』で遂げた進化と深化

地球上の全70億人が美しくて綺麗な考えに至ることは
不可能なんじゃないかって想いはある。
でも、それを俺が諦めてしまったら表現者としてダメだと思うし、
自分自身も諦めたくはないから。
100%無理だと思っていても、1%の希望を抱いていたいんです

『MUSICA 12月号 Vol.92』P.104より掲載

 

■2011年の夏にバンドを結成してから、12年4月にファースト、13年2月にセカンドと、比較的ハイペースでアルバムをリリースしてきた印象があるんですけど。そういう意味では、間にシングルとかを挟みつつも、今回は1年8ヵ月ぶりのニューアルバムと、ちょっと間が空いたような感覚があるんですけど。自分達にとってはこの辺の間隔ってどうなんですか?

「空いたなっていうよりは、むしろ頑張ったなっていう感覚のほうが大きいですね(笑)。っていうのは、曲をストックするっていうことを僕達はあんまりしないので。単純に時間がないっていうのもあるんですけど」

■ライヴもこれだけたくさんやってるから、制作にそこまで時間も割けないし?

「はい。実際、1枚目、2枚目は、僕の中でフルアルバムっていうよりは、軽い名刺代わりのようなものだったかなって思っていて」

■そうなんですか? 確かにファーストの時って、まだバンド結成して間もない頃で、まだバンドの中でダイナミズムが生まれてるっていうよりは、トラックとリリック、それぞれが個性と武器を考えて持ち寄ったものをまず形にしたっていう作品だったと思うんですけど。

「はい、そうでしたね」

■セカンドの時も、まだ自分達の気持ちとしては助走中というか、ウォーミングアップみたいなものだったんですか。

「そうですね。で、徐々にシングルを2枚出させてもらったり、コンピレーションやコラボをさせてもらったりして、今回は今まで得たものや学んできたものを全部形にできたらいいなと思ってたんですよ。だから僕の中ではあんまり途切れた感はなかったし、やっと形になれたなっていう気持ちが凄く強かったんです。逆に、ファーストから、セカンド、サードと、同じフラットな目で見たら、『サードで急に進化したな』っていう感じがかなり強いなって僕は思っていて。そういう意味でも、今回は進化を遂げたマイファスを見せられたんじゃないかなって想いがあるので、1枚の特別感とか存在感はデカいんじゃないかと思いますね」

■その進化を遂げたマイファスっていう部分って、自分達としては一番どういうところだと思ってます?

「やっぱり最初の頃は、オケもそうなんですけど、僕達のバンドサウンドだけ――ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルだけで再現できる、ライヴで完全に僕達だけでできる音しか使わずにやっていたんです、セカンドアルバムまでは。けど、シングルの“最終回STORY”は、ピアノだったりシンセの要素を入れることで、自分達の殻を打ち破れたなって思ってて。ある種、固執してた自分ルールみたいなものがあったんですけど、それを取っ払うことによって、見える景色が広がっていって……最終的には、『カッコよければいいかな』っていう結論が出たんです。それから、ピアノとかシンセだけじゃないデジタルな音も加えていったりして。そして、またシングルの“Black Rail”とか“不可逆リプレイス”を挟んで、『ここまで来たら、ガッツリ今までにないようなサウンドや構成にしたいな』と思って、新しいことも含めて今できることを全部出し切れたんじゃないかなって感じがするんですよね」

■確かに今作って、まず頭の“monologue”から電子SEとかエレクトロサウンドの要素が入ってきて、これまでマイファスが持っていたエモとかラウドミュージック以外のエッセンスが凄く入ってきますよね。その分、音楽のドラマティック性も格段に強くなってると思うんですけど。そうやって自分達で自分の殻を破っていけた、「最終的にカッコよくなるんだったら、自分達の決めた枠やルールも一回取っ払ってみよう」と思えたっていうのは、どういうきっかけがあって、その時にどういう決断をして変化できたんだと思いますか?

「やっぱり一番大きかったのは、去年の夏くらいですかね。ナノとコラボさせてもらったことがあって」

■フィーチャリングで参加したナノの“SAVIOR OF SONG”ですよね。

「そこでのレコーディングの仕方だったりとか、曲作りに対しての姿勢が、今までの僕達の中にはないものばっかりで。言ってみれば、ファーストとセカンドアルバムは、僕達が好きな海外のバンドを意識したり、『ここをこうしたら、これっぽくなる』っていうのが自分達の中にあって『じゃあ、こうしよう!』っていうふうにやってきたんですけど、ナノの音源を聴いた時に、いい意味でJ-ROCK感を失わずに洋楽っぽさも残っていて、凄くカッコいいなって思ったんです。だから、コラボしてもらった時に、どうやってこのサウンド感や雰囲気を出してるんだろう?っていろいろ聞かせてもらって――RECで何を使っているとか、どういう録り方をしているかとか。凄く僕達も衝撃を受けて、それが2枚目のシングルの“Black Rail”で再現できたかなっていう感じがあったんで。プラス、そこにさらにマイファスっぽさを加えていければいいなっていうのがあって、どんどん変わっていった感じですね」

(続きは本誌をチェック!

text by 寺田宏幸

『MUSICA12月号 Vol.92』