Posted on 2014.12.15 by MUSICA編集部

Mr.Children、5年ぶりのインタヴュー敢行!
『SENSE』から『足音 ~Be Strong』、さらにその先まで
桜井和寿が3万字ですべて語り尽くす

いろんな音楽があるけど、
世の中全体で「この曲のサビが歌える」みたいなのが
どんどんなくなってきているじゃないですか。
その中で自分の中でのシングル曲のあり方が、
“名もなき詩”とか“Tomorrow never knows”の頃の感覚とは
ずいぶん違ってきてるんです

『MUSICA 1月号 Vol.93』P.10より掲載

 

(ジャスト5年前となる2009年12月発売の本誌「さらば00年代」特集号の表紙に掲載されている自らの写真を見ながら)

「ほー、こんなんだったんだ(笑)」

■こんなだったね(笑)。この取材をした日は、ツアー「“Mr.Children DOME TOUR 2009~SUPERMARKET FANTASY ~」の初日の前日だったんだよね。

「へーーーー、本当ですか。そうだったんだ?」

■はい。まあ芝生の上とか、今年はワールドカップイヤーだったもので、ウカスカジーで取材やVIVA LA ROCK でも世話になったし、実はそんなに会ってないわけじゃないけど、Mr.Childrenの桜井くんとしてはジャスト5年ぶりなんです。

「はい。そのMr.Childrenとしては久しぶりという感じはわかります。そう思われる感じは、自分でもわかってるところです(笑)」

■聞いたところでは、このジャスト5年前のウチの表紙取材以来、こういった根を詰めた取材をしていないということで、もうMUSICAという雑誌のことも僕のこともMr.Childrenは忘れ切ってんじゃないかと思ってましたけど(笑)。

「いやいやいやいや(笑)」

■この5年間のたくさんの時間と想いと音楽を、全部語っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

「はい、お願いします!」

■まず、今日は記念日ですよね。11月19日、本当に久々の――。

「はい、シングルのリリース日ですね。まぁ、実感ないですね(笑)」

■間隔が空き過ぎて?

「世の中ともちょっとリンクしてるのかもしれないけど、CDをリリースするっていうことに対しての実感というのが薄くなってるんでしょうね。僕自身も、CDを買うっていうことをしなくなってきているし………そんなこともあって、ちょっと実感が薄いんですよね、今日という日は」

■つまり、曲を作り続けていく、そしてそれをみんなに聴いてもらうっていう行為がアーティストとしての本質的な部分だとしたら、それをCDという形にして世に放り出すっていうことが、どんどん小さな一部になってきているってことだよね。

「そうですね、うん」

■ソングライターとしては、それはどういう変化に具体的に繋がっているんですか?

「………なんだろうな。シングルっていう単体で最近は曲を作ってないっていうか、何曲もある中でMr.Childrenの全貌を見せていきたいっていうところがあって、そのうちの一部を切り取った形なんですよね、シングルっていうのは。今回の“足音 ~Be Strong”もそう。……だから本当にこの3曲がベストなチョイスなのかっていうのは、いまだに自分でもわからないし、タイアップとの兼ね合いとかもあるし。それよりも、もっと早くアルバムを聴いてもらいたいっていう想いが強いんですよね」

■振り返ってみると、時代的な背景もあるだろうし、小林(武史)さんもいろいろ込めていたし走り回ったからだろうけど、デビューしてちょっとざわめいた頃から、シングルはほとんどタイアップはついていたわけで。その上で“CROSS ROAD”、“innocent world”で勝負に勝って、そこから今のMr.Childrenがあると思うんですよね。そのへんのシングルに関しての気持ちって、いつぐらいから変化していったの?

「本当に最近なんですよ。最近って言っても……………5年以上前かな、はははは。あぁ、『SUPERMARKET FANTASY』の時なのかな」

■あのアルバムのパイロットソングだった“エソラ”って、シングル切ってないもんね。レコーディング中から、あの“エソラ”が推し曲になる雰囲気はがっつりしてたけど、そういうアクションには出なかった。

「そうですね、(シングルとして)切ってなかったんですよね。……みんなって言ってもいろいろ(な音楽が今も)あるけど、世の中全体であるひとつの『この曲のサビが歌える』みたいなのがどんどんなくなってきているじゃないですか。その中でのシングル曲のあり方が、“名もなき詩”とか“Tomorrow never knows”でやった頃の自分の感覚とはずいぶんと違ったものになってるんですよね」

■凄くフラットに質問しますけど、その今の音楽とどう接するかという感じ、つまり「歌を唄うよりも盛り上がってその場を楽しむ感じ」って、Mr.Childrenや桜井和寿にとっては、どっちかって言ったら追い風よりも向かい風だと思うんですよね。それをソングライターとしてはどう受け止めているんですか?

「今ちょうど作ってるアルバム制作の中で凄く思ったことは、Mr.Childrenの役割って、大衆というものに向けて――それこそ今日の丸の内で撮影した写真じゃないけど――ど真ん中で響かせていきたいっていう感じなんですよね」

(続きは本誌をチェック!

text by 鹿野 淳

『MUSICA1月号 Vol.93』