Posted on 2015.01.15 by MUSICA編集部

the telephones、10周年の決意
初の武道館ワンマンと年内いっぱいでの活動休止を語る

4人とも一貫して「telephonesをやめたくない」っていう気持ちはあった。
だけど、このまま続けていくと
辛いことしかないっていうのもみんなわかってて。
中途半端にするよりも、1回区切りをつけたほうがいいと思った

『MUSICA 2月号 Vol.94』P.14より掲載

 

■本当に最初の頃から濃いつき合いをしてきたけど。正直、telephonesとこういうインタヴューをする日が来るとは思ってなかったよ。

「そうだよね。俺も思ってなかった」

■一昨日の12月23日、「SUPER DISCO Hits 9 !!!」のアンコールで、石毛くんの口から10周年となる2015年をもって無期限の活動休止に入ることが告げられました。まず、解散ではなく、活動休止なんですね?

「活動休止です。でも、その期限は決めてないです。結成10周年がちょうどいい区切りになったというか……やっぱり10年経つといろいろ思うんだよね。俺だけじゃなくて、メンバーそれぞれいろいろ考えたり悩んだりしていて、そこにはお互いのズレも生まれていて……そういういろんなことをリセットする時間が必要なんじゃないかっていう。だからもう一度telephonesを楽しむ方法、続ける方法を見出すために、10周年を区切りに活動を休止させようっていうことになりました」

■それを決めたのはいつぐらいだったの?

「正式に決めたのは今月(12月)入ってから。それまでもずっと話としては出てたけど、ちゃんと無期限活動休止を決めたのは今月ですね」

■どういう経緯と話し合いを経てこの結論に至ったんですか。

「言葉では伝えづらいんだけど……まず言っておきたいのは、メンバーの仲は全然悪くない。むしろ凄くいいし、未だにウルサイって言われるくらい4人でいるとみんなよく喋るし、何も変わってないんだけど」

■そうだよね。仲のよさはいつも目の当たりにしてる。

「うん。でも、9年やってきた中でtelephonesというバンドに対する考え方が4人それぞれ少しずつ違ってきて。最初の頃はほんと無邪気な感じの作り方だったけど、今はみんな個々のプレイヤーとして成長してプライドとか個性が出てきてるから、意見の相違が出てき始めて、音楽的に噛み合わなくなってきたなっていうのを4人とも感じ始めて……そういうズレってどのバンドにもあると思うし、もちろんその都度修復していったところもあるんだよ。でも、見て見ぬ振りしてたズレも結構あった。その直さなかったズレがずっと残ってて、最終的にそれが臨界点まで達しちゃったんだと思う。……俺個人に関して言えば、バランスが上手く取れなくなったのが大きい」

■そのバランスっていうのは?

「時代の移り変わりの中で、telephonesのあるべき姿と俺のやりたいことがまとまらなくなってきちゃったというか、その釣り合いが上手く取れなくなってきちゃったっていう。俺は『telephonesはこうあるべきだ』みたいなのが割とあるから、バンドに対して客観的なところもあるんだけど、その客観的なところと主観的なところのバランスが上手く取れなくなったっていうか。………だからほんと、いろんな要因と想いをそれぞれが持っていて、その中で疲れてしまってたんだけど、でも4人とも一貫して『telephonesは辞めたくない』っていう気持ちは強くあって。だけど、このまま続けていくと辛いことしかないっていうのもみんなわかってて………選択肢として少し休みを取るっていう方法もあったけれども、中途半端にするより1回区切りをつけたほうがいいと思った。そう思ったのは、今までアルバム6枚、ミニアルバム6枚作ってきた中で――俺達は毎回テーマを作ってやってきたつもりだけど、それもやり切ったなと思ったところも大きい。この話が出た時に自分の中でいろいろ振り返ってみたんだけどさ、そもそも俺達がこのバンドを始めたのは、当時海外で流行ってたディスコパンクやニューレイヴ辺りの、2000年代のポストパンク・リヴァイヴァルのムーヴメントをやってるバンドが日本にいないから、それをやっちゃおう!ってことが大きくて。だから、普通のバンドとはちょっと組み方が違うんだよね。最初に組んだ時はノブはいなかったけど、でもすぐノブが入って。そこでまず4人が仲よくなって、音楽やりたいのはもちろんだけど、それよりこの4人でなんか面白いことやりたいなっていうところで、『じゃあ、まだ日本で誰もやってないことやろうよ』っていう感覚でそういう音楽を始めたの。要は、流行りの音楽をするっていう選択肢を取ったんだよ」

■それは流行に乗ったというより、海外で起こってる新しい音楽とムーヴメントを持ち込んで、この国に新しいシーンを作ろうとしたよね。

「そう、自分達の手で自分達の世代ならではの新しいシーンを作ろうとしたんだよね。それは、自分が子供の頃にハイスタとか聴いて、リアルタイムに洋楽とシンクロするメロコアのシーンを見てカッコいいと思ってたからっていうのが大きくて。でもメロコアは俺がやるべきことじゃないと思ってたから、じゃあ今海外で流行ってることってなんだっていったら、ポストパンク・リヴァイヴァルだったっていう……だから言ってみれば、元々このバンドってそういうプロジェクトだったんだよ。でも、ディスコパンクのムーヴメントはとっくに終わって、そこからだんだん『telephonesとはなんぞや』ってことを考えるようになって。その中で最近は、自分というものがアルバムにもどんどん出ていってたと思うんだけど。でもそれが割と中途半端な混ざりな気もして、それでソロを始めたり、ソロで掴んだことをバンドにフィードバックしたりっていうこともやってみて。だけど、そもそもtelephonesはそういうバンドじゃないなっていう思いもあったんだよ」

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text by 有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.94』