Posted on 2015.01.16 by MUSICA編集部

星野源、横浜アリーナ2Days「ツービート」
完全独占密着&後日インタヴュー!

「みんなで『ひとり』になろう」――
15年前の孤独な部屋と満員のアリーナが
ひとつの線で真っ直ぐに結ばれ、未来を示した2日間。
初の横浜アリーナ2Days「ツービート」独占密着!

『MUSICA 2月号 Vol.94』P.42より掲載

 

 2014年12月16日と17日の2日間、星野源にとって初めての単独アリーナ公演となる「ツービート」が横浜アリーナで開催された。(中略)弾き語りDayとバンドDayという、スタイルを変えて挑んだこの2公演で、星野源はその過去と今をひとつの太い線で真っ直ぐに繋いでみせた。今回のツービートは星野源の原点であり、ここまでの集大成であり、さらには次のステージの幕を切って落とす出発点でもあった。――そんな2日間に密着しました。そのドキュメントと公演5日後に行ったインタヴューを、ここにお届けします。

 

2014年12月16日 弾き語りDay

 

 生憎の雨模様となった初日。前日までの行程では14時30分に予定されていた星野の会場入りは急遽13時30分に繰り上げられ、私はご本人より約10分ほど遅れて13時40分に会場到着。着々とチェックが進むステージを眺めつつスタッフの皆さんに一通り挨拶し、落ち着いたところで楽屋に向かおうとすると、マネージャー氏が「あ、今はいませんよ。場内をジョギングしてます」と言う。……場内をジョギング? アリーナに戻って周囲にグルッと目を凝らしてみると――発見しました、2階席の立ち見エリアをひとり走っていく星野源を。けれど発見したのも束の間、また扉の外へと消えていく。どうやら客席やコンコースをグルッと回りながらジョギングしているようだ。それからだいぶ経ってから、首からタオルを下げたTシャツ姿の星野がアリーナに降りてきた。「体を温めておこうと思って、早く来てジョギングしてた」そうだ。とはいえただジョギングするだけでなく、一番遠い客席にも行ってそこからステージがどう見えるのかも確認してきたらしい。

 この日は弾き語りDay、つまり、この広いアリーナでたったひとり、ギター1本で歌を響かせることで1万1000人の観衆の心を震わせなければならない公演だ。ほとんどのお客さんには歌い手の表情も生の息づかいも聴こえない、さらに一番遠くのお客さんには小指程度にしかステージ上の星野を視認できない状況で、でもその表情を伝え、その息づかいを伝え、そこに宿る心を伝え切らなければならない。しかも、サウンド的にも視覚的にもどうしても単調になってしまう弾き語りという形態の中で、最後まで観客を掌握し、飽きさせることなく惹き込み続けなければならない。

 これはかなり挑戦的なことだ。そもそもアリーナ以上の規模で弾き語りの単独公演をやるっていうのはほとんど例がなく、思い出すのは奥田民生が広島市民球場で「ひとり股旅スペシャル」をやったこと、そしてゆずがスタジアムでやったことくらい。今回の弾き語りDayは、形態としては星野がかつてやっていた「部屋」シリーズや2012年の「SHIWASU」に近いとも言えるかもしれないけど、でも規模はその5倍、10倍なのだ。

 星野に実際に会場に入ってみてどう感じるか?と訊いてみると、「狭いなって思った。で、『あれ? 俺、狭いなとか思ってるよ』って可笑しくなったんだけど(笑)」との返答が。お、頼もしい。ということはワクワクしてるのかなと思ってそう訊くと――「いや、緊張してる。意外と……ていうか、結構緊張してる」と言う。後に掲載するインタヴューでも語っているのだけど、事前リハまではまったく気負わずに進んできたものの、前日の夜から急に緊張が襲ってきたそうだ。それはそうだろう。そもそも久しぶりのライヴであることに加え、初アリーナで、しかも弾き語りライヴなのだ。これで緊張しないほうがおかしい。

 14時20分から、まずはシークレット・バンドのサウンドチェックが始まった。この日はいくつかのサプライズが用意されていて――。

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.94』