Posted on 2015.02.16 by MUSICA編集部

SHISHAMO、セカンドアルバム『SHISHAMO 2』完成!
気鋭バンドの本質に迫る宮崎朝子の20年とバンドの本音

松岡が入ったことで、SHISHAMOっていうバンドに
人が入りやすくなったと思うんです。
それは、悪く言えばSHISHAMOに隙ができたっていう意味でもあって。
だから、私は隙を見せたくなかった

『MUSICA 3月号 Vol.95』P.216より掲載

 

■2枚目のアルバム、完成したばかりです。

「まだあんまり実感が湧かないですね。『これが出るのか!』っていう(笑)。なんでかっていうのはわからないんですけど、毎回お店に作品が並んだ時にも『あ、CD出てる』くらいの感じなんですよね……」

■宮崎は曲を作る時は詞先行だよね。作詞して作曲して、それをデモテープにしてレコーディングする。それがCDになって世の中に出る、感想がくる、ツアーをやる――この間のどの瞬間が一番グッとくるの?

「……その全部は比べられないかもしれないですね。でも、CDのことに関して言えば、曲を作って、レコーディングが終わった時に一番グッときます。『終わったぁ』っていう(笑)。やっぱりレコーディングが一番精神的にキツいので……みんなが本気でやってるからこそのぶつかり合いもあるじゃないですか」

■今の話を聞いていると、宮崎が思い描いたイメージを作品にするために、いろんな人達に説明をしたり、ぶつかったりしたんじゃないかと思うんですけど。今回の作品のこだわりはなんだったの?

「『変わらないこと』ですかね。成長っていう面では、これから必要な部分はあると思うんですけど」

■なるほど。でも僕は、この作品を聴いて結構変わったと思ったんですけど。

「え、そうですか(笑)。たとえば私が他のバンドを見ていたとしたら、バンドが変わることが嫌なんです。変わると、失われるものもあるじゃないですか。それが寂しいし、ダサいというか……。それは、いろんなバンドを見ていて思うこともあって。たとえば松岡(彩/B)が入ったことによってバンドが変わることは自然だと思うんです。だけど根本的なところは変わらないでいたくて。だから、このアルバムで『SHISHAMOはSHISHAMOです』って表したかったんです」

■そのためにどういうところを頑張ったの? 

「とにかく『何も考えないようにしよう』っていうのが今回は大きくて。曲を作る上で、まずは私の中から真っ直ぐ出てくるものこそが一番のSHISHAMOらしさなんじゃないかと思って、今回は前よりも好きなように作れたし、自分の好きなメロディがいっぱい出てきて、それを曲にできた実感があります」

■自分の音楽を自分の中でモノにしていってるっていう感覚があるんだ?

「でも、私がいいと思ってるものが『いい』とは限らないし、私の中では私の好きな曲が一番正しいとは思ってるんですけど……一緒にやっている人達が、私が全然よくないと思っているものを『いい』って言ってくれたりもするんですよね。だけど私も、SHISHAMOは自分だけでやってるものではないと思うし、人の言葉を信じると上手くいくっていうのもなんとなくわかってきて。簡単に言うと、信用できてきたってことだと思うんですけど」

■ベースの松岡が新加入してすぐツアーを回ったじゃない? その後に、宮崎はこの新しいSHISHAMOをどう感じたんですか?

「松岡の人柄が一番大きいんですけど、松岡が加入してからの3人のほうが、前のSHISHAMOより好きな人が増えるだろうなと思って。これは音楽じゃない面ですけど」

■彼女がポップな存在だっていうことだよね。

「そうですね。彼女が入った時の全体像のほうが、惹かれる人が多いんじゃないかって」

■あのツアーを観て思ったのは、松岡は決して完成度の高いベーシストとして加入したわけじゃなかったけど、その割には、リズムやサウンドをゴリゴリ鳴らすライヴになったという変化が見えたんだよね。それと共に、松岡が入ったことで、バンド全体の見え方の大衆性が増した。そして、宮崎はツンデレのデレがなくなった、非常にアグレッシヴなキャラクターを解放し始めた(笑)。この3つが非常に大きかったと思ったんだけど、どういう流れでそうなっていったんですか?

「やっぱり、松岡のキャラクターが入ったことで、私が変わったというか……変わらざるを得なかったっていうんですかね?(笑)」

■それは、どういう意味で?

「私が隙を見せたくないと思ったというか。……松岡が入ったことで、人がSHISHAMOっていうバンドに入りやすくなったと思うんですよ。それは、悪く言えばSHISHAMOに隙ができたっていう意味でもあるじゃないですか。でもそれじゃ私は嫌なんです。だから無意識にその部分のバランスを取って、今言われた『デレがない』っていう自分になったのかもしれないです。でも、決してそういう自分も嘘ではないと思うので、今はいい形なんじゃないかなって、トータルで思います」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA3月号 Vol.95』