Posted on 2015.02.19 by MUSICA編集部

エレファントカシマシ、バンドが迎えている新たな季節を
プライヴェートスタジオにて宮本浩次が語る

『STARTING OVER』や『昇れる太陽』というアルバムは、
蔦谷さんやYANAGIMANや亀田(誠治)さんが
一番の僕の心のパートナーだったんです。
だけどそうじゃなくて、
もう一度この4人でエレファントカシマシなんだっていうことを
ほんと久しぶりに取り戻すことができたのが、この1年だった

『MUSICA 3月号 Vol.95』P.100より掲載

 

■この取材のきっかけは、1月4日の日本武道館公演の際、ライヴを観て盛り上がりながら、ただただ漠然とインタヴューがしたいなと思いまして、そのまま終演後の楽屋で宮本さんに直談判させていただいたところから始まったんですが。

「そうですね(笑)。そう言っていただいて、ほんとに嬉しかったです。しかもこうやって、わざわざ遠方までお越しいただいちゃって」

■いや、むしろこうやって宮本さんが日々籠って曲や歌詞を書き、エレカシが日々練習をしているプライヴェートスタジオにお邪魔できるなんて、僕らにとってはとても嬉しいことだし興奮してますよ。話に聞いていた急須を見つけたり、ここはロックの秘密基地です。

「ははははは、そうですか、ありがとうございます(笑)」

■では早速ではありますが、取材を始めましょう。まず、宮本さんにとって、あの久々の新春・武道館2デイズというライヴはどういうものだったんですか。

「やっぱり僕にとっては、本当にあの2デイズを目標に2014年の1年間を生きてきたと言っても過言ではないくらいのものだったんですよ。昨年の春にVIVA LA ROCKをはじめフェスに出演させてもらったところからスタートし、夏フェスもかなり回り、そして9~10月には本当に久しぶりのツアーがあった上での武道館というところで……実はシングルの予定なんかも計画としてはあったんですけど、でも、去年はそれよりもツアーと武道館を最優先して、何しろライヴをやっていくんだっていう意気込みでやってたもので。その区切りであり、また新たなスタートでもあるという位置づけで、あの武道館は臨みました」

■武道館を2日間やるのは15年ぶりのことだし、集客も含めて今までで最も好調を告げている現在のエレカシを象徴するライヴでもあったと思うんですけど、そういう意味ではどうでした?

「それはやっぱり嬉しかったですねぇ。鹿野さんに観てもらった2日目のほうは、実は第一部の中盤くらいでちょっと挫けそうになると言いますか、自分の中で何かこう、もうひとつノリ切れていない感じがあって。前日とは大分曲も変えていたので、そういう曲に対する想いが前日の緊張感とはまた違うものがあって……でも、そういう中で客席から自分が思っている以上の歓声を受けた時に、それが本当に心から嬉しくて、そこから急に盛り返すというか、『やっぱりこの曲順でやってよかったんだ』と確信することができたんです。ほんとにね、初日と2日目では曲順全然変えたんですよ。それはいろいろ考えた上で敢えて変えたわけなんだけど、でも、心のどこかでは『昨日せっかく上手く行ったのに変えるってどうなんだろう』とは思ってて……それが拍手をたくさんもらったことで吹っ切れたんです。元々ね、31日と1日とリハをやったんですけど――」

■え、それって大晦日と元旦にリハをしているということ?

「はい(笑)。まぁ新春公演の時って、みんなその大晦日とか正月のリハが楽しみでもあったりするからさ」

■そういう楽しみ方も世の中にはあるんですね(笑)。

「ただ、実はそのリハの時はそれぞれ27曲くらいしかやってないんです。だけどやってるうちに結局10曲くらい増えちゃって(笑)。というのもね、蔦谷(好位置)さんも、ヒラマ(ミキオ)さんも、金原(千恵子)さんのストリングスチームも、みんな含めて凄くバンドっぽいというか、エレファントカシマシっていうバンドに対して凄く大きな想いを持ってくれて、凄く熱の高い演奏をしてくれて……そういう中で自然と『もっと!もっと! さらに出そう!』という気持ちになれて。それで当日のリハで急に曲を増やしたり、『明日やっぱりこれもやりたいからお願いします』ということになったりして、結果あれだけの曲数になったんです。だからあれは、総勢14人のメンバーが大入りのお客さんの前で心の底から気持ちよく演奏ができたことの証なんです。そういうメンバーとライヴができたことが、僕は本当に嬉しかったです」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA3月号 Vol.95』