Posted on 2015.02.19 by MUSICA編集部

NICO Touches the Walls、
初のアコースティック・アルバムで
見つめ直した音楽と次への野心

昔だったら怖くてできなかったかもしれないけど、
今はちゃんとストレートに伝えられる。
そういう自信がついたっていうのも大きい。
今はできるだけ近い距離感で伝わる歌心を大事にしたいんです

『MUSICA 3月号 Vol.95』P.108より掲載

 

■初のアコースティック・アルバムです。これまでDVDの特典映像でアコースティック企画をやってたのはもちろん、昨年はNANO-MUGENでアコースティックライヴをやったり、音楽的にも実は“天地ガエシ”からの流れとして実にいいタイミングでのトライだなと思ったんですが。

光村龍哉(Vo&G)「俺もいろいろ振り返ってみたんですけど、転機としては『Shout to the Walls!』の“Mr. ECHO”辺りから積極的にアコギで曲を作り始めてて。それが“ローハイド”でバシッと自分達のものになって、その上での“天地ガエシ”って流れだったんで……だからアコギの音と自分の声の相性みたいなものが相当いい感じになってきてるなぁとは思ってたんですよ。そういう意味では、アコースティック・アルバムを凄く作りたかったというのはありましたね」

■“天地ガエシ”でカントリーを下敷きにして歌を作り、そしてバンドとしてもアイリッシュなアレンジをしたということも、非常に大きかったのかなと思うんですけど。

光村「そうですね、やっぱりあれは大きかったですよね。たぶん、あれがいいクッションというか、今回へのいい繋ぎになってると思う。あれがあったからこそ、ずっとNICOを聴いてきてくれた人も違和感なくこのアルバムを聴けると思うし、あの曲から呼応してくれた人にも楽しんでもらえる作品になったんじゃないかと思います」

■アコースティックといっても静かな弾き語り作品とは違う、音楽的にもかなり遊んでいるし冒険もしているし、生楽器でダイレクトに空気感が伝わる分バンド自身のグルーヴがダイレクトに表れた曲が入ってますよね。

坂倉心悟(B)「自分でも、所謂アコースティック作品というより、NICOがバンドをやっているという点でカッコいいものができたと思っていて。レコーディングはみんなで一発で録れるようにっていうところを意識して作っていったんですけど、それがいいように働いて。演奏の生々しさというか、ライヴ感が凄く出たと思うし、それが凄くよかったなと思います」

■そうですね。なんかこう、4人がスタジオで音を鳴らし合っているところを覗いてしまったような、そこに招かれたような気持ちになる。

対馬祥太郎(Dr)「あ、その覗き見っていうのは、まさに!ですね(笑)。実際に曲のアレンジをやっている時も、『ちょっとスパニッシュ・ギターとかやってみたいよね』とか言って、俺も含めみんなでやってみたりして。そういうことに1日費やしたり(笑)」

■対馬くんもやってみたんだ?

対馬「はい、俺もやりたがりなんで(笑)」

光村「というか、まだ形にはなってないんだけど、4人でGipsy Kingsになろう!っていうアイディアは2年前くらいからあるんですよ」

■はははははははは、ていうか対馬くんがアコギ持った姿って、確かにGipsy Kingsそのもの的なものがある!(笑)。

一同「はははははははは」

光村「そのために対馬くんに早くアコギ買ってくれって言ったりして。俺Gipsy Kings好きだし、なんか楽しそうでいいじゃないですか(笑)。それこそ去年のVIVA LA ROCKでやりたかったけど、間に合わなくて」

対馬「間に合わなかったねぇ(笑)。まぁでも、そうやって新しいことをアクティヴにやった期間でもありましたね。特に古くんは大変だったよね?」

古村大介(G)「大変だった……だってガットギターもやったしアコギもやったし、“Diver”ではブルースハープも吹いたし………」

光村「もうね、古くんは一生懸命ブルースハープ吹きながら酸欠になってて。あの時はほんと、幼稚園のお遊戯会の父兄の気持ちで古くんを見守ってましたね。『頑張れ! もう一回! 立つんだ古くん!』みたいな(笑)」

古村「あのレコーディングはほんと辛かった。ハープがあんなに肺活量が必要なものだとは思わなかったです(苦笑)。もう本当にね、<息をしたくて>、<ここは苦しくて>っていう歌詞の通りで」

一同「ははははははははははは」

古村「ある意味あの歌詞を体現しちゃったという(笑)」

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA3月号 Vol.95』