Posted on 2015.03.19 by MUSICA編集部

04 Limited Sazabys、メロコアシーンを飛び越えて輝く
ロックの新たな希望

僕も人も、いろんな自分がいる中で、
小さかったころの自分や青春を今も持ってると思う。
それで、万人に共通する感覚に触れるポップな音楽をって考えると、
僕達にとっては、誰しもが知っている青春
っていうものになっていくのかもしれない

『MUSICA 4月号 Vol.96』P.88より掲載

 

■今のメロディックパンクに新しい風を吹かせて、今までになかった可能性を持ち込んでくれるバンドだと思って聴かせていただいていて、インタヴューを凄く楽しみにしてました。

「ありがとうございます。よろしくお願いします!」

■歌とメロディ自体が曲のリズムとして機能していたり、リズムパターンの多彩さにいろんな音楽的要素の消化を感じさせたり。日本語を主軸にしている部分も含めて、十数年にわたって根強かったメロディックパンクのフォーマットを、今の世代のものとして更新していくバンドだと感じてるんですけど、GENさん自身は、自分達の音楽をどう捉えられてますか?

「僕としては、ポップパンクとかパワーポップが凄く好きで。で、パワーポップって最終的にはメロディのよさだけで持っていったりするじゃないですか。だから、自分達で音楽をやる上でもメロディのよさは絶対なんですけど……ただ、これまでやってきて、ジャンル的な面で『こういう音楽です!』っていうのが自分達でもわからなくなってきていると思うし、だからこそ、自分達にとってはより一層よいのかな?と思っていて」

■ジャンルとかフォーマットに縛られていないものが生まれてきていて、それが個性になっているんじゃないか、っていうことですか?

「そうですね。どんどん、ジャンルっていうよりは『04 Limited Sazabysっていう音楽です!』みたいな感じになってきているというか」

■GENさん自身は、どういうところに「04 Limited Sazabysっていう音楽です」という要素を感じているんですか?

「たとえば……オケだけで言えばメロディックパンクっていうものにはなると思うんですけど、最初に言ってもらった通り、僕の歌い方や歌のフワフワ感――いわゆるメロディックパンク的でカッチリした疾走感の真反対の要素が入ることで、『こういう音楽です!』って言うよりは『04 Limited Sazabys』っていう音楽になってきていると思うんですよ」

■まさにそこがフォーリミの新しさのひとつだと思うし、それによって今、状況にちゃんと火が点けられたっていうところだと思うんですけど。ただ、今作で再録されている“Any”や“Buster call”のように、デビュー当初は直球のメロディックを英語でやってましたよね。

「そうですね。元々はlocofrankやdustbox、ELLEGARDENとかHi-STANDARDを聴いて影響を受けて、『実際に自分が音楽をやる分には、一番気持ちいいのはメロディックパンクで間違いない』って確信してバンドを始めたんですよ。で、その楽しさでバンドを続けて。メロディックパンクの衝動性とか、それこそモッシュとかダイヴとか――テンションが上がり過ぎてヤバい!っていう感じにグッときてたんですよね。エネルギーが余っていたし、暴れられる音が一番気持ちよかったんです。それに、暴れられるだけじゃなくて、やっぱメロコアはメロがいいじゃないですか。そこにキュンとして。ただ、似たバンドが集まっている場所――みんなが『ズッタン、ズッタン』っていうリズムで英語で、っていう中で対バンしていても、なんとなくみんな同じで徐々にグッタリしてきて」

■それは、単純に同じ種類の音・似たフォーマットだけ聴き続けていることでお腹いっぱいになった、っていうこと?

「やっぱり英語で歌っているバンドばかりだったんですけど、たとえば、AっていうバンドとBっていうバンド、その両方が英語で歌っていたら、聴いた時に歌っていることの違いやメッセージがわからないじゃないですか。同じ『英語』としてしか聴けないというか。そこに対して、『何か個性を出さなきゃな』っていうことを考え始めたんですよ。似たようなことをしているバンドだけ集まっていても、面白いことが起こる予感がなかったというか。やっぱりバンドをやっているのなら、アウェイのところに飛び込んで勝負しなきゃ意味がないなって思ったんですよね。それで、日本語で歌詞を書き始めたのが、2013年の『sonor』の時だったんですけど」

■自分が好きで飛び込んでいったジャンル、場所ではあったけど、このままだと「〇〇界隈」の一部にしかならないっていうことを察知したんだ。

「そうですね。このままじゃマズい、っていう気持ちだったと思います」

■バンドのメンバー4人それぞれ、GENさんと同じようにメロディックパンクにグッときて集まった方々なんですか?

「それが、結構別々なんですよ。KOUHEI(Dr)Iは、このバンド前は完全に歌モノのバンドをやっていて、僕がそこから連れてきたんです。歌とかメロディを立ててくれるようなドラムを叩くし、僕もそういうドラムがいいと思ったんですよね。RYU-TA(G)は90年代のパンクやハードコアも大好きで、HIROKAZ(G)はポップなものもGOOD4NOTHINGとかも好きで。で、僕はメロコアもドープなものも打ち込み系の音楽も好きで――バラバラなんですよね。だけど、たぶん僕の歌詞やメロディはみんなにちゃんと信頼されてるんだろうなっていうのは思っているんですけど」

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text by 矢島大地

『MUSICA4月号 Vol.96』