Posted on 2015.04.15 by MUSICA編集部

KANA-BOON、夢のその先へと向かった
初の日本武道館公演、独占密着!

バンドの夢をまたひとつ叶え、
ついでに4人それぞれの夢も叶えちゃった、
初の日本武道館公演、独占密着!
バンドという運命共同体が放つ無二の煌めき、
信じ駆け続ける者達に微笑むロックのエネルギー、
KANA-BOONだからこそ描き出せたその景色――

『MUSICA 5月号 Vol.97』P.52より掲載

 

果てしなく続く道の途中

標識はないがあてはあるさ

少年が耳を澄ましている

あの頃の僕よ、聴こえるかこの声が

―――この日の武道館のアンコールの最後、つまり大舞台の締め括りとして奏でられた、彼らのセカンドアルバム『TIME』のラストソングであり、今回の初アリーナ公演のステージで奏でることを思い描いて作られた楽曲である“パレード”は、こんな歌詞から始まる歌だった。

「あの頃の僕よ、聴こえるかこの声が」

 満員のアリーナいっぱいに響きわたる、大きな大きな歓声。心を通じ合わせ、隣で共に音を鳴らし合う仲間達の音。そして、心の底から湧き上がる喜びを感じながら、ステージの上で思い切り歌い上げる「僕」の歌声ーーーこの日の武道館、そして約1週間前の3月23日の大阪城ホールと2日間にわたって行われたKANA-BOON初のアリーナ公演は、彼らにとってまさに「あの頃の僕」が夢に思い描き続けてきた景色が、信じ続けてきた「遠い未来の声」が、遂に現実のものとなった瞬間だった。アンコールでステージに再登場した際、鮪は感慨深げに「凄いね。武道館に立ってるんですね、今」という言葉を零したが、今回の初アリーナ公演は、「インディデビューから約2年、しかもソールドアウトで達成」と言えば異例のスピードだけど、彼らにとっては高校1年生の時にKANA-BOONを結成してから約9年、鮪に至っては中学の時にロックに出会って生きる目標を見つけた時から10年以上の間、強い決意を握りしめて必死になって努力し、走り続けてきた末に辿り着いた晴れ舞台だった。感情を迸らせるようなバンドサウンドに乗って<大事にしたいもの持って大人になるんだ/どんな時も話さずに守り続けよう/そしたらいつの日か/なにもかも笑えるさ>と歌い上げられた本編ラストの“シルエット”、そして万感の想いと共に<僕らはいまでも信じているよ/これでよかったんだと言えるよ/僕らはこれから茨の道をゆくのさ/傷はもう痛くない>という歌が強く響きわたったオーラスの“パレード”ーー4人が夢を体現し、そしてこのライヴをやり遂げた自信と確信をもってさらなる明日へ向かうあの光景を観ながら、思わず熱いものがこみ上げてきたのは私だけではなかったはずだ。

 という、非常に感動的な武道館公演だったんですが、でもそこはKANA-BOON。大抵のロックバンドが初アリーナ公演に持ち込んでくるのとはまったく違う心意気(?)もぎゅうぎゅうにこの日のライヴに詰め込んでました。では、入りから終演まで全力で駆け回った4人の密着ドキュメントを、ここにお届けします。

 

 早くも満開となった桜が美しく咲き乱れ、午前中からたくさんの花見客が行き交う北の丸公園。その一角に位置する武道館の楽屋口に、11時ほぼちょうど、メンバーがやってきた。車のドアが開くなり「オガヨーゴガイガーグ!」と、最早「おはよーございまーす」とは聞こえない言葉を大声で発しながら飛び出してきた古賀、続いて失笑しながら降りてくる鮪、飯田、こいちゃん。ちなみに4人とも武道館でライヴをするのはもちろん、客としても一度たりとも武道館に足を踏み入れたことがない完全なる武道館童貞。「今日までちゃんと守ってきましたよ」と鮪が何故か得意げな笑顔で言いながら、「せーのっ」と4人揃ってピョンッと館内に飛び込んだ。

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.97』