Posted on 2015.05.18 by MUSICA編集部

すべてのストーリーは頂点に立つその瞬間のために――
[Alexandros]、大胆不敵にして威風堂々、
過去最高のスケールを湛える
ニューアルバム『ALXD』完成!!
その全貌を解き明かす第一声全員ソロインタヴュー!!!!

やっぱり誰にも頼りたくないから。
自分達の力で相手をねじ伏せて、奪い去っていきたい。
だからスタジオで4人だけでやってるのは [Alexandros]の聖域だと思ってて。
その聖域から生まれるものを最大限に出していきたい
っていうのはあったと思います

『MUSICA 6月号 Vol.98』P.12より掲載

 

Interview with 川上洋平

 

■遂にアルバム完成しました!

「いや~、本当についさっきですよ! 朝まで歌ってましたからね」

■明け方まで最後の“Famous Day”の歌を録ってたわけだからね(笑)。

「はい(笑)。だから正直、まだまったく客観的には見れない状況ですけど。でも今回は最後の追い上げっぷりがハンパなかったですよ!」

■……敢えて言いますけど、それ、いつもじゃない?

「そうなんですけど!(笑)。でも今回は割とずっと順調に進んでいく中で、どんどん調子が上がっていく感じがあって。やっぱりね、俺の場合、レコーディングしていく中でどんどんアイディアが湧いてくるところがあるんですけど、でも、たぶん今が一番絶好調だと思う(笑)」

■約2年ぶりとなる5枚目のアルバムですけど、このバンドの普遍的な王道性も、破天荒なアイディアを盛り込んだエキセントリックなダイナミクスも、そのすべてをこれまで以上の形で盛り込んだ「[Alexandros]とは一体なんなのか?」をはっきりと提示するアルバムになったと思います。

「まさにそうですね。この2年の間ってシングルが多かった、つまりいわゆるいろんな人に受け入れられるポップな曲が多かったじゃないですか。だからその分、アルバムでの新曲では自分の遊び心をめちゃくちゃ詰めてやろうと思って。ポップな曲も好きなんですけど、やっぱりもっと激しい曲も書きたい!っていうフラストレーション溜まってたんで、アルバムレコーディングはすっげぇ楽しかったですね」

■その辺の不敵な獰猛性は“Boo!”や“ワンテンポ遅れたMonster ain’t dead”、あるいは“Dog 3”といった、非常にエッジの効いた攻撃的な曲、ラップメタルやデスメタルみたいな曲に表れてますけど。

「そうそう、その3曲最高でしょ? 特に俺は“Boo!”のサウンドが実は今回のアルバムをの中心にあるものなのかなと思ってて」

■あのバッキバキに歪んだブースト気味のサウンドね。

「そう、あの邪悪感! カッコいいのひと言でしょ、もう。結構アルバムは[Alexandros]のこういう側面をガンッと提示したかったんですよ」

■その一方で、“can’t explain”というThe StrokesからOasisを経てUnderworldまで行くような曲があったり――。

「なるほど!(笑)。これは俺的には当時Yuckが好きだったんで、そこから思い出したブリットポップ感を自分なりにもう1回作ってみたら面白いかなって作り始めたんですけど。俺もこれ凄い好きで。“Starrrrrrr”の辺りから有泉さんに8ビートやりたいって言ってたじゃないですか。実はあの頃からあった曲なんですよ。ずっと温めてたんですけど、やっとできた」

■ラストの飛翔感ある展開含めてこれも最高。で、最後には“Coming Summer”という素晴らしいロックバラードもあって。<これ以上歩けないような気がふとして/足がすくんだ>という、珍しく弱さをぽろっと出す歌詞から始まり、<いざ飲み込めよ/我の身体ごと/今こそ捧ごう/この身体とこの奏でを>と歌いゆく名曲なんだけど。

「これ、実は大学生の時に作った曲なんですよね」

■マジで!? そうなんだ!

「Aメロは違うんだけど、それ以外は全部当時のまま。だから歌詞は、これがいい歌詞かどうかわからないまま歌いました。昔からあった曲だからこのままやりたいなと思って。でもこうして見ると歌いたいことって本当に変わってないな……ただ、この曲はちょっと癒されたい部分が出てるよね。甘えてんじゃねえよって言いたくなるけど(笑)」

■ははははは。とまぁ、非常にヴァラエティに富んだアルバムなんだけど。

「そうそう、振り幅ヤバいでしょ?」

■はい。でもそれが突飛なことではない [Alexandros]というバンドらしさが存分に出てますよね。そもそも洋平くんは、『Me No Do Karate.』の次の作品として、このタイミングでどんなものを作りたいと思ってたの?

「単純に今自分がやりたいものを今まで以上の形で出したいっていうのは変わらずなんですけど、今回はメロディラインの部分を自分の得意なモノ――それは考えながら作ったというよりも、制作しながらわかっていった感じがあって。やっぱり俺、捲し立て系がすっごい好きなんですよ」

■“ワンテンポ遅れた~”のBメロとか、とんでもなく速いよね。

「すっごい速い。だからこれ、ラップじゃないんですよ。フィラップっていう俺が作ったスタイル。ヒロには超爆笑されたけど(笑)」

■ん、フィラップ?

「fill up、埋めるってことなんですけど。ラップってリズムに乗せてくんだけど、そうじゃなくてとにかく埋めるように捲し立てる、拍のブレイクみたいなものも全部埋め尽くすっていう(笑)。でも、俺の場合はそれでもメロディを感じさせる形にできるから、新しい武器にしていきたいなと思ってて。もう、これやってる時はめちゃくちゃ気持ちいいんですよ!……まぁ話を戻しますけど(笑)、アルバムでまず録ったのは“Boo!”と“ワンテンポ~”だったんけど、ちょうど『ワタリドリ/ Dracula La』を制作した後だったんで、さぁやりたい放題やってやろう!っていう反動が凄いあって。その中でやっぱり最終的に、もの凄いロックなアルバムにしたいなっていう欲望が出てきたんですよ。“ワタリドリ”とか“Adventure”でそこまでロックに興味なかったお客さんも増えたと思うんですけど、その人達にもこういう部分を見せたいと思って。[Alexandros]のマイルドな部分だけじゃなく、奈落の底に突き落とされるような感覚も味わわせたいっていうか。俺達はもの凄いポップなこともやりたいけど、もの凄いロックなこともやりたいんだっていうのを、とにかく世にはっきりと提示したかったっていうのはあります」

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.98』