Posted on 2015.05.19 by MUSICA編集部

SiM、「WE HATE COLD TOUR 2015」の
最終公演に完全密着!
新作『ANGELS and DEViLS』最速インタヴューも奪取!!

シーン云々をぶっ飛ばし、孤高の場所へと爆走モードに入ったSiM、
その音楽と魂を刻みに赴いた灼熱の北海道ツアー、密着!
さらに、より深く自身の内面と本質を刻んだ
シングル『ANGELS and DEViLS』、
明確なる新アンセム“EXiSTENCE”最速インタヴュー!
ラウドロックの雄からロックのど真ん中を背負う者へ――
目を離すなよ、こっからが「一番スゲぇSiM」だ!

『MUSICA 6月号 Vol.98』P.52より掲載

 

 昨年の12月3日、「i AGAINST i TOUR」のZepp Tokyo公演でMAHは「ラウドロックシーンを作ったバンドとして、次は、ラウドロックシーンをぶっ壊します!」と吼えた。その後、自身の主催する「DEAD POP FESTiVAL」を彼らの地元・神奈川にて野外大規模フェスに拡大することを発表し、昨年の秋からTVアニメ「神撃のバハムート GENESIS」のオープニングテーマとなっていた“EXiSTENCE”を収録したシングル『ANGELS and DEViLS』を6月10日にリリースするとアナウンス。「DEAD POP FESTiVAL」のラインナップからもわかる通り、パンク/ラウド/ミクスチャーといった親和性の高いシーンに限らない求心力、さらにアニメのオープニングテーマという「お茶の間」への発信――「ラウドロックシーンをぶっ壊します」という言葉の通り、4人が新たな勝負の季節に入ったことは明らかだ。

 ここまで徐々に開示してきたレゲエ、スカ、ダブステップ、パンク、ヘヴィロックの要素が滑らかに融合しながら雄大な情景を描いていく 新曲“EXiSTENCE”は、そんな彼らの新たなアンセムと呼ぶべき1曲として象徴的だし、4月に彼らが初めて行った北海道ツアーでこれまでなかなか赴くことができなかったライヴハウスを回ったことも、ラウドシーンの外へ向けて一気に活動のスタンスを開いている現在のSiMを物語っていると言っていいだろう。そんな状況を踏まえ、今月のMUSICAでは初めてSiMのライヴに密着し、同時に彼らの「今」を多角的に捉えるインタヴューも敢行した。ロックとは一体何なのか? 今の時代のレベルミュージックとは何なのか? どこまでも真摯にその生き様をロックに投影し続けてきたバンドの素顔と展望を紐解く――。

 

4月22日(水) 函館・club COCOA

 

 旭川、北見、帯広、苫小牧、そして函館の5ヵ所を約1週間で回る北海道ツアー(間に組み込まれた札幌でのイベントも含めると6ヵ所)。まとまった本数の北海道ツアーを回るのはSiMにとって初めてのことだ。その最終公演となった函館、その会場となるclub COCOAは函館駅から車で10分ほどのところにあった。前日の苫小牧から連戦だったため、SiMは比較的ゆっくりと14時にCOCOA入り……すると聞いていたのだが、予定よりもかなり早く、メンバーは13時35分に到着。ローディーふたりが次々に機材を運び入れていく中、「よろしくお願いします!」とライヴハウスのスタッフに挨拶をしてメンバーは楽屋に入っていった。前日の苫小牧公演は今回のツアーでも最少キャパで、文字通りの灼熱ライヴになったと聞いていたが、メンバーは至って元気そうだ。それはメンバーからも話が出て――。

SIN(B)「ライヴ自体がスゲぇ久々な中で始まったツアーだったから、最初は鈍ってたんだけど、タイトなスケジュールだから逆に鍛えられてよかったですね。アルバムとは関係ないツアーだから久しぶりにやる曲も多いし、練習できてない曲もあるくらいで(笑)。ただ、それも新鮮で楽しいし、お客さんの反応を見てると『初めまして』っていう人も多くて。だから、自分達としても凄く原点の気持ちでやれてるツアーだと思う。……でも、昨日の苫小牧のライヴは特に凄かったなぁ」

■チラッと聞きましたけど、どういうふうに?

SIN「いや、ほんとに暑いし空調も効かないくらいで、SHOW-HATEが酸欠になって、倒れちゃったんだよね。お客さんの中にも具合が悪くなっちゃった子もいて心配でさ――」

すると、SHOW-HATEが楽屋から出てケータリングを物色し始めた。顔色もよさそうだし、フラついている様子でもない。大事には至らなかったようで、ひと安心だ。

 夜のクラブ営業時にはBARになる広いスペースがライヴハウス営業時は楽屋ということで、4人はそれぞれのんびりと過ごしている。SINはタバコをゆっくりと吸いながらソファでまったり、SHOW-HATEはギターの弦を張り替えてジャカジャカと鳴らし始めたり、GODRiは、函館のグルメマップをスタッフと一緒に観ながら「あの県では何食べたっけ?」と談笑したり、もの凄いリラックスムードだ。

 MAHはと言うと、BARスペースで照明スタッフと細かい打ち合わせをしている。たとえば、この日のセットリストに入っている“Faster Than The Clock”のキメ部分、フロントの3人のジャンプをよりハッキリと見せるために的確な照明の明るさをオーダーしていく。「初めてのお客さんにも、ジャンプとかはカッコいいと思って楽しんで欲しい」という言葉の通り、セットリストにも代表曲がずらりと並んでいる。初めて出会うお客さんを意識した、強烈な名刺代わりとしてのライヴが意図されているのは明白だ。

(続きは本誌をチェック!

text by 矢島大地

『MUSICA5月号 Vol.98』