Posted on 2015.06.14 by MUSICA編集部

Mr.Children、本誌独占・『REFLECTION』
メンバー全員インタヴュー!!
新たな選択と共にゼロから立ち向かった
挑戦の軌跡、心情、そのすべて

音楽シーンを変えるためにこのアルバムを作ったわけじゃないし、
僕らの音楽が音楽として正しいんだって思っているわけでもない。
でも、この作品を評価して欲しい気持ちは、
高校生ぐらいの強い気持ちで持ってます(笑)

 

■えー……なんか、いい景色ですよ。

鈴木英哉(Dr)「ん? 何が?」

■4人でテーブル囲んでいる、この景色が。とても久しぶりなもので。

田原健一(G)「いい景色かどうかは置いといて、こちらとしても随分と久しぶりですからね」

■そっか。4人でインタヴューするのは『SUPERMARKET(FANTASY)』の時以来なもので、あれやったの2008年の暮れだから――。

鈴木「7年ぶり!? そっかぁー。インタヴューやってないもんね、最近みんなで一緒に」

桜井和寿(Vo)「あ、でもファンクラブの会報とかではあるよね」

鈴木「うん、そういうざっくばらん的なやつはあったけど。気合い入ってますよー! 自信はまったくないけど」

■ははは、そのままでいてください。よろしくお願いします。

一同「よろしくお願いします」

■これを読んでもらう時は、アルバムがリリースされて約10日後になります。どういう状況になってるか楽しみですね。

鈴木「そうですねぇ、やっとできたんでねぇ。この前、ちょうど(ツアーの)広島2日目の時に『~{Naked}』のでき上がったやつをやっともらって。完成形のやつを初めてもらってやっと実感が湧いてきた状態だから。発売されるなんて夢のまた夢のようなもので(笑)。どうでしょうねぇ」

■結果、なかなかない非常に斬新な形のリリースで。USB盤の23曲の中には、CM4曲、テレビ番組が2曲、映画が3曲のタイアップもありつつ、直前まで一切のオンエアなく、ライヴだけでいろいろ披露していったっていうことも含め、いろんなことをお訊きしたいんですけど。まずは、ナカケイから今回のアルバムに対しての率直な想いを語ってください。

中川敬輔(B)「でき上がってからは、もう早く形として自分のところに来ないかなって思ってて(笑)。さっきのJENと同じ気持ちでした。ライヴでは去年からやってたけど、形として手に取るまでが凄い長かったんで、今回は。まぁでも、2月までレコーディングしてましたからね。……(レコーディングが)始まった頃はどこまでかかるかとか想像もしてなかったんですけど……今までの自分達のペースを考えてもこんなにかかるなんて思ってなかったし、こんだけの曲数が出てくるとも思ってなかったんで、誰が締め切りを作っていくんだろうっていうのが最初の印象でしたね(笑)」

(中略)

■田原くんはどうですか?

田原「……何言えばいいんですかね?(笑)」

鈴木「ふふふふふふふふ」

田原「俺もそういうのいろいろ言いたいけど………僕らにとっちゃ2年7ヵ月って長くて、本当にいろいろあったわけですよね。『~blood orange』のツアーが終わって、休んでる間に『デモテープを作っているらしい』っていう噂が聞こえてきて」

■どうやって人づてに伝わってくるんですか(笑)。

田原「まぁマネージャーさんあたりから(笑)」

鈴木「『あたりから』!(笑)」

田原「だって、休んでるわけじゃないですか。俺以外も休んでると思ってるわけですよ。そう思ってるから休めるわけで。でも作ってると。それも1曲、2曲じゃないらしい、と。そういう状況から始まっていくわけです」

■それって休んでる自分のコンディション的にはどういう感覚なの?

田原「いや、『~blood orange』終わって、それはそれでやり切った感じもあったわけですから」

■ツアー、凄く長かったしね。

田原「ただ、それでも(ツアーの中で)足りないものとかを感じて終わってるわけでしょ? そういう意味でも休みないわけでしょ? そういうものを探したり、自分の中に補充したりしないといけないわけだから。それでもなんとか休もうとしている矢先にですよ。……俺が何もしてない時に全開でやってる奴がひとりいる、と(もちろん桜井のことです)」

鈴木「ははははははははは! ほんと、ひとりだけフルスロットルだったもんな。こっちニュートラルなのに(笑)。……本格的なレコーディングに入る前というか、“REM”とか“放たれる”は先にできてるんで、ガシッとレコーディングに入る前に――たしか一番最初に聴いたのは“WALTZ”だったよね? 違ったっけ?」

桜井「ん? そうかなぁ」

鈴木「そうだったよ。最初に“WALTZ”みたいなのが来たから、『うっひょー!』って思って」

(中略)

■全身全霊の日々を振り返って、桜井くんはどうですか?

桜井「凄く嬉しいし、今まで以上に愛情が深い作品ですね。作品の愛情ももちろん深いけど、完成するまでに費やしてきた時間への愛情がとても深いし、Mr.Childrenっていうチームに対しても改めて大事に思いますね」

■今回、スタート地点から何が違ってたんだと思います?

桜井「ひとつは、『~blood orange』っていうアルバムが震災以降初めてのアルバムで、あれを作る時にミュージシャンのエゴとか探究とか自分が音楽を楽しむっていうことがちょっと罪悪に思えていたから――それはたぶん僕だけじゃなくて、いろんな表現者の人が同じように思ってたかもしれないんだけどね。……『~blood orange』っていうアルバムがそんな想いでできて、それが終わってツアーを回ってしばらく経って――僕らは被災者ではないけれど、それでも時間が経って少し傷みたいなものが癒えた時に、自分から生まれてくるものが自然ともの凄くマニアックなものだったんですよね。だからこその“WALTZ”とか――」

■“REM”も、言わばそういう曲だよね。

桜井「“REM”もそうだし、“You make me happy”とか“Jewelry”とか、全部そう。自分が作ってるからMr.Children的じゃないとは思えないけど、でも、シングル的なものが最初は一切浮かんでこなくて」

鈴木「あー、そうだったね」

■自分が音楽で遊びたかったからシングル的なキャッチーなものが出てこなかったのか、もしくは全然違う理由だったのか、どういう感じですか?

桜井「遊びたかったというか、やはり(震災から)時間が経って解放されたんだと思いますね。ちょっとだけ閉じ込めてあった分だけ、そこから逆に反動として遊び心とか探究心みたいなものが働いてたとは思います」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA7月号 Vol.99』