Posted on 2015.06.17 by MUSICA編集部

indigo la End、
新体制後初のシングルで鳴らしたニュースタンダード

変わる/変わらないが、同じ流れの中で進んでるのが
カッコいいと思うんです。
バンドにはいろんな運命があるし、
その中でめっちゃ変わることもしょうがない。
でも、このバンドは「ここは変えて、ここは変えない」が
同居して続いてるのがカッコいいんです

『MUSICA 7月号 Vol.99』P.88より掲載

 

■佐藤くんが入ってから初めてのメンバー全員インタヴューになるんですが。どうですか、居心地は。

佐藤栄太郎(Dr)「めっちゃ楽しいっす(笑)」

■わかりやすく顔に出てるよね、その楽しさが。

佐藤「移動の車の中とかでもめっちゃ喋っちゃうんですよね。とにかくみんな笑ってくれるし、すべったらすべったで面白いし。ツアーでいろいろ会話して、みんなが面白さを追求するから。一緒にいて楽しいっすね(笑)」

長田カーティス(G)「いきなり音楽の話じゃないのかよ(笑)」

■まぁ、中野サンプラザのライヴのMCの感じだと、トークのほうは割とハズし気味だったけど(笑)、このメンバーならそれでも受け入れてくれる、というかスルーする感じがよかったよね。

佐藤「まぁハズしたら『ハズしたね』みたいな感じなんですけど――」

後鳥亮介(B)「栄太郎しか笑ってないけどな、いつも」

佐藤「そうなんです(笑)。自分が喋って、自分でめっちゃ面白いなって思えるんです、ここでは。あんまり気を遣わなくていいっていうか」

■以前から絵音くんと友人だったっていう話は聞いてるんですけど、まだメンバーじゃなかった頃はどういうふうにindigo la Endを見ていて、今回の加入の話が来た時にどう思ったか、教えてもらえますか?

佐藤「カッコいいなって思ってて。聴いてて、絶対にどこかにフックがあるんですよね。いろんなところにそれが散りばめられてて、それはもう1個のゲスの極み乙女。でもそうだなって思ってたんですけど。同い年でこれだけフックを作るディレクションができるのは、本当に凄い仕事しててカッコいいなってずっと思ってました。それで、今回の話が来た時に、『やっといろんな人に自分のドラムを評価してもらえるところに行けるな』って思って、凄く嬉しかったです。かつ、indigoっていうバンドをしっかり聴いた時に、かなり歌に寄り添う音楽だなと思ったんです。まず歌が1個前にあるっていう。ドラムって、そういうところに対する腕の見せどころみたいな部分もあるんで、これから勉強になることがあるなと思いました。実際、やってみると目まぐるしくてやることもいっぱいあるし、今はそう思ってたことも忘れてたぐらいなんですけど(笑)」

■このバンドはメンバーがひとり変わるごとに音楽性が非常にわかりやすく変化を起こすバンドで――人がバンドをやってるんだから当たり前と言えば当たり前なことなんですけど、実際、今回のシングルでも大きな変化が起きていて。

川谷絵音(Vo&G)「そうですね」

■まず佐藤くんは、自分がこのバンドに入ることで、このバンドをどう変えていきたいとか、どう染め上げたいっていうふうに思ってたんですか?

佐藤「やっぱり歌モノっていうイメージが世間にあると思うんですけど、音をどんどん礎にしていきたいなと思ってて。メロディもよくて構成も歌モノ然としたものだけど、録り音なりアレンジが『ちょっとおかしなことになってるな』ぐらいの感じでどんどん捩らせていきたいなと思ってました。たとえば椎名林檎さんを録った時の井上雨迩さんの音像みたいな感じで。だから、録ってる時も割とシンプルに、あまりブレないようにしっかり叩くっていうのは意識して叩きましたね」

■後鳥さんは、割と早く新しい後輩が加入されたわけですけど、今回の『悲しくなる前に』を聴いていても、リズム隊としてひとつの音の形ができ始めてるなって思うんです。その辺は、援軍ができて嬉しいとか、自分の中でやれる可能性も広がったとか、思うところがあるんですか?

後鳥「彼(佐藤)とは純粋に会話のキャッチボールが凄いできるんですよね。あと、ドラムだけじゃなくて音楽全部に目が広いんで、周りを見ながら演奏できるのが強いと思ってて。だから、ライバル感はありますよね。もちろん援軍っていう意味でも心強いし、一緒に闘っていけるんですけど、俺も負けないようにしようっていう気持ちがあって」

佐藤「あ、それは俺もあるかもしれない」

後鳥「うん。そこで凌ぎ合ってる感じがするなって思います」

■オリジナルメンバーとして、カーティスはどうですか? このバンドの場合、状況的にもメンバー的にも変化まみれの1年の中で、これがindigo la Endのスタンダードな形になっていきそうな感じもあるんじゃないかなと思うんですけど。

長田「そうなるといいですよね。今、バンド以外のところでの空気もいい感じにできてると思うし、サウンドもだいぶ固まってきたんで」

■雰囲気もサウンドも、以前のindigo la Endと比べると非常にアクティヴだしエネルギッシュになってると思うんですけど。そういう意味では、新しく加入してきたリズム隊の人達からのケツの押し方がハンパない感じもあるのかなと思うんですけど。

長田「そうですね。そこは(ふたりが)頑張ってますね、きっと。俺、常日頃考えてるんですけど、バンドにギターってあんまり必要ないと思ってるんですよ」

■ん? ギタリスト発の言葉としては斬新過ぎて、その真意がまったく噛み砕けないんですが。

長田「ですよね(笑)。最終的に行き着くところとして、バンドにギターって必要ないなって常日頃思ってて――だって、結局バンドをやるにおいて絶対に必要なのはリズムで、そうなるとベースとドラムが確実にあればいいんですよ。で、うちのバンドに関しては特に歌がしっかりしてるんで、最悪そこだけで全然成り立っちゃうですよね、だから俺、何しようかな?って考えることが結構多くて。いいドラマーが入ってしまったせいで、さらにどうしよう?って悩むことが最近、凄くあるんです(苦笑)」

■そういう中で、カーティスはこのindigo la Endの中でギタリストとしてどういう立ち位置を見出したいなと思ってるんですか?

長田「言葉じゃわかりづらい表現なんですけど、バンドの外周の上のほうの、ほんのちょびっとぐらいの存在でいいんです。バンドの雰囲気を決めるものになれればいいなっていう感覚ですね」

■ファッションで言うと、最後につける強力なアクセサリーみたいな。

長田「そうですね、そういう感じで頑張りたいです」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA7月号 Vol.99』