Posted on 2015.07.16 by MUSICA編集部

the telephones、休止前ラストにして
エッジと本質が迸る会心作『Bye Bye Hello』を語る

俺らの「今」を出すためには作品として残さないとダメだと思ったんでしょうね。
俺らの今はライヴだけでは全部が出ないんじゃないかな、と。
で、「やりたいことを抑制しない」っていうことが、「テレフォンズの今」だった

『MUSICA 8月号 Vol.100』P.68より掲載

 

■素晴らしいアルバムができ上がりましたね。

全員「(拍手)ありがとうございます!」

■the telephonesのエッジとセンチメンタル、その両方が凄くちゃんと出た最高のアルバムだと思う。どうして活動休止最後というこのタイミングでこんなに素晴らしいアルバムを作っちゃったんですか?

石毛輝(Vo&G)「ははははは。でも、やっぱ休止前ラストだったからじゃないかなと思う。言い方が難しいんだけど、いい意味でファンのことを考えなかったというか…………最初はね、今までの曲を振り返ったようなものを作ったほうがいいんじゃないかと思ってたんだけど」

■セルフカヴァーベスト的な性格のものを作ろうとしてたっていうこと?

石毛「まぁ、言ってみれば昔の曲と似てるニュアンスの曲を作ろうと思ってたってことなんだけど。でも、書いてるうちにイライラしてきて(笑)。なんか違うな、これはカッコよくないと思ってさ。the telephonesは元々常に挑戦というか、シーンをリードするような、誰もやってなかったことをやってたバンドだから、その精神でいったほうがいいなと思って、そういう気持ちで改めて曲を作っていったんだよね。で、特にDISCOっていうことも考えず、いい意味でもう過去のことはどうでもいいかなと思えた状態で作ったから……だから自由に作れたんだと思います」

松本誠治(Dr)「どこか大前提みたいなところで休止前ラストっていう部分はあったんですけど、最終的にはいつも通り、またレベルを上げて新しいことに挑戦するっていうところに挑めたし、結果的にそれは今までよりも一番いい形で出たんじゃないかと思いますね。それが非常に僕ららしいアルバムになったという一番の要因なのかなとは思いますけどね」

■ノブくんはどうですか?

岡本伸明(Syn)「やっぱり、なかなかこういう状況で13曲入りのフルアルバム作るバンドってそんなにいないと思うんですよ」

石毛「俺ら、よくそんな体力あったよね(笑)」

岡本「だから凄い貴重なアルバムだと思うんです。いつも通りなんですけど、そういう状況だからっていうのはやっぱりあったし、その空気があったからこそ自然とこういうアルバムになったのかなって感じですけどね」

長島涼平(B)「レコーディングに向かう姿勢みたいなものがだいぶ違ったんじゃないかなっていうのは思いますね。自分達の中で話し合って……そもそも、まずアルバムを本当に出すのか出さないのかっていうところから話し合ったんですよ。自分達は出したいのか出したくないのか、出すならどういうものを作るのか?っていうところから話し合って。今まではもう出すことが決まってる中でそこに向かってやってたから、そういう話をちゃんとしたのはかなり久々な気がして」

石毛「そうだよね、アルバム出したいなら出せるし、でも出さなくてもいいよ、みたいなのは久しぶりの選択だよね」

長島「そう。その時に、やりたくなかったら出さないって言ってたかもしれないし。けど、最後のオリジナルアルバムをっていう話をいただけて、それに向かって行こうってなったから……そういう意味でのやる気は今までとちょっと違うかもしれないですね」

■そこもうちょっと詳しく訊きたいんだけど。活動休止を発表した3日後に石毛くんにインタヴューした時(MUSICA2月号に掲載)、すでに「アルバムを1枚作りたいと思ってる」っていう話はしてたんだけど、実際はどういう流れだったんですか?

石毛「あの時にアルバムの話はあったけど、でも話し合う前だったよね」

長島「うん。アルバムを出そうかっていう話はその時にもうあって、年明けてから制作に入っていったんですけど。でも、その最初の段階でちょっとみんなモヤモヤしてたというか……僕の個人的な意見を率直に言うと、最初にアルバムでやる曲を選ぶというか、石毛さんが持ってきたものをプレイしてみたり聴いてみたりした時に、自分が思ってたのと違くて。それはたぶん、まだ石毛さんが最初に言ってた『振り返るようなもの』を作ってた時期だったんだと思うんですけど。で、それを聴いてなんか違うんじゃねえかって言って。そういうことがあって『そもそも、これ作るのか作らないのか、どうしたいの?』ってことになり……それでみんなで話し合った結果、やっぱり出したいよねっていう話になったんですよね」

■やっぱり出したいよねってなったのはなんでだったの?

長島「自分達の今を出したかったんじゃないですかね。活動休止発表してるけど、でも休止までにはまだ期間があるし。きっと『SUPER HIGH TENSION!!!』じゃない、もっと別の――去年は去年の今があって、今年は今年の今があるから。その『今』を出すためには作品として残さないとダメだ、俺らの今はライヴだけでは全部が出ないんじゃないかな、と」

石毛「そうだね。あと今回のアルバムって振り幅が凄いあるけど、こういう『結局このバンドって何がしたいんだろうね?』っていうところで終わるのが超いいと思うんだよね。なんか『やっぱなんでもやりてえんだな、こいつら』みたいなのは伝わると思うし」

岡本「『Bye Bye Hello』はまさにそういうアルバムだよね」

石毛「アルバムとしてコレっていうのが何も明確じゃないもんね」

松本「それこそ『JAPAN』作った時もそんな感じだったよね」

長島「そういう、『やりたいことを抑制しない』っていうことが、たぶん『the telephonesの今』だったんでしょうね」

石毛「元々そうだったものが、ここにきて爆発してるっていうか。やっぱ、いろんな人が絡むといろんな想いが入るけど、今回は割と4人の想いだけで成り立ってる感じが一番強いんじゃないですかね」

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text by有泉智子

『MUSICA8月号 Vol.100』